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DXってよく聞くけどなんのことでどのような役割が期待されているのでしょう?  <企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題>

大学院講義振り返り 第3回
情報産業論 第1回

※本記事は『令和3年版情報通信白書』のデータに基づいて作成しておりますので、現時点においては数値等の誤差がある可能性がありますので、ご留意ください。

❶デジタルによる生産性の向上
①生産性向上の必要性

 労働生産性について、我が国の国際的な位置づけをみてみると、2019 年時点でG7 各国の中で最下位(米国の6割という惨憺たる状況です)

 就業者一人当たりの就業時間はイタリア及び米国に次いで長く、時間当たり労働生産性は、G7 各国の中で最下位
(こちらも日本人は無駄に長く働いているのではないかと推定される残念な結果となっております)

 ここまでみると、日本人は先進国の中で働く時間はそれなりに長いものの”効率が悪い”と言えるのではないでしょうか。
 この時期話題になっていた”ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)”が日本には多いんでしょうか?

↑ブルシット・ジョブについてはこちらをご参照ください。
ある意味仕事観や人生観が変わります。
(文化人類学者からこのような理論が発表されたことは興味深いと思います)

②ICTと生産の効率化
ア 情報通信産業の生産性への貢献
 2000〜2019年における情報通信産業と一般産業の労働生産性の推移を、2000年を100とした指数で示した場合、他産業と比較すると「不動産」、「医療・福祉」、「対個人サービス」などが 80 〜100 程度で横ばい又は下降傾向にあるのに対し、情報通信産業の生産性は上昇傾向を保っています。
 IT系はタイパがいいと言えるのかもしれませんし、2019年時点ではその他の産業との乖離がますます進んでいます。

イ ICT ソリューションの生産性への貢献
 2010 年から 2020 年まで一貫してクラウドサービスを利 用している事業者の方が、利用していない事業者と比較して労働生産性が高くなっています。
 同様に、テレワークの導入状況と労働生産性の関係についても見てみると、2011 年から 2020 年まで一貫してテレワークを導入している事業者の方が、導入していない事業者と比較して労働生産性が高いことがわかります。
(アフターコロナにおいて、無理に出社させたり、人を集めて会議を開きたがる企業はブルシット・ジョブを拡大しているんじゃないでしょうか)

③生産性向上に向けたICTの活用
 我が国企業におけるこれまでの生産性向上の取組は、業務の省力化や業務プロセスの効率化といった取組にシフトする傾向で、既存製品・サービスの高付加価値化や新規製品・サービスの展開に取り組む例は多くありませんでした。
 そのため、ICT 投資も既存業務の効率化を目的としたものになりがちで、労働生産性を引き上げる効果も小さかったのです。
 他方、グローバル市場では GAFA に代表される巨大な ICT企業が存在感を示しているほか、新興国・途上国においてもデジタル化が急速に進み、次々と新製品・サービスが登場しました。

 今後、我が国企業が生き残っていくには、デジタル技術を単に業務効率化のためのツールとして使うのではなく、デジタルを前提とした組織、文化、働き方に変革するとともに、新しい製品やサービス、ビジネスモデルを通して新たな価値の創出につなげるDX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組むことが求められています。

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