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Denmarkで外貨を稼ぎましょう!

 海外のトーナメントに参戦することを考えたときに、一番最初に行きたいと思ったのは、Nordic Openでした。歴史もあるし、Denmarkの方のギャモンのレベルが高いとも聞いているし。しかし、Sさんから「3月のDenmarkは寒いよ~。」と言われて、昨年はGibraltarを選んだのでした。
 しかし、「昨年Swedenの大会の後Norwayにも遊びに行って、北欧でまだ行ってないのがDenmarkだけ。北欧好きのかみさんも喜ぶ。大会は建物の中でやるので寒いのも耐えられそう。大会に参加した後、観光するのは南の国に行けばよかろう。」と考えて「えいっ」とNordic Openに参加することにしました。
 NordicOpenは、今年からGalaxyを運営しているMarcOlsenさんが仕切ることになりました。大会のアップグレードを狙ったのでしょうが、エントリーフィーが上がっています。最上位クラスのChampionshipは2023年の400€から850€と倍以上。折からの円安傾向とかぶって痛いです。2023年の会場は、Copenhagenから北に行ったクロンボー城近くのホテルで市の中心地からも遠かったのですが、2024年の会場は、Copenhagen国際空港の近くのScandic Hotel Sluseholmenになりました。

 当初の予定では大会前日に到着予定でしたが、予定していた乗継便が航空会社から一方的にキャンセルされ、結局大会初日に到着することとなりました。経由地のHelsinkiでは雪が降っていました。Copenhagenでは雪は降っていないものの、日本より寒かったです。Copenhagen国際空港から、ホテルまではタクシーで10分、料金は280DKK(6,300円)ちょっとでした。

Scandic Hotel Sluseholmen

 会場のScandic Hotel Sluseholmenは、日本でいうハイクラスホテルではなく、シティーホテルとビジネスホテルの中間くらいの感じでした。Nordic Openのウェブサイトから予約すると、大会期間中はシングル夕食付きのプランが通常の1,330DKK→1,095DKKに割引となっていました。
 先ほど書いたように、予定していた乗継便が航空会社の方から一方的にキャンセルされたため、ホテルの1泊分をキャンセルしたのですが、「通常はできない」との断り付きで特別に返金に応じてくれました(同様のケースの、今後の返金を保証するものではありません)。その際のメールのやりとりに、絵文字😃が使われていて、さすが北欧と思いました。
 朝のビュッフェは、素晴らしく美味しかったわけでもありませんでしたが、野菜やヨーグルトも並んでいて量も十分でした。セットプランの夕食は朝のビュッフェと比べて、料理の種類も3品ほどと少なく簡素でした。まあ寒い中、外のレストランに食事に行くことを考えるとリーズナブルには感じました。
 上記の返金対応に見られるように、ホテルの接客はよかったですし、フレンドリーでした。フロントでトイレットペーパーをお願いしても笑顔で対応してくれます。後ほど書く事件の際の対応でも、ありがたさが身にしみました。

大会1日目

 さて、初日はサテライトとDenmarkのUBCの試合のほか、Warm-upのMixed Doublesが開催されます。100€のMixed Doublesにさっそくエントリー。最初の対戦相手は、Larsenさんと Jurgensenさん。いつものDoublesのように、かみさんがロールして、わしがムーブします。かみさんの出目がさえて5ポイントマッチを5-2でさくっと勝利。
  次の対戦相手は、Mølgård さんと Julianna さん。

Mølgård さんと Julianna さん

 おふたりはmichyの友人で、michyがDenmarkに来るときには、おふたりの家に滞在するほどの間柄とのこと。
 さらに、彼らは、「今年(2024年)の日本のBackgammon Festivalには、友人を含め4人で参加するよ~。」とも話してくれて、終始和やかな感じで試合が進みます。この試合も出目よく、5-2で勝利。おふたりには、この大会の間中、会場で見かけると声をかけていただき、たいへん楽しかったです。
(実際にBackgammon Festivalに、Denmarkから4名の方がおいでになっていました。わしは地域対抗戦で Julianna さんに負け、せかチャレでHansen Maj さんに負けました。)

