負けに不思議の負けなし…

2024年9月23日、阪神タイガースは宿敵巨人との「天王山」の一戦に0-1で敗れ、リーグ2連覇の夢はほぼ断たれてしまった…。

2024年9月23日 阪神タイガースvs.読売ジャイアンツ - プロ野球 - スポーツナビ (yahoo.co.jp)

残り試合数から考えても、最後の直接対決となるこの試合は絶対に勝たないといけなかった。本当に痛い敗戦。

僕は、タイガースがこの大事な試合を落としたポイントは2つあると思う。

1つは、0-0で迎えた6回裏の攻撃。
先頭の4番・大山がツーベースヒットで出塁してノーアウト二塁と絶好の先制のチャンスで、次打者の佐藤輝明は2球目に手を出して浅いセンターフライに倒れた。
ここは最低でも内野ゴロか犠牲フライでランナーを三塁に進めたかった。
一死三塁なら先制点が入る可能性が上がるし、相手バッテリーにもプレッシャーをかけられる。
左打者の佐藤なら少なくとも右方向へ引っ張る意識をもってほしかったのだが・・・。
この回から巨人の投手が先発のグリフィンから2番手のケラーに代わったところで、代わり端にツーベースを打たれてケラーも平常心ではいられなかったはず。それをいとも簡単にフライアウトを献上して相手を助けてしまった。本当にもったいなかった。

もう1つのポイントは、巨人に先制点を許した7回表の場面。
坂本に打たれたタイムリーヒットの場面ではなく、その前の4番・岡本和真への配球が実にもったいなかった。
この回先頭の吉川にヒットを打たれて無死一塁。
4番の岡本を2球でノーボールツーストライクと追い込んだまではよかったのだが、3球目のインコースのストレートをレフト線にはじき返されて無死一三塁とピンチを広げてしまった。
とにかく1点もやりたくない場面。3球勝負にこだわる必要はなく、ボール3つ使ってなんとか岡本を打ち取り、最低でもアウト1つとりたいところ。
2球目にインコース低めいっぱいのストレートで見逃しのストライクを取った後なので、常識的にはアウトコースぎりぎりへストレートかシンカー、もしくは低めのボールゾーンへ落ちる変化球を投げて空振りをとりにいく。間違ってもストライクゾーンに投げてはいけない。
しかしキャッチャーの梅野の要求はもう1球インコースへストレート。
おそらく梅野は裏をかいたつもりで、もう1球インコースへボールになるストレートを要求したのだろうが、高橋遥人がコントロールミスをして前の球より甘く真ん中寄りに入ってしまい、岡本に打ち返されてしまった。
相手が4番打者だけに裏をかいて勝負にいったのだろうが、コントロールミスをするリスクは考えなかったのか?
あそこはギャンブルする場合ではなかったはず。
実にもったいない配球だった。

故・野村克也さんの名言に「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉がある。
野球というスポーツでは、時に相手のミスやラッキーな当たりで点が入って勝ちが転がり込んでくることもあるが、負けた試合には必ず原因がある、という教訓である。
今回の痛すぎる敗戦には、上述した2つの要因があったと思う。
6回の攻撃では佐藤輝明の意識が足りずにチャンスをふいにしてしまった。
7回の守備ではキャッチャー梅野の配球ミスでピンチを広げ、結果的に決勝点を取られてしまった。
もちろん、6回以外もチャンスあったし、1点も奪えなかった打線全体に問題があったのは事実。しかし、試合を振り返ったとき、あの2つのミスが大きかったと思わざるを得ない。
まさに「負けに不思議の負けなし」を実感した試合だった。

これで我がタイガースのリーグ優勝の可能性はほぼなくなったわけだが、それでもクライマックスシリーズやその先の戦いに向けて光明も見えた。
それが最終回に見せた植田海の走塁だ。

阪神・植田 肝っ玉二盗 刺されれば試合終了の九回2死一塁!見せた執念 代走で“足職人”決めた/阪神タイガース/デイリースポーツ online (daily.co.jp)

2013年WBCの鳥谷敬の盗塁を彷彿とさせる、執念のプレー。
こういう選手がいるチームは強いよ。
佐藤輝明も植田を見習って、これからの試合では1打席1打席に集中して勝ちにこだわるプレーを見せてほしい。

まだまだ、これからよ。

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