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Web3.0 の概要や定義と自分なりの理解のまとめ

最近聞いた↓の Podcast の内容やこれまでのインプットをもとに、ブロックチェーン、Crypto(暗号通貨)が作る Web3 とはなんぞや、ということを理解するためのメモ的なまとめになります。

Naval は Twitter フォロワー150万人を持つ Thinker / Influencer といった人物で、テック系のエンジェル投資家として有名です。

Chris Dixon は米国のトップティアVCの a16z のジェネラルパートナーで、もともとプログラマー、そして複数のスタートアップを創業&売却した経歴を持ちます。かなり早期からブロックチェーン / Crypto をウォッチしているようで知見の量が半端なく、また a16z で Crypto への投資も積極的に行っていることから、長期的でマクロな視野があり、かつ物事を端的に分かりやすく説明する能力に長けています(これは Naval もですが)。

Web3 とは

Web1、Web2、そして Web3 の特徴をシンプルに表現すると、

Web1: Read only、オープン
Web2: Read & Write、クローズド、IAMユーザー
Web3: Read & Write、オープン、ルートユーザー

といった感じのはず。(異議は認めます。)

Web1 ではHTTPというオープンなプロトコルの上にさまざまなウェブサイトやシンプルなアプリケーションが作られ、ユーザーは主に情報を閲覧/取得するという行為のみを行っていた、年代で言うと 1990 - 2004年あたり。

2005年以降の Web2 では、ソーシャルメディアに代表されるように、コンテンツやデータを投稿したり、ユーザー間でコミュニケーションを取るといった双方向のデータの流れが爆発的に増え、それにモバイルというトレンドが重なって、結果としてビッグテックがプラットフォームを掌握するという時代になりました。そしてこれらのプラットフォーム上でユーザーによって作られるデータは全てプラットフォームの所有者であるビッグテック(Google、Facebookなどなど)がコントロールし、データはプラットフォーム間の移動ができないクローズドなものです。これらのユーザー(我々)はそれらの企業から与えられた限定的な権限を持っているIAMユーザー的なもの、と捉えることができます。

Web3 では Web2 同様データの読み書き(閲覧 & 投稿)が可能なことに加え、それらのデータはいち企業のデータセンターに保存されるのではなく、ブロックチェーンに書き込まれ、それらはオープンなものとなります。また、基本的にはそれらのデータの所有権はユーザーに所属し、コントロールも自由にできることが前提になります(もちろんそのブロックチェーンのルールやポリシーに依存することにはなるとは思いますが)。

Chris Dixon 流の Web3 の定義は以下です。

Internet owned by users and builders orchestrated with tokens

Web3 の持つ特徴を端的にまとめた、シンプルながら深い定義だと思います。

ブロックチェーンのムーブメントは Bitcoin からスタートしましたが、それにプログラマブルな性質を持たせたのが Ethereum(イーサリアム)。

Chris Dixon は、イーサリアムはコンピューターであると言い切っています。コンピューターの定義である「プログラムを書けて(実行できて)データを保存できる」ということがイーサリアム(ブロックチェーン)で可能だからです。

そして最近はイーサリアムのようにプログラマブルながらイーサリアムとは異なる特徴を持つ L1 のブロックチェーンもいろいろ出てきている、という状況です。例えば Solana とか。

ちなみにクリプト界隈では今後マルチチェーン(複数のブロックチェーンが共存)な世界になるという見方が一般的のようです。それぞれのチェーンの得意とするところが異なるため、用途に応じて使い分けられる世界です。

Web3 で重要となるのがトークンの概念で、non-fungible な NFT、そして Currency(通貨)として機能する fungible トークン($BTC や $ETH といったいわゆる Crypto)があります。

このトークンは創造される価値(Value)、そしてオーナーシップやコントロールをユーザーやコミュニティーにもたらします。ここが中央集権的と言われ、ビッグテックがプラットフォームを持ちデータやコンテンツをコントロールする Web2 と根本的に異なる部分です。

Web3 では、プラットフォーム自体やそこにストアされるデータは全てユーザーやトークンホルダーに所有権があります。Bitcoin もイーサリアムも、企業(company)が所有するものではなく、イーサリアム財団や R&D ラボのような団体は存在しますが、彼らが圧倒的な決定権を持っている訳ではありません。逆にここが達成されていない = 非中央集権的でない L1 チェーンは支持されないはずです。もちろんイーサリアム vs Solana など、非中央集権の程度の差はありますが。

そして Web3 の世界ではコードもオープンなので、デベロッパー(開発者)にとっても魅力的と言われています。Twitter や Facebook は彼らの采配で API の提供をコントロールできてしまいますが、Web3 ではその心配がありません。開発者は自由にコードを使え、その上に自分の作りたいものを作ることができ、また違う人がそれを使うことができます。よくレゴブロックに例えられるこの Composability という性質により Web3 の世界は進化や発展のスピードが速いだろうと言われています。コードがオープンで、誰でも自由に使うことが認められているためです。

Composability in Web3 is to software as compounding interest is to finance.

↑は Chris Dixon が素晴らしく的確に Composability の魅力を表したセンテンスですが、簡単にいうと「Web3 の Composability は金融で言う複利のようなもの」と言う意味合いです。投資や資産運用などをやっている、あるいは少し勉強したことがある人にとっては複利のパワーというのは周知の通りと思いますが、ソフトウェアにとってこの Composability と言うのはそれくらいのパワーがある、ということです。

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ブロックチェーンとトークンが可能にする Web3 はこれまでのインターネットにはない非常にユニークで魅力的な性質を持ちますが、個人的にはアプリケーションによって向き不向きというか、世間で受け入れられるまでの時間の早い遅いがあるような気がしています。例えば DeFi は現行のシステムと比較して圧倒的なメリットを比較的早く、しかもデメリット少なく提示できそうで、意外と早く実際の利用や普及が増えそうな気もしますが、反対にこれまでの Web2 のソーシャルメディアなどが Web3 に置き換わるのは色々ハードルがあり、実現するとしても時間がかかりそうな気がします。

また、NFT についてはアートの世界はバブル感が強いですが、根本的なテクノロジーとしては非常に魅力的で、かつクリエイターにとってもメリットが大きいものなので、今後さらにアートを超えたユースケースが増えると予想します。ゲームにおいては既に始まっていますが、購入したアイテムを他のプラットフォームや仮想世界に持ち出せたりといった、これまでのクローズドなゲームとは明らかに異なるメリットがあり、また、Meta(旧Facebook)やApple、Microsoft などのビッグテックが力を入れているメタバースや XR との相性も良さそうです。

ソーシャルメディアをはじめ今の Web2 で色々問題があるのと同じように、Web3 でも(新しく発生する問題含め)問題やダウンサイドは色々出てくると思いますが、個人的にはとても可能性を感じます。