 次の対戦相手は、Bladt さんと Schmidt さん。今日は前夜祭だからなのか、ビールを片手に結構酔っ払っています。
 実際、北欧は水が良いのか、空気が乾燥しているせいかビールがうまいんですよ。しかも会場のすぐ外のホールでビールを販売しています。ビールサーバーも備えていて、3種類から選べます。うまかった。
 帰国してから明細を見ると、ぱかぱか飲んでいたこのビールは1杯約70DKK(1,500円)と結構なお値段でした。帰国後読んだ本によると、北欧は酒類の税金が高いそうです。北欧の中ではDenmarkはまだマシな方だそうですが。

資料映像 Helsinki空港のビール(Copenhagenのビール撮り忘れ)

 こちらは、真面目に素面で頑張っていたのに、武運拙く3-5で負けてしまいました。うーむ、結構上位まで来ていたのに惜しいなあ。2勝1敗で終了。しかし、このあと対戦表を見てみると、Mixed Doublesは22組参加。わしらのチームはbyeを引いており、実は現時点でBest4になっていました。ちょっぴりですが賞金が出ます。おお、これは幸先が良い。
 このnote、「✕✕で外貨を稼ぎましょう!」と銘打っていますが、これまで外貨を稼いだ実績がありませんでした。口さがない友人から「外貨を稼いでるんじゃなくて、ばら撒いているだけじゃん。」と指摘されていました。まあ、その通りだったのですが、今回ちょっぴりでも稼ぐことができて嬉しかったです。

大会2日目

 いよいよ今日からメインが始まるわけですが、海外の大会は午後~夜に開催されます。Nordic Openのメイン開始は午前11:30。というわけで、午前中はホテル周辺を散歩します。Scandic Hotel Sluseholmenが建つ地域は、観光地ではありませんが、海や運河が近くにあって、散歩していても楽しいところでした。

ホテル近くの運河

 近くにスーパーマーケットとパン屋さんがあって、昼飯はそこで買ってきたサンドウィッチを食べていました。
 ATMもあって、そこでエントリーフィーを下ろすこともできました。しかし、帰国してから明細を見ると、Helsinki空港で下ろした際と比べると、ここで下ろした際の手数料が高い。旅慣れた方ならすでにご存知でしょうが、Denmark国内でEuroを指定して下ろすと両替手数料が余計にかかるようです。DKK(デンマーククローネ)を指定して下ろせばよかった。ちなみに、Nordic OpenのエントリーフィーはEuroでもDKKでも支払い可能です。
 更に奥に足を伸ばすと、柵で囲われた公園があって、馬がいたり、アルパカ(?)がいたりしました。なかなか気持ちの良いところです。

アルパカ(?)のいる公園

 さて、Championship第1戦。相手は、Jan Petersenさん。17ポイントマッチです。こちらのミスもあって第5ゲーム開始時点で1-5のビハインドです。ビハインドなので積極的に打った、こちらの早めのダブルはXZによればすでにPassが正解だったようです。Takeは、63点のエラー。その後、逆転され、相手からキューブが返ってきましたが、これもNoDoubleが正解でした。これも29点のエラーに過ぎません。更に逆転して迎えたのが次の局面。

A図:白の手番 白1-黒5/17

 こちらから8倍キューブを返します。これを相手がさくっと引いて、その後相手が振った目が6ゾロ、3ゾロ、1ゾロ。こちらは、ひとつもゾロ目が振れず、次の局面になります。

B図:黒の手番 白1-黒5/17

 相手も少し考えて、16倍のキューブが返ってきます。ひょえ~。
 見にくいですが、こちらは9枚残っています。このゲームを勝つには、相手が3ロールで上がらないうちに、こちらがゾロ目を2回振る必要があります。まあ、勝率1/36(1通り)でしょうか。もちろんPassから考えます。
 しかし、このキューブを降りたとしても、17ポイントマッチ1-13になります。16away-4awayのMatch Equity Tableは覚えようとしたこともないのでさっぱりわかりませんが、マッチ勝率は1桁でしょう。まあ追いつくのに6連勝が必要と考えると2の6乗分の1で、奇しくも同じ勝率1/36(1通り)ぐらいかなと試算しました。悩んだものの、Takeすることとしました。
 この後相手はこちらの注文通り、43を振ってくれます。こちらは、2ゾロと1回目のゾロ目。相手は52。こちらは61。相手62。次のこちらのサイコロはまず5の目が出、くるくる回っている賽子に目がそろうように願っていましたが、無常にも4の目を出して上を向きます。

