NHKマイルカップといえば、やっぱりマツクニ!

NHKマイルカップが日曜日に行われる。
1995年までは、NHK杯としてダービートライアルとして2000mで行われていた。
しかし、1996年に当時クラシック(皐月賞・ダービー・菊花賞・桜花賞・オークスの5つ)に出走できなかった外国産馬や、短距離適性のある馬に目標を設定するべく、1600mとなりGⅠレースに格上げして開催されるようになった。

過去24回で3勝している調教師がいる。
その名は、松田国英。
自身の管理馬として初めて挑んだクロフネ。
次走のダービーも完勝し変則2冠を達成したキングカメハメハ。
今もなお破られていない1分31秒4のレースレコードを保持しているダノンシャンティ。
強烈なインパクトを競馬ファンに残した馬ばかりだ。
優勝馬がその後活躍しないというケースがけっこうあるので、その3頭を管理していたというのは、すごいのひと言だ。
ちなみにマイルカップは3着に敗れたが、次走のダービーでは勝利したタニノギムレットも松田国英調教師の管理馬だった。

「マツクニローテ」という言葉がある。
クラシック第一冠の皐月賞には目もくれず、1600mのNHKマイルカップから2400mのダービーというローテーションのことを意味する。
距離の異なるGⅠで好走すれば、引退後の種牡馬として価値が高まる。という持論があったからなのだ。

今でもこのローテーションを進むことをオレは好まない。
やはり3歳馬はクラシック路線を歩んでもらいたいのだ。
たとえ距離の延長が不利であろうとも。
あの頃はまだ若かったから、GⅠが増えるぞ!と喜んでいたが、今なら素直にそう思っただろうか?

でもオレは競走馬育成については無知で無責任な人間。
彼の考えは、上記の4頭の種牡馬成績を見れば一目瞭然だ。
独自の理論を道を切り拓いてきた名伯楽。
そんな彼も調教師試験では11回目にして合格したという苦労がある。
難解である一次試験の筆記は毎年合格するも、緊張症でプレゼンするのが苦手らしく、二次試験の面接で落とされていたのだ。
もし最初の試験で合格してすぐに開業できていたなら、名馬をもっと育ててきたはずだろう。
日本競馬会の損失は、計り知れないくらい大きかったのではないだろうか。

その一方で、激しい調教を課すことで故障し、引退を余儀なくされたケースが多々あり、非難されることもあった。
しかし、良い成績を収め、種牡馬の価値を高めるという意味では、彼の考えを自ら体現したのではないかと思う。
最近では、なるべく故障しないようにゆとりのあるローテーションを組んだり、同一馬主の関係でレースを回避したりして、レースに出てもらいたい馬がこぞって出ることがない。
いったいどの馬が現役最強なのかわからない。

来年をもって定年を迎えてしまう松田調教師。
彼が育ててきたのは競走馬だけではなく、人も多く育ててきた。
現在リーディング調教師もいる。
彼らたちにマツクニイズムを継承してもらいたいところだ。

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