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取り返しのつかないものはある。けど

吉本ばななさんが前に、なんでもひとつ減ればひとつ増えるとおっしゃっていた。

ひとつ減ればひとつ増える|吉本ばなな @y_banana|note(ノート)https://note.mu/d_f/n/n9e7bd2288f35

大学3年になってから、夜逃げをした。

そこから昼夜問わず悪夢を見て(絶対実際に念も飛んできてたと思う)、今までのいろんな悲しみが、泡のようにわいてきた。

そのどうしても悲しかったことのひとつが、「私はきょうだいと過ごす子ども時代をうしなってしまった」ということでした。
特に5番目とは、1年も一緒に過ごしていない。言葉がしゃべれるようになると「(staphyは)ねえちゃんじゃないーー!!知らん人ーー!!」とマジ泣きされて、私は心で号泣した。
もちろん私は全然いいお姉ちゃんじゃない、糞意地悪ババアだ。けど、ほんとはうっとおしいくらい当たり前に、みんなと大きくなる時間を共有したかった。
でも、失われた時間はもう取り返しがつかないんだ。取り返しのつかないことなんてない、っていうけど、取り返しがつかないって悲観ではなくただの真実なんだ。
それが悲しくて、毎日泣き暮らしていた。

それから2年ほどたち、薄紙を剥ぐように傷は癒え、でもまだかさぶたかなりやわいとき。
台湾から実家に、3週間一時帰国した。
2年前だったら有り得なかったけど、父は単身赴任で去り、きょうだいとは連絡を再開し、いけないことはないかも…と思って踏み切った。

その3週間は、一生忘れることのない色彩になった。

ここのお店の人が、親子孫3代なのが顔見ただけで分かるので爆笑だった笑
ちなみにお好み焼き屋は2番目の50以降の夢。

我が家はなぜこんなにも大富豪が好きなのか。そして自分が1番じゃなきゃ終わらないやつが2人もいる(2,3番目)から、永遠に終われない。

母方の祖母(通称:島のばあちゃん)の家にいくときの3,5番。

4番目たっての願いでとった謎プリクラ。(今見ても謎すぎる笑)

学校をさぼって5番目の夏休みの宿題を手分けして終わらせた1,4,5番。得意気に記念撮影

ついでにそのあとゲーセンでお菓子のリュックを勝ち取り、我が世の春を謳歌する5番目。

2番目の引っ越しの買い出しを手伝う1,5。

2番目の新居(当時)。その後1年間ほど実家からのシェルターとして機能。

牧場に行きました(帰りは車でソーセージのうた大合唱)。

この3週間で、全てがひっくり返った。
返ってこないものは返ってこないものであるけれど、そんなことが霞む幸せがあふれた。
きょうだいがみんな、くれた。
こんなにも与えられるということがあるんだ、ほんとにあるんだ。

ばななさんのおっしゃっていたことでいうなら、私は今までのきょうだいの思い出を持たず、この夏のきょうだいとの思い出を持ったのだ。
それは、それとしてすばらしい祝福だった。

取り返しのつかないことは、本当に取り返しがつかない。
でも、別の形でもどってくることがある。
それは時として何かの埋め合わせ以上の、人生の芳醇な味わいになるんだ。
私はこの夏、ほしかったものを全部両手に抱えて、最高に幸せなお姉ちゃんだった。

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