 旅の間、16倍のキューブはTakeだったのか、Passだったのか悩んでいました。帰国後XGで解析すると、こちらが16倍をTakeしたB図の局面の勝率は3.9%しかなく、Passが正解でした。Takeはエラーでしたが、50点に過ぎませんでした。マッチ勝率としては、TakeでもPassでも大差なかった。ちなみに、16away-4awayのマッチ勝率は、XGのMatch Equity Tableによれば5.5%でした。
 実は、こちらから8倍キューブを打ったA図の時点で、こちら白の勝率81%でした。XGによれば、先方の黒はPassするのが正解で、Takeは406点のエラーでした。

 自分がバックギャモンを楽しんでいるのは、「非日常」を感じるからだと考えています。普段の生活でも、自分で判断して、自分の判断の結果を引き受けているようですが、実際には世間や会社の規範や規則に沿って判断していているだけで、判断結果もよかったのかわるかったのか判然としないことが多いのではないでしょうか。バックギャモンでは、自分の判断の良し悪しが試合結果という形で明らかになります。
 今回も自分で勝率81%の局面で8倍を打ち、その結果相手に6ゾロ、3ゾロ、1ゾロを振られ、勝率3.9%の局面で16倍をTakeし、結果として17ポイントマッチをわずか5ゲームで負けました。隣の対戦者から、「あれ、もう終わったの。早いねえ。」と言われました。もちろん悔し紛れではありますが、この対戦もたいへん「非日常」を感じられたことは、間違いありません。

 Championshipは、2敗失格制で1敗すると敗者復活戦(Fighter’s Bracket)に回ります。敗者復活戦の1回戦は15時から。対戦相手はなんと、Jörgen Granstedtさんでした。世界選手権を3回制覇。前回参戦したSwedish Opneでたいへんお世話になりました。対戦できて光栄です。
 さて実戦。こちらがPassすべきキューブを引いてしまう大エラー等ミスを連発したうえ、出目にも相当な偏りがあり、11ポイントマッチ0-5からこの局面、相手から4倍キューブが来ます。

C 図 黒の手番 黒5-白0/11

 黒3ロール、白もほぼ3ロール。通常のスコアではPassでしょうが、このスコアではTakeと考えました。XGによれば、ここでもPassが正解ですが、まあ19点のエラーでした。
 相手が41を振って2枚上がり。こちらの手番が下記の局面です。

D 図 白の手番 黒5-白0/11

 実戦では、ここで41を振り、その後何ごともなく負けて0-9になったのですが、XGの解析を見て驚いたことに、「ここでRedoubleせよ。」とのこと。しないと77点のエラー。まあ、エラーの値は(他の大エラーに比べれば)小さいのですが、XGによれば、ここでの勝率は22.6%あるので、「ここで8倍にして勝てば8-5で逆転でしょ。」とのこと。実戦中は8倍へのRedoubleなんて考えもしなかったなぁ。ここで逆転は5通りしかないと考えていたのですが、21以外の普通の目を振った後、相手がゾロ目を振らなければ、次のロールでは6通りのどのゾロ目を振ってもいいので、勝率22.6%もあるのか。Championship第1戦で3.9%でTakeしていたのであれば、勝率22.6%は5倍以上。わたしゃ、All In大好きなのに、一瞬たりともキューブを考えなかったことを恥じます。
 その後、6-9まで頑張ったものの、このマッチも負けてしまいました。まあ実力通りといえば、その通りですが、相手が強豪というのを意識しすぎてしまったかもしれません。

 この日の夜20:45から、Doublesが始まります。個人戦が終わった後に設定されているのでしょうが、時差ボケの我々はすでに眠いぞ。1回戦の相手はなんとVincentさんとTristanさん。昨年のGiblartar OpenのDoublesのMoney Roundで対戦したペアでした。

