斜光(4)

 空はまるで鏡のように澄明で、ところどころに刷毛ではいたような雲が散っている。季節の割に日射しは強く、皮膚をちりちりと刺激するが、冷たい風が小火を消そうとするかのごとく私の全身を撫ではだく。風は、猫の鼻のような冷たさであった。

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