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Swedenに外貨を稼ぎに行きましょう!

 前回のGibraltar のBackgammon 大会が終わってしばらくすると、次の海外遠征を考え始めました。Flint Area Backgammon Club Website のBACKGAMMON "MARK YOUR CALENDAR"をチェックします。Nordic Openも魅力的だけど、寒そうだし準備も間に合わないし。おや、6月28日~7月2日にSwedish Open があるぞ。初夏のSweden爽やかそう。北欧好きのかみさんも乗ってきそう。という程度のノリで次の遠征先を決めました。

 しかし、開催4か月前の時点でSwedish Openのホームページが2022年版のままで、2023年版に更新されていません。"MARK YOUR CALENDAR"のリンクから問い合わせてみると、Jörgen Granstedtさんから 「会場選定をしているけど、1週間ぐらいで決まるから待っててね。」という趣旨の返事が来ました。3月に入ってもホームページの更新がないので、更に問い合わせてみると、「昨年と同じHotel Royal Park で開催するので、もう数日待って。」とのことでした。しかし、3月末になっても更新がないので、もう1度問い合わせてみると、「Hotel Royal Parkと交渉してチラシを作っていたら、Hotel Royal Parkが倒産するとの連絡があった。Stockholm Arlanda空港近くのホテルと調整しているところ。」とのことでした。ひょえ~、コロナの影響で倒産してしまったのでしょうか。この調子では大会自体が予定通り開催されるのであろうかすら危ぶまれます。この時点で、すでにわれわれの飛行機は押さえてありました。まあ、開催がなかったり日程がズレたりしたら、通常の北欧旅行に切り替えればいいやと腹をくくりました。

 4月半ばになって、ようやくSwedish Openのホームページが更新されました。
https://www.swedish-open-bg.com/
 会場は、空港近くではなく、 Stockholmの中心地から南東方向の郊外にあるProfilHotels Nackaというホテルになっていました。会場のホテルのStockholm Arlanda空港からのアプローチは去年までのホテルより遠くなっています。Arlanda Expressという電車で市の中心部に出たあと、地下鉄と市電を乗り継いでいかなければなりません。まあ、価格交渉等諸般の事情があるのでしょう。宿泊料金はうちが利用したツイン1室朝食バイキング付きで1泊1,195スウェーデンクローネ(約16千円、1人当り8千円)でした。物価の高い北欧ではリーズナブルな方ではないでしょうか。なお、「ヨーロッパのホテルあるある」でしょうが、バスタブはなく、シャワーだけでした。
 また、この地区だけでなくその後旅行したSweden・Norwayではコインランドリーを見かけませんでした。ついでに書いておくと、SwedenでもNorwayでも一切現金は使いませんでした。トイレのチップも、入り口にカード決済用のリーダーが付いていました。(注:エントリーフィーはユーロの現金です。)

 Swedish Openのホームページから、さっそく参加表明をしてみると、 Jörgen Granstedtさんから「こちらが連絡する前に、ホームページの更新によく気づきましたね。遠距離の旅行者には特別なお手伝いをしますよ。空港への送迎とか、レストランのリスト提供とか。」とのメールをいただきました。実はこのころには、 Jörgen GranstedtさんはBackgammonの世界選手権で3回優勝している方だということがわかりました。世界選手権で3回優勝しているのは、現時点で世界でただ一人です(mochyさんやAkikoさんも現時点では2回)。その Jörgenさんにお手伝いをお願いするのも恐縮です。しかし、Gibraltar でもマラガ空港から会場まで主催者に送迎車を用意していただき、たいへん助かりました。今回もStockholm Arlanda空港から会場までの乗り継ぎが多く、公共交通機関の乗り方がわかっていないことから、送迎の手配をお願いしました。すると、Jörgenさんから「自分が迎えに行くよ。忙しかったら息子に頼むよ。到着便を知らせて。」との返事をいただきました。畏れ多いですが、今更断るのも申し訳ないと思い、思い切ってお願いしました。

 大会前日にStockholm Arlanda空港に到着しました。すると、Jörgenさん自ら迎えに来てくれました。Jörgenさんの車に乗せてもらいます。ハンドルの横にiPadのようなディスプレイがひとつだけある日本では見たことがない近未来的な車でした。こんな感じ。

車内の様子

 テスラで、電気自動車、自動走行もできるよ、と自動運転も見せてもらいました。ホテルまで私のブロークンな英語で会話するのに苦労しました。45分ほどで会場のホテルに到着、Jörgenさんに送迎いただいたお礼に鳥獣戯画柄ランチョンマットのお土産を渡しました。
 