資料映像 昨年のGiblartar Open表彰式
左から2番目と3番目がVincentさんとTristanさん

 相手も昨年対戦したことを覚えてくれているようで、再会を喜びました。強いペアであることは間違いありません。鴨だと思って喜んでいるのかもしれません。
 しかし、ギャモンは実力だけで勝てるものではありません。MixedDoublesに続きDoublesでも、かみさんがロールして、わしがムーブします。すると、かみさんの出目が冴えわたること。窮地に陥っても、都合の良い出目で解決します。
 7ポイントマッチ6-0になり、クロフォードゲームを迎えました。しかし、ここからなぜか良い出目が振れません。相手がブロットをさらしても、直前までびしびし当たっていた出目が、スカーッと外れてしまいます。というわけで、Doublesも1回戦負けに終わってしまいました。
 帰国後、XGの解析を見ると、相手のPRは1点台、こちらは8点台と実力差があったのは間違いないのですが、もう少し良い出目が続いていればリベンジできたところだったのに、極めて残念です。

大会3日目

 この日は雨が降っていたので、お散歩には行かず、ホテル内の小さなジムのバイクやウォーキングマシンで遊んでいました。狭い空間ですが、筋トレのマシンもいくつか置いてありました。
 ホテルのロビーを通ると、シュエットをしている人たちがいます。何度か通りがかりましたが、いつ行ってもだれかしら賽子を振っています。みんなギャモンが好きですねぇ。

 ChampionshipもDoublesも敗退してしまったので、Redemption Eventに参加します。Redemption Eventは、ChampionshipやAdvancedで敗退した人が参加するようなサイドイベントで、日本の大会の Last Chance とは異なり、エントリーフィーを更に払って参加します。3回戦で敗退した人も、4回戦で敗退した人も順次参加してくるようなトーナメントです。
 5ポイントマッチ、棋譜を取っていなかったので良いプレーができたのかどうかもわかりませんが、1勝1敗で終了。
 これ以上ほかのサイドイベントに参加する意欲をなくし、ビールを飲んでしまいました。

大会4日目

 昨日までで仕上がったので、今日はCopenhagenの市内観光にでかけることとしました。明日大会は終了しますが、明後日にはもう南の国に移動しますので、市内観光に行くのであれば今日しかない。
 Scandic Hotel Sluseholmenは、Copenhagenの中心地にほど近く、City Passを購入してバスと地下鉄を乗り継いで市の中心地に向かいます。べたですが、Nyhavn(ニューハウン)・王宮・デザインミュージアム・人魚姫像などをまわります。

Nyhavn(ニューハウン)
王宮の衛兵
人魚像

 ぐるっと散歩して、王宮まで戻ってきたとき、衛兵の交代の時間で、王宮の広場ではすでに人垣ができていました。かみさんが、ぴょっぴょん跳ねて人垣越しに衛兵の交代を見ようとします。しかし、広場の足元には段差が!わしは、「階段、階段」と叫んで、かみさんに注意しようとしましたが、ときすでに遅く、かみさんが着地した足元の段差で倒れてしまいました。すぐに回りの人達が助けにきてくれます。北欧の人たちは親切です。頭を打ったりはしなかったようですが、足首を捻挫しています。
 グーグルマップで薬屋を探し、包帯と塗り薬を購入し、その場で手当しました。その後、バスとタクシーを乗り継いで、ホテルに戻りました。フロントで氷をもらい、患部を冷やしました。ホテルでは、嫌な顔ひとつせず3回にわたって氷を無償で提供してくれました。
 今後南の国を2週間ほど旅する予定でしたので、どうなることかと思いましたが、ホテルの協力もあって、おかげさまで捻挫はさほどひどくなく済んだようです。みなさまに置かれましても、海外の事故には十分お気をつけください。衛兵の交代があっても、足元を確かめずにぴょんぴょん飛び跳ねないことをお勧めします。

大会5日目

 捻挫のため、この日はおとなしくしていました。表彰式ぐらいは見物しようかとそろそろ降りていきましたが、ギャモンあるあるですが予定時間に表彰式が始まりません。わしがトイレに行っている間に、MarcOlsenさんがかみさんにMixed Doublesの賞金を渡してくれていました。となれば、捻挫のケアもあるので大人しく部屋に引き上げてしまいました。

 というわけで、表彰式の写真もお見せできませんし、トーナメントは Warm-Up のMixed Doubles だけしか盛り上がりませんでした。しかし、海外の大会も何度も参加していると、知り合いが増えてきて、ちょっと声をかけてくれるだけで楽しいものです。
 今回は後から棋譜を眺めると、ありえないようなミスをしていましたので、もう少し修行してから、次の大会に挑みたいと思います。

 そして、この後、われわれは南の国に出かけましたが、それはまた別の話。

南の国

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