2019年台湾半導体について
半導体に関してですが、私なりにまとめさせていただきました。
今回のテーマとしては『半導体業界における日中台韓米の関係性』とさせていただきます。
その上で私が台湾で肌で感じていることを記載させていただきます。
事前予備知識
ロジック半導体→アメリカ牽引(インテルなど)
メモリ半導体→韓国牽引(サムスン電子など)
半導体製造装置→日本とアメリカ牽引(東京エレクトロン、アブライトマテリアルズなど)
EMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)→台湾(ホンハイ、ペガトロンなど)
その上で国交問題
・日韓貿易紛争
・米中貿易摩擦
時系列に考察していきますと、2018年ごろから米中貿易摩擦が始まり、
その時点で多くの台湾製造業が中国から撤退し、台湾に戻ってくるという状況でした。
(https://www.cw.com.tw/article/article.action?id=5095382→彰化県にある靴下工場は歴代最高の売り上げを記録)
半導体工場も同様で、中国からアメリカに輸出すると関税が高いため、新工場設立を台湾にする企業が増加しました。また、台湾政府もこの機を見逃さないためにも2019年7月より「台商回台投資2.0」と称して国内投資へのサポートを政策に取り組みました。
適用対象や条件により受けられる補助は異なりますが、土地・光熱水道・人材・税務・融資の5つの方面での補助を開始しました。
また、TSMCは今後台南、台中、新竹と立て続けに新工場設立予定です。
ITではGoogleのデータセンターも台南に建設とし、米国の対台湾投資額が急上昇しています。
(http://japan.cna.com.tw/news/aeco/201909110009.aspx)
上記の米中貿易摩擦が続く中、2019年の7月に日韓貿易紛争があり、日本企業の韓国離れが加速しました。
実際某日系人材派遣企業では半導体工場へのエンジニア派遣が昨年の3倍にも増えたとのことでした。
また、株価も今年一年で台湾半導体各社急激に上昇しました。
(TSMC2019年1月208NTD/株、10月現在293NTD/株)
鴻海は郭台銘の政への参戦により下落傾向です。
台湾としては2つの大きな国交問題の流れのおこぼれで、半導体事業で多くの恩恵を受けています。
しかし、今後のリスクとしては
⑴今後期待されているメモリ半導体事業では台湾は他国に比べ、非常に弱い。(一時期ホンハイが東芝のメモリ部門の買収を考えたのもこの問題からか)
⑵人材の引き抜きリスク。(台湾の優秀なエンジニアが中国にお金で引き抜かれていき、人材とともの重要なデータまで奪われてしまっている。)
⑶2020年の総選挙動向。(総選挙次第では白にもなるし、黒にもなる。)
以上私の考察というよりも半導体情報のサマリーのようになってしまいましたが、まとめさせていただきました。
参考URLも以下に添付しておきます。
みずほ総合研究所のリポート2019年9月13日
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/report/report19-0913.pdf
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