 チェックインしてホテル周辺を歩いてみると、 Nacka地区はStockholmの郊外でマンションが多い住宅地でした。ホテルの隣で地下鉄の工事を行っているなど、現在進行系で開発の進んでいる地区です。ホテルのすぐ近くにショッピングセンターがあり、われわれが確認しただけでスーパーマーケットが2軒、レストランもたくさんありました。観光スポットはありませんが、生活するには困らない場所でした。

Nackaの街角 魔夜峰央風壁画

 北欧で驚いたのは、レストランに寿司屋が多いこと。スーパーでも寿司セットが売っています。さすがサーモンの本場、うまいです。また、ショッピングセンターにはタイ料理屋さんとベトナム料理屋さん(Restaurang Minh 後日行きましたが、夕食2人で3千円くらいでした。)がありました。

 到着当日の昼食は、ショッピングセンターの中の喫茶店でサンドイッチとカフェオレ程度の食事で3千円ぐらい。大会の期間、昼食も夕食もショッピングセンター内のスーパーや飲食店のお世話になりました。
 到着当日は疲れているだろうと会場ホテルのレストランを予約しましたが、予約は必要ないほど空いていました。アラカルトだけのメニューで、メインの料理を2人でそれぞれ頼みましたが、写真のとおり大盛りで、年寄りにはtoo muchでした。この食事で、お酒も頼んで2人で8千円くらい。念のため書いておきますが、このレストランは日曜日は昼食・夕食ともに休みでした。日曜日の夕食時、閉店している店も多く、食事する場所が確保しにくいのも「ヨーロッパ旅行あるある」でしょうか。

ホテルのレストランの夕食

 食事の話つながりで、ここで書いておきますが、前述したとおりJörgenさんお勧めのStockholmのレストランの一覧表を頂戴しました。参考までにここに貼り付けておきます。

 大会後、いったんノルウェーの観光を行った後、われわれはStockholmに戻ってきます。Jörgenさんのリストの中で、うちが行ったのは両方とも魚料理中心のSturehofとWedholms Fiskでした。夕食で比べると、Sturehofが2人で14千円、Wedholms Fiskが2人で22千円でした。Wedholms Fiskの方が高級店で当然なのですが、料理の味や接客等Wedholms Fiskの方が優れたものでした。翌日観光の都合もあって近くまで行ったので、Wedholms Fiskのテラス席で昼食も食べました。2人で5千円くらい。

Wedholms Fiskのエントランス

 6月29日木曜日、今日から大会が始まります。12時からRegistrationとSide Eventsが始まる予定です。昼食前、会場がわからずホテルの別棟の1階をうろうろしていると、Ardaさんとスタッフの方に呼び止められました。Ardaさんは、Jörgenさんと共同で、この大会の主催者になっています。Gibraltarの大会も仕切っていたので、われわれのことも覚えていてくれたようです。彼は、トルコ出身の方ですが、ヨーロッパなど多くの大会の主催者を勤めておられるそうです。会場は別棟の2階(Swedenの階の数え方では、Entrance階の上の1階)でした。会場を覗いてみるとまだ全く準備が進んでいませんでしたが、Registrationだけ済ませました。

 15時頃覗いてみると、スタッフの方がギャモンボードを広げて準備しています。Gibraltar の時は初日のこの時間にはSide Eventsが盛んに行われていたはず。むむむ、前述した通り、今回の大会は準備が遅れたので参加者が少ないのかしらんと心配になります。オープニングセレモニーの予定されていた17時半頃には、ようやく人が増えてSide Eventsも始まっていました。私もSpeedの1回戦を行い、5ポイントマッチを1ゲームで勝ちました。しかし、オープニングセレモニーは予定通り行われず、メインの開始時間20時半の30分前、20時から行われることとなりました。

 夕食を済ませて会場に行ってみると、結構人がいます。心配していた参加者数もMastersで75人、Intermediatesで20人、15カ国からの参加ということでした。Swedenの方は59人で地元率が高い。 人口の少ないGibraltarでは外部からの参加者が多いのでしょう。Swedenではギャモン人口も多いので地元率が高いのかもしれません。地元の方は、木曜日午後から休めず、夕方から参加するのでこの時間に人が増えるというのも、むべなるかな。まあ、国別対抗戦が行われる来年は様子が違うでしょう。
 
