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「わたし」を駆け抜けた「わたしたち」

わたしが今ここで
自分と一緒に生きている。
毎日も
ちょっとした心の動きも
実はとらえきれてない重石も
わたしがわたしといてくれるから
端っこだけでも垣間見える。
だからこうして
わたしがわたしでいること以上に
ほしいものなんて実はない。

『わたしの全てのわたしたち』は、なんという本なんだろう。
こんな気持ちにさせられるなんて。

全編が詩としてつながっている物語で気軽にちょこちょこ読める。
最初は「結合双生児がテーマのよくあるノンフィクション風」としか思ってなかった。
でも、だんだんなにかが主人公のグレースとぴたっと合ってきてしまって。
物語を語るグレースの繊細さが、その隣にいつもいるティッピの優しさが、波のように伝わった。
かわいらしい気持ち、ちょっと憂鬱、グレースとティッピだけの体感、深まってく現実、そこにわたしの体までどんどんのっていってしまった。
1ページ1ページを、今、わたしがめくるのだ、とここまで意識したのは初めてだった。1ページをめくるのが、こんなにも重い、と感じたことも。
だからグレースとティッピと、越えた感じになった。わたしの体の中を2人が駆け抜けていったようだった。

気持ちが、なにかを叫びたいし2人に届いてほしいのだがうまく外に出せない。
だけど生きていくことの本質で直面していることについては、わたしもきっと一緒。
頭の中だけで自由に
人生をこさえることはできない。
来た球を打つしかない。
生きて、すべて見るしかないから。

2人に、
ありがとう。愛してるよ、ずっと大好きだよ
と伝えたい。
会ったことないのに、
フィクションの人なのに、
心からそう思う。

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