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廃部

部活動を楽しみに入学した中学校。

最初は顧問も先輩もいて楽しかった。

2年生になって
剣道を指導できる顧問は不在となり、
剣道部はぼくたちの代が卒業したら
廃部になることになった。

だから新入部員も募集しない。

先輩たちが引退し、
ぼくと同級生のハナワは
2コート分取れるだだっ広い剣道場を
2人きりで使うことになった。

剣道を指導できる顧問がおらず、
部活動は廃部に向かう中で、
部員は2名しかおらず、
その1名は剣道初心者。

剣道が強くなれると思って楽しみにしていた
中学校の部活動ライフ。

それは
指導者不在の中で自分を律して、
初心者指導をしながら自分の稽古もして、
部員2人という寂しさを感じながらも活動し続け、
他の部活や先生から何かあわれんだ視線を感じながらも
結果を残すことで存在感を誇示し続ける

ぼくにとっては劣等感から生まれた
執念の逆境生活だった。

。。。

剣道は強くなったけれど、
それ以上に人間として強くなった気がする。

そんな生活を送れたのも、
家族に剣道部に入部したと嘘をついて
ほっつき歩いていたけれど
ついにバレてしまい泣く泣く
入部する羽目になった初心者のハナワの存在があったからだ。

入部した事情や彼が初心者であることは
ぼくにとっては特に関係がなく、
稽古相手になってくれたことに感謝したい。

1人でできることなんてたかが知れていて、
知らず知らずのうちにぼくは
他人から影響を受けて生かされている。

今になって
中学校生活はぼくの始まりだったように感じている。




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