 20時半からMain EventsのMastersが始まります。75人参加ですので、22人が逆バイ、運悪く私は逆バイで今夜中に2試合消化しなければならないとのこと。初戦はRobectsson(Sweden)さん。Gibraltarの大会の際には、棋譜の記録用のカメラなどを用意しませんでしたが、自分がどの程度のギャモンをやっているのか気になったので、今回はカメラを用意しました。しかし、指定された席に行ってみると相手の方がカメラを用意しています。こちらのカメラを用意するのも時間がかかるので、相手の方に棋譜を送ってもらうようにお願いしました。結局、現時点まで棋譜はいただけず、どの程度の実力だったのか正確にはわかりません。相手にはずいぶんゾロ目を振られ、こちらの6ゾロはオンザバーからと出目悪く、13ポイントマッチを10-13で敗退しました。おかげで早く寝られる、と嘯きながら部屋に帰りました。

  6月30日金曜日、13時から2nd Chanceです。対戦相手は、Alderさん(Sweden)。第1ゲーム9ポイントマッチ0-0からDoubleしました。

9ポイントマッチ0-0 白Doubleしますか? 黒Takeしますか?

 この局面での正解はNoDoubleです。Doubleは84点のエラー。Takeの後、1ゾロを振って正当化。ギャモン勝ちを目指したものの、相手にアンカーを作られ、逆転されて0-2スタートとなります。その後、1-5/9の場面で相手からCube。

9ポイントマッチ0-0 黒Redoubleしますか? 白Takeしますか?

 これをTakeします。しかし、 4away の相手からこんなCube引いちゃだめだよね。640点のエラー。う~む、これまでのお勉強はなんだったのか。
 この日は、カメラを用意していました。しかし、長い机にボードを3台詰め込んでいるので、ちょっとカメラスタンドが隣にはみ出してじゃまになりそう。おまけに、モバイルバッテリーを忘れてしまいました。というわけで、棋譜は記録したものの、記録が残っているのは11ゲームまで。肝心な最終ゲーム直前で電池切れしました。そこまでのMatch summaryがこちら。

Match summary

 ここまでの結果で見ると、P.R.は当方6.25で先方は10.37と付け入る隙があったはずなのですが、ここまでのLuck Rateは-5.278と出目が振るわず、結果6-9で敗退しました。しかし、1-5 /9からのTakeはひどい。ここで無駄に1点失わなければマッチの結果もどうにかなっていたかもしれず、大きな反省材料です。

 この日は21時から、Main EventsのDoublesも始まりました。Gibraltarでは、Doublesはベスト8まで勝ち上がったので、ここでも夢をもう一度と期待します。対戦相手は、GermanyのSonnabend夫妻。対戦していて旦那さんが強いのはわかったのですが、まだ戦えます。真の敵は、奥さんでした。相手のチームは、旦那さんと奥さんが交代でダイスを振っているのですが、奥さんの出目がすごい。ゾロ目が多い。こちらが穴あき5プラを作っても、アンカー脱出に必要な4ゾロをさくっと振って脱出していきます。(ドイツの魔女や!)というわけで、Doublesも7ポイントマッチ5-7で敗退。敗戦後に、「旦那さんがずっと振ってくれていたら、こちらが勝つチャンスがまだあったかもしれない。」とぼやいてしまいました。なお、Sonnabend夫妻は、Doublesで準優勝でした。あの出目ではね!

 7月1日土曜日。Mainが不甲斐ない結果に終わったので、Side Eventsを頑張るしかない。と思ったものの、私の対戦相手はMainで勝ち残っているのか、Side Eventsの対戦がなかなか組まれません。Main Eventsは指定された席に行けば指定された時間に相手が待ってくれていますが、Side Eventsになると対戦相手がどなたかわからず苦労します。Seniorsでは、当初の対戦相手がいつまでもMainで勝ち残っているので別の方と差し替えられたようです。というわけでSeniorsの1回戦の相手は、Jcelil(Iran)さん。この7ポイントマッチ、あっという間に0-6まで進行し、最終ゲームも絶体絶命の下記のような局面となります。なお、この時、動画も撮っていなければ静止画も撮っていないので、まあだいたいこんな感じ。

9ポイントマッチ 黒6-0白 黒62どう動かしますか?

