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紡いだ糸を継いでくもの
私、お年寄りがすごく嫌いでした。
「お年寄りはいるだけで偉いんだから大事にしなきゃ、若いもんが動け」
ひたすら真に受けてそうしてたときもあったけど、年齢の差はあってもただの対等な魂どうし、年をかさに威圧的になる人は好きじゃないって思ってたし、今もそう思ってる。
母方の祖母が、中高の女子寮の寮母さんが、自給自足コミュニティーの人たちが、本当に苦手だったのです。
決めつけて押しつけてくる、私が絞り出した無様で真剣な気持ちを鼻で笑う、若いから何も分かってないと嘲る、
ほんとうに悲しかった。
若いから対等になれない、そのことは私の心にすごく影を落としたし、早く40歳になりたいと切望しました。
でも、みんなどんどんこの世を去り、じぶんの青さもしみじみ分かってきて、
何より、大切な、素敵な先輩方と一人一人巡り会って、
やっぱり、生を紡ぐことを長く続けてきた人を、かけねなく尊いなと思うようになりました。
『レ・ミゼラブル』や『九十三年』が好き、死ぬまで生き抜くことの、その生き様の凄みが。
そこにゆがみや癖みたいなのは限りなくあって、皆生きたようにしか死ねないんだけど、でも死んだ後はみんな、よく生き抜いてくれましたってタオルで受け止めたい。そんな気持ちになる。
そして、その人が紡いできた生の糸を、かけがえのないものとして大切に継いでいきたいなあと思うのです。
世界でたった一つの味わいのものばかりだから。
その継承が自ずと起こる、宇宙の摂理をすごいなあと思います。
窪美澄さんの『トリニティ』を読んで、改めてそんな気持ちになりました。
帰省の前に読めてよかったなあ~~!
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