対象喪失

 私は三人兄弟の末子である。令和1年7月8日に3歳年上の兄が急逝した。40歳だった。私は兄とは大人になってからは殆ど連絡を取ることがなかった。そんな中で兄が亡くなる4か月前に突如兄からLINEが入ってきた。内容は会社でトラブルに巻き込まれ会社を辞めることになるので、家族を頼むとの内容であった。私はあわてて兄に連絡をするも電話に出ることはなくLINEのみが返答。「詳しくは落ち着いてから話をする」と。何かあれば連絡してほしいとのことを伝えた、4か月後に母からの連絡で兄が死んだことを知った。突然の訃報で私の頭の中では「自殺」の文字が頭を過ぎった。死因は特発性心不全であった。おそらく相当なストレスがかかっていたのであろう。

 いつか会えると思いこれまで疎遠であったがもうそれが叶うことはない。兄は世当たり上手で私とは正反対の性格でいつも人気者であった。しかし、大人になってからは、それまで真面目に生きてきたためか、その反動か私生活は決して順風満帆であったとは言えなかった。両親とは葛藤関係で実家にもほとんど帰ることはなかった。久しぶりに帰ったのは永眠してからになってしまった。私の家庭は複雑な家庭だと思う。私が現在の仕事についているのもその環境が大きく影響している。

 今でもふとした時に兄のことを考えると、足から血の気が引きなんとも言えない感情が全身を駆け巡る。そしてもう会えないことを再認する。

 私自身、兄が亡くなる前に様々なことが重なり突発性難聴になり自律神経が乱れ精神的に追い詰まっていた。現在でも左耳は耳鳴りが常に鳴っている。兄が亡くなり私は時間は有限であると自覚し、後悔なく生きていくことを決意することができ、精神的にも解放されたように感じている。

 まだまだ、私はモーニングワークの真っ只中である。私の耳鳴りは兄が「今決意したことをわすれな!」と教えてくれているのかもしれない。今この記事を書いていても涙がこみ上げてくる。

 今を精一杯生き、毎日ベストを尽くす。これしかないように感じている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?