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一緒に大人になる

●東京ラブストーリー見終わる。2020年版のあとに1991年版も見た。(最初から最後まで見たドラマ、人生で2番目と3番目だ…!)
ドラマというものを見慣れてないので、生身の人間が濃密な恋愛感情を繰り広げるのに免疫がなく、見終わった頃にはかなり疲れてしまった。でも、人の心の美しい動きもぞっとする動きも描いた、ほんと胸に残る作品でした。
個人的に一番はっとしたのはまた全然別のことだった。
91年版見終わったあと、何気なくネットを見ていたら、織田裕二さんと鈴木保奈美さんが共演するというニュースが。「SUITS」というドラマでだそうで、そこに30年近くたったカンチとリカのツーショットが載っていた。
2人とも、大人になったんだなあ、とぐっときてしまった。
いろいろあったんだろう。楽しいことだけじゃなかったのが、写真だけでも伝わった。でも、それぞれの人生をこつこつ歩んで、成熟していく大変さと楽しさを味わって、昔の仲間とまたこうして会える。お互い大人になったことを嬉しく思う。それって年を重ねていく中での最高の喜びの1つだと思う。一緒に大人になるって、生きていかないとできないから。
生きてくっていいな、と2人の写真を見て感じた。

●この1年ちょっとCreepy Nutsのラジオをなんとなくだらだら聴いている(吉本ばななさんおすすめきっかけ)。HIP HOPを聴くことなんてほぼない人生だったのに、それでもなんだかんだ聴けちゃうCreepy Nutsすごい。
R-指定さんのリリックの、世の中に対する目やそれを表す言葉がうんと優しいし、でもはずさないシビアなポイントもあって、その絶妙さがしっくりくる。そしてそれを支えるDJ松永さんのトラックの、繊細さ・センスのよさ。めちゃくちゃファンです!ということではないのだが、聴いててやな感じがない。
ラジオはただひたすらあほなので最強です。笑
同世代のあほな男子、って感じがめちゃする、内モンゴルで泥団子投げ合った男友達たちを思い出す。休日朝にradikoのタイムフリーでだらだら流しつつ起きあがるのがルーティンになっている。
菅田将暉さんと出した新曲「サントラ」も良くて、なぜだか夏を感じる。Rさんの、自分の仕事に対する慈しみや愛があふれているヴァースにふふってなる。この曲が生まれるきっかけの茶番らへんからラジオを聴き始めたので、その意味でも感慨深い。松永さん2個上、Rさん1個上、菅田さんタメだからか「同世代の『今』感じて生きてること」を端々に感じる。
そっか、私たちこれから一緒に大人になってくんだ、とサントラを聴いててはっとした。
もちろん3人とも10年以上キャリアがあるわけで、既に押しも押されぬプロだ。経験値もめちゃめちゃある。
だけど、今この年じゃないと味わえないことを味わいながら年を重ねていくという意味では、同じなんだ。
遠くで一緒に大人になりながら、彼らの作品を聴いたり聴かなかったりする、というやり方があることに気づいて、ますますだらだらラジオ聴きつつ、私もがんばろ、と思った。

●10年前の夏「俺みたいなやつ社会でやっていけるわけないから、18なったら死のうと思ってた」と私にうちあけた子がいた。それは私にとって全く衝撃的なことだった。生き方も考え方も全く違うけど、仲良くなった。私がほとんど全ての人と縁を切ったとき、その子とももう会えない、と思ったが、ひょんなことから再び会えた。
3年前の夏その子が東京に来た。映画見たり、新宿から表参道から渋谷までうだうだ歩いたりした。
渋谷の安い居酒屋で
「私たち、大人になれてよかったね。いろいろあったけどそれぞれなんとか越えて、こうやって一緒にお酒飲めるようになって。生き延びるといいことあるね」
とぽつんと言った時の空気を丸ごとおぼえている。
その子ははっとして、それから周りの空気ごとほころぶようにうつむいて笑った。
「またいくらでも一緒に飲もうや」
そう言ってくれたことは、叶うのは難しくなったけど。
それぞれで人生踏ん張って、たまたま再会したら変わった厚み・変わらない目を嬉しく思う。
そんなもんでいい、それだけで生きるに値する。
もう会うことがなくても、ふんわりほころんだその瞬間のなにかは消えないのだ。

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