 相手が62を振って、きれいに5ポイントを作って終わりです。やれやれSeniorsも1回戦敗退か、と思っていたところ、相手のムーブが11/9* 9/3でした。ここではギャモン勝ちの意味はないので、この手を行う必要はありません。私も相手がどんな手を打っても普通は平然としているつもりですが、このムーブには驚いてしまったようです。相手の方が不満そうなので、急いで「あなたの思い通りに、好きなように動かしてください。」と伝えました。
 このゲーム、ここから相手は65を振って6ポイントにブロットを残し、こちらがヒットし勝ってしまいます。おまけに、この後4ゲームかけて、マッチも勝ってしまいました。これこそ、バックギャモン。

 Seniors 2回戦は、Licudiさん。この方は、実は前回参加したGibraltar Openの主催者の方。トーナメントの実務は、Ardaさんが仕切っていたのですが、Gibraltar政府やホテルとの折衝等行っていたのでしょう。私が、「実は今年のGibraltar Openに参加したのですよ。」と言うと驚いておられました。かみさんに言わせると、Licudiさんは吉川晃司に似ている、とのこと。この対戦では、Licudiさん が局面をスマホで撮り出したので、こちらも撮影しCubeだけは記録に残っていますが、お互いエラーを吐きながら、結果私が7-5で勝ちました。

 Seniors 3回戦は、Zetterman(Sweden)さんとの対戦。7ポイントマッチ0-3で相手からCubeが来ます。

9ポイントマッチ黒3-0白 黒Doubleしますか? 白Takeしますか?

 ここはNoDoubleが正解。3点リード側のDoubleは、172点のエラーでした。0-0でようやくDoubleとNoDoubleの境界です。1枚オンザバーなので、降りるかもしれないというDoubleだったのかもしれませんが、0-3の私は喜んでTake。その後、逆転して次のような局面を迎えます。

9ポイントマッチ黒3-0白 白Redoubleしますか? 黒Takeしますか?

 ここはPassが正解でした。Takeは277点のエラー。次にこちらが256の組合せでバーを作ってしまうと、黒の虎の子の自分のバーを外さざるを得ない展開になります。実戦もここからギャモンがちして1ゲームで8点勝ちしてマッチ勝ちしました。
 これでBest8です。Best4以上で賞金です。準優勝以上でトロフィー。ちなみにSwedish Openのトロフィーはこんなお馬さんです。これは、「ダーラナホース」と言われるSwedenの伝統工芸品だそうです。これはひとつ持って帰りたい!

トロフィー「ダーラナホース」

 しかし、Seniors 4回戦の相手はなかなか現れません。Speedの2回戦を戦うも、こちらが時計を落として負け。

 最終日、7月2日日曜日。Last Chanceも1回戦0-6であっさり負け。20€と50€のJackpotに参加してみるも1回戦負け。
 さて、Seniors 準々決勝の相手は、Tehrani(Sweden)さん。このマッチ、スマホでCubeだけ記録していましたが、お互い細かい(100点以下)のミスはあるものの、比較的正しいCubeのやりとりで、7ポイントマッチ5-4のこの局面になりました。

9ポイントマッチ黒4-5白 黒Doubleしますか? 白Takeしますか?

 見ていたかみさんが、後で「ここはパスじゃないかと思った。」といっていました。私は、2away-3awayのこちらからCubeは出しにくいので、相手からCubeが来てラッキーぐらいに思って、気楽にTakeしました。xzの解析結果は、DoubleTakeが正解でした。
 しかし、ここで相手の振った出目が66。結果、ギャモン負けで私のSwedish Open は終了しました。う~む、これもバックギャモン。なお、 Tehraniさんは、Intermediatesで優勝し、表彰式で壇上に上がっていました。どおりで忙しく、実力もあり、出目も最高なはずです。

 結果は残念でしたが、Jörgenさんをはじめ、多くの人にお世話になりました。対戦相手の方も、みなさん気持ちよく、私のブロークンな英語で、なんとか意志が伝わったのではないかと思います。ヨーロッパの大会2回目になると、Licudiさんの他にGibraltar Openで会った方とも再会しました。Gibraltar のDoublesでわしらを負かしたFranceのTristanは400€Super Jackpotで優勝していました。また、私がGiacomettiのTシャツを着ていると、「Giacomettiじゃん。」と声をかけてくれる人がいました。普通の海外旅行ではできない経験ができました。

 「ダーラナホース」のトロフィーがゲットできなかったのは残念ですが、来年の国別対抗戦の後、Swedish Openに参加される日本人の方が、赤い馬をいくつか取ってきてくれるのではないでしょうか。本稿は、少しでもその方たちの参考になればと思って書きました。
 われわれは、この後ノルウェーのフィヨルドを見物し、オスロのヴィーゲラン彫刻公園に行きましたが、長くなるのでこのへんで。

ヴィーゲラン彫刻公園の彫像「おこりんぼう」のおみやげ



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