見出し画像

マーメイド

おはようございます。

気づけば2ヶ月ほったらかしのnoteでした。
いろいろあったはずなんですけど、まぁ今度まとめて……と思ううちにマーメイドが終わってしまいました。


はい、新作「マーメイド」全17公演、無事に終演しました。
一ヶ月にわたる長い長い航海でしたが、期間中に怪我人が出ることもなく乗り切れたことをまずは嬉しく思います。





思い返せば9ヶ月前、年明け早々から始まったクリエーション。
クマノミとロブスターの遊ぶ海底シーンから全てが始まりました。

(ちなみにロブスターは当初タツノオトシゴになる予定でした。後々変更になったのですが、振付をよく見るとタッツーだった名残が見られます)



そこからジゼル、Opto、カルミナ、バヤデールといろんなリハーサルと並行しながらクリエーションは進んでいきました。

忙しすぎてクリエーションに参加できず、別リハを終えて合流したら知らない間に激ムズパートが追加されていてWhoa!!みたいなことはよくありました。笑





今回キャスティングされた3役、これらはどれも最初からやると決まっていたわけではなかったんですね。




ファーストキャストの物乞い

当初掲示されたリハーサルキャストには入っていなかったのですが、酒場のシーンの振付が始まったその日、メンバーを見たディレクターがその場で僕を物乞いに指名してくださいました。


セカンドキャストの王子の友人

こちらも最初からキャスティングされておらず、一切のリハーサルに関わっていなかったのですが、初演の幕が開く数日前に急遽「やる……かも。」と知らされ。笑

バレエマスターの西野さんや、他キャストのみんなが付きっきりでリハに付き合ってくれること2時間。振りを頭に叩き込み、次の日にザッと一度リハーサルして、そして名古屋公演で本番の舞台に立ちました。

10数年のキャリアの中で代役の経験はたくさんありますが、ここまで切羽詰まった代役は初めてでした。サポートしてくれたみなさんのおかげなのですが、結果的に7回も舞台で踊って、あぁ何とかなるものだなと変な自信もつきました。


サードキャストのロブスター

こちらも最初にクリエーションが始まったときには呼ばれていなくて、「あー難しそうだなぁ大変だなぁ」とスタジオで四苦八苦している後輩を眺めていたら、突然召集されて、そのままキャスト入りしました。



そんなわけでマーメイドに関しては、自分にとっては何が起こるか分からない、ある意味ではスリリングな公演でありました。





そんな全く違う3役。踊り分けはとても楽しかったです。


物乞いは「面白くする必要はない」という指導をいただいたので、やんちゃ坊主的な、手癖悪くてどうしようもないけど何故か憎めないヤツ、みたいなキャラ造形にしました。

踊りに関してはとにかく緩急のつけ方、音の取り方にすごくこだわりました。
基本的に早い動きが多いのですが、その素早さを最大限に活かすための音の使い方を考えたり、敢えてゆっくり動く箇所を作ったり、いろいろ工夫しました。

難しかったですが、特に9/28と9/29の公演では会心の出来が披露できたかなと思います。誕生日ボーナスかもしれません。笑



王子の友人は、正直こだわるという部分まで詰める時間がなかったのでとても苦戦しました。毎回の本番でどんどん詰めていくような感じでした。

酒場では少しラフに、婚礼式ではきっちりクラシカルに。
ただ基本的には落ち着いて踊ること、そしていい意味であまり目立たず踊るよう心がけました。

一番楽しかったのは、陸に上がってきたマーメイドの第一発見者になるシーンですね。笑



ロブスターは、ファンタジーな世界観の場面に出てくるので、もう思いっきり可愛く踊りました、年甲斐もなく。

海底をカサカサ移動する甲殻類っぽい、虫っぽい素早い感じと、水中遊泳の感じと、両方が出るように振りを分析して踊り分けた……つもりです。

一番のこだわりはクマノミ登場後に舞台を駆け回るところ。とにかく泳いでる感、重力が無いっぽく見えればなぁと思ってがんばりました。

演技に関しても、脇でやるにはちょっとやり過ぎかな…と反省するくらいみんなと遊ぶようにしました。ヤドカリくんもサンゴちゃんも、それぞれ違う反応をしてくれて楽しかったです。





総じて、マーメイドは本当に難しかったです。
踊りの難易度がどれもこれも非常に高くて、本当に苦戦しました。

今まで自分はどちらかといえば身体の利く方かなと思っていたのですが、全然そんなことないな……と、期間中は自信を失うことばかりでした。

卑屈になっているわけではありませんが、まだまだ身体の研究が必要で、もっともっとやれることがあるなと改めて気が引き締まる思いです。


逆に嬉しかったのは、「フレッシュだ」というお言葉をいただいたこと。

Kバレエも20代前半の若手の台頭が著しく、頼もしいなと思う一方で自分は中堅としてどうあるべきか、いろいろ考えることも増えてきていたのですが、その若いみんなに混ざってもフレッシュに見えたということで、まだまだイケるな、なんて思った次第です。笑






他にも思い返せばキリがないのですが、一旦区切りにしたいと思います。


クリエーションのプロセスを見ていると、改めてディレクターは天才だなと驚くばかりで、それを間近で見られる、というより体感できるこの環境は、厳しいけれど何よりも貴重ですごいものだと。

たくさんの機会を、学びをいただき、本当にありがとうございました。


衣装さんメイクさん舞台スタッフのみなさん、本当に難しい裏作業だったと思いますが毎公演本当にありがとうございました。


バレエスタッフのみなさん、仲間のダンサーたち、そして観に来ていただいたお客様。


全ての関わってくださった皆さまに感謝いたします。

ありがとうございました!!

いいなと思ったら応援しよう!