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牛な男の誕生日

本日は3番目が生まれた日!
エキセントリックな人間の多い我が家で、一般社会に唯一なじむ(笑)、心やさしい牛のような男を祝う日です。

3番目はふぐみたいにぷっくりしたお顔の赤ちゃんだった。白くて柔らかくて牛乳でできてるみたい、おいしそう、と思っていたのを覚えている。おっとりしてめったに泣かなくて、少し大きくなると滑り台の上で1人楽しくダンスしてた。

幼稚園にあがるとけんかをふっかけることを覚え、よく姉二人と馬乗りのけんかをしていた。すごく覚えているのが、年長さんのとき女の子と両思いになったこと。その子が引っ越しちゃうというので、母と姉二人でお節介を焼き、ばいばいのお菓子とお手紙を渡してきた。帰りの車なんでその子を好きなのか聞くと「ちゃんとおんなのこじゃけえ」。そーじゃね、強すぎる我が家の女を見とると、おさげのかわいいやさしい子にいくよねそりゃ。死ぬほど笑ったのを覚えている。(ちなみに女の子の好みは六つ子の魂百までのようだ)

おっとりした粘り腰の性質が向いていたようで、小学校にあがるまえからはじめたソフトボールでは、めきめき頭角を現していった。中学のシニア、野球推薦で入った高校・大学でも、入ったときからクリーンナップを任され続けた。そして本人はいちプレイヤーの方がいいのに、高校・大学ともに主将に担がれている。後から本人に聞いたら、野球は特別好きではないが嫌いでもない、やるならやろうとおもったとのこと(3番目は負けたじゃんけんのまま終われないほど負けず嫌いでもある)。

そのあたりが、私からしたら本当に宇宙人なのだ。例えば私も弟と同じソフトボールチームにいたのだが、監督やコーチにメンチをきってばかりいた。ソフトボールの上下関係の理不尽さが本当に受け入れがたかった。でも3番目は、なんというか鷹揚なのだ。真に受けすぎず、適度に右から左に流し、今自分がやるべきだなと思ったことをこつこつやる。そっちの方に重心がいく。また、人に対して明らかな拒否感を覚えることが稀で穏やかなので、周りの人から好かれる。「人が好き」というわけではなく、自分の軸があまり他人のせいでぶれないからそういられるようだ。その態度は反抗的でないと映るらしく、野球社会にあって重宝された。私からしたら自分は絶対できないことなので、尊敬と驚きを持って観察し続けている。

ただ、また別の一面として本当にしつこい。表面上そんな難しくない男のように見えて、自分が少し「ん?」と思ったことは、粘って粘って自分が納得行くまでこつこつ試行錯誤する。その牛のような粘りこそが彼の本当の強さなのだと思う。半年前に「本当に好きなことが分からない」と言っていたが、今もそれをずっと考え続けているのだと感じる。

今年3月までの4年間は、3番目が東京の大学、私が東京で働くという、私が親元離れて以降の人生で最も密に過ごした期間だった。私では選択肢にあがらない焼き肉屋に何度も外食にいったし、とにかく肉を買い込んで私の自宅で鍋をした。寮だったので泊まりはできないものの、2、3ヶ月に1回は会っていたように思う。こいつこんなやつに育っていたのか!と何度もびっくりしたし、一緒にいて気持ちよく気が抜けた。これからの人生でそうない幸せな時間だったと思う。感謝している。

誕生日おめでとう。
社会人野球はどう?楽しければ続けたらいいし、やめたかったらやめたらいい。
少しでものんびりして、自分の好きな楽しいことを知っていって、ただの自分に還っていけるといいね。
おまえが選ぶ人生をいつでも応援している。
素敵な、素晴らしい1年を!!

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