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許されるミスと許されないミス

2024年7月7日(日) 甲子園
阪神タイガース 6x-5 横浜DeNAベイスターズ

7月7日の試合は、阪神にとっては七夕ならぬタナボタの勝利だった。
まさに故・野村克也さんの名言「勝ちに不思議の勝ちあり」という試合だった。

最後の逆転サヨナラにつながったベイスターズ・度会選手のプレーについて、「勝負にいったから仕方ない」とか「ナイストライ」みたいな声もあるけど、僕はプロとしてあり得ないプレーだと思った。
ベイスターズファンは度会に対して怒っていいと思う。

場面は9回裏、守るベイスターズが1点リードして迎えた二死満塁。
あとアウト1つ取ればベイスターズが勝利という場面。
外野は前進守備で絶対に二塁ランナーを返さないというシフトを敷いた。
タイガースの代打・原口が初球を叩き一二塁間を速いゴロで抜けた打球に対して、ライトゴロを狙うのは打者が原口ということが頭に入っていれば当然の選択。
これはベイスターズ守備陣では想定していた打球の1つだったはず。
実際、ファーストのオースティンは躊躇なくベースに入ってライト度会からの送球を待っていた。
言ってみれば、深めの内野ゴロが飛んだのとほとんど変わらない状況。
一塁フォースアウトなら同点のホームインも認められずにゲームセット、仮に原口の足が優ってセーフになってもまだ同点だった。
だから度会は絶対に悪送球だけはしてはいけなかった。
最悪でもファーストが取れるボールを投げること。
万が一握り損ねたりしていい送球を投げる自信がなかったら、ファーストには投げてはいけない。
それがライトを守る度会がゴロが飛んできたときに考えるべきことだった。

野球には許されるミスと許されないミスがある。
前者は果敢にチャレンジした結果、エラーや走塁死となっても「ドンマイドンマイ!ナイストライ!」と次につながるもの。
後者は先のことを考えて冷静に状況を判断したら起こりえないミス。そしてそのまま敗戦に直接つながってしまうミス。
先日の度会のプレーは、そういう「許されないミス」だったと思う。

だからと言って、度会選手に「謝罪しろ」とか言いたいわけではないよ。
あのプレーについて変に称賛している人たちがいたので、「それって違うんじゃない?」と思っただけ。

・・・と、ここまで書いていて、そういえば阪神タイガースにも最近似たようなミスがあったなぁ、と気づいた。
守備ではなく走塁で。
6月30日のヤクルト戦の本塁突入のことだ。
5-6と1点を追いかける9回表の攻撃。二死一塁で佐藤輝明が打ったレフトオーバーの当たりで一塁走者の植田海が一気に本塁へ突入してタッチアウトとなり、ゲームセットになってしまった。
仮にセーフになっても同点だったし、次打者がその試合で2安打していた梅野ということも考えたら、二死二三塁としておく方が試合に勝つ確率が高かったと思う。
これには岡田監督も大激怒。
この場合、ランナーの植田には非はない。彼自身の判断ではなかったから。非難されたのは三塁コーチャーの藤本コーチだった。
下にリンクを貼った記事で高代延博さんが言っているように、三塁コーチャーの判断にギャンブルは絶対あってはならない。回すにしても止めるにしても、根拠のある判断をしないといけない。それができていなかったから岡田監督は激怒したのだと思う。
この試合は守りでも、救援投手陣の準備不足から4点差を逆転されるという「許されないミス」が起こっていた。

まさに「負けに不思議の負けなし」という試合だった。
シーズンを通しても、仮に阪神タイガースが優勝を逃したら、「あの試合が痛かった」という1敗になるかもしれない。
そんな嫌な予感がよぎる試合であった。

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