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SaaS開発中の自分が2社目となる株式会社をつくる上で意識した点と、スタートアップ事例

株式会社を設立するときにはいろいろ決めなければならないことがあります。

自分は1社目の株式会社を9年前、23才のときにほとんど下調べや設立後の資金繰りなど考えず、ほぼ会計事務所に丸投げで作りました。

今のところその会社は外部からエクイティーで資金調達は行っていないので、設立時の決め事や設定が大きな問題になったということは今までないのですが、今年開発をスタートさせたSaaS(Software as a Service)用に新しく作った株式会社については、一応株式による資金調達も可能性のひとつとして検討はしているため、自分なりに1社目よりは少しいろいろ考えた上で設立しました。それを簡単にまとめたのがこの記事になります。

スモールスタートで起業したい or する予定、あるいはスタートアップを始める予定、という人にとって少しでも参考になれば幸いです。

尚、自分は専門家ではないので、あくまで参考程度とご理解ください。

自分でするか専門家に任せるか問題

法人を設立する時は基本、自分で調べて書類つくって全部やるか、あるいは会計士や会計事務所などに任せるか、の2択だと思います。

これは自分で一度そのプロセスを勉強がてらやってみたいかとか、その時間と根性があるかとか、お財布事情とか、そういうことを総合的に考えた上で決めることだと思うのでどちらが良い悪いはないと思っています。

最近はfreeeなどのソフトウェアを使って結構簡単に書類とか作れるようなので、一人でやるにしてもハードルは以前よりもかなり下がってるはずです。

自分の場合は以前からの付き合いということもあり、1社目と同じ会計事務所にお願いしました。

ちなみに会社設立業務のみ請け負うところもたくさんあるとは思いますが、自分がお願いした会計事務所はその後の月額の顧問契約1年分プラス1期目の決算業務をパッケージにしているところだったので、法人設立費用だけでみると実質ゼロ円といった内容でした。ま、そのあと顧問料とかはかかってくるので法人設立費用をゼロ円に見せてるだけなのですが。

尚、自分で全部やる場合もたぶん合わせて20万円くらいはかかるはずです。

法人設立時に決めること & 内容

設立する会社について決めなければいけないことは主に以下の部分でしょう。ちなみに会計士などにお願いする場合でも、助言はもらえるはずですが、結局最終決定は基本自分でしなければいけません

* 法人名
* 本店所在地
* 公告の方法
* 資本金の額
* 1株あたりの金額
* 発行可能株式総数
* 設立(予定)日
* 事業年度
* 定款(事業の目的)

仕事で扱ったり過去に会社設立経験があるひと以外で、最初からこれら全部を理解してる、というひとはほぼないのではないでしょうか。

自分なんて最初せいぜい法人名、住所くらいで他はざっくりと決める内容はわかるけど、ベストプラクティスやどう決定すれば良いかという決定プロセスは全然わかっていませんでした。

法人名

会社名を決める上で悩むことのひとつに前株か後株か問題があります。その名の通り「株式会社」が名前の先頭にくるか最後にくるか、という点です。

「株式会社メルカリ」は前株、「トヨタ自動車株式会社」は後株です。

みなさんけっこう言いやすい方、あるいは聞こえがいい方、とかで選んでるような気がしますが、個人的には1社目も2社目も後株にしました

理由は英語表記で前株がないから、というだけです。

アメリカでよくみられる Inc.(incorporated)やイギリスなどで使われる Ltd.(Limited liability company = 有限会社)はどれも会社名の最後にきますよね。なので自分は日本語表記と英語表記で順番が逆にならないよう、いつも(って言っても2回だけですが)後株にしてます。そして今後もし新しく会社を日本で作ることがあるとしても、ずっと後株を選ぶはずです。

ちなみに感覚的なイメージではありますが、世間一般的には後株より前株の会社の方が多いんじゃないかと思ってます。裏付けるデータは持ち合わせていません。

本店所在地

会社の本社所在地です。最初から支社があるところは少ないと思うので、会社の住所と同義ですね。

あとからこの登記住所の変更(本店移転)を行う場合は、3万円または6万円というもはやぼったくりのような金額がかかります。

また、最近は会社設立が完了した直後から勝手にいろんなサイトがその情報をインターネット上に載せるので、会社名で検索したら登記上の本店住所が出てきたりしますし、設立直後に会計事務所や税理士事務所、社労士事務所などから営業の資料がたくさん送られてきたりします。

なのでそれらの点を考えて、最初からオフィスを用意できる場合はその住所で登記した方がいいように思います。

とはいえ実際はとりあえず住んでいる家の住所で登記する、というケースも結構あるとは思うので、その際は上記の点(ネットに載ったり資料がたくさん送られてくる点)にご留意ください。

公告の方法

そもそも最初は「公告(こうこく)ってなんやねん」って感じかもしれません。自分はそうでした。

詳しくはWikipediaなどの情報源をみてもらえればと思いますが、簡単に説明すると「決算などの定められた情報を開示すること」で、これは株式会社の公告については会社法で義務付けられています。

ただし、実情はというと、ちゃんと公告している会社はかなり少ないらしいです。

公告の掲載方法としては、

1. 官報に掲載する
2. 新聞に掲載する
3. 電子公告

の3つがあります。一般的なのは1の官報です。以下のサイトがわかりやすかったので参考までに。

https://shiodome.co.jp/js/blog/507

一見、自社サイト等に掲載する電子公告が簡単で便利そうだと思いますが、いろいろ落とし穴があって、案外そんなことないというのが残念な現実です。

自分も無難な官報を選択しました。

資本金の額

Disclaimer: この資本金の額と、あとの1株あたりの金額、そして発行可能株式総数についてはあくまで素人に毛が生えた程度の自分の意見です。ここは資本政策として重要な部分なのでできれば専門家に相談したり、自分でしっかり調べることをおすすめします。

今は昔と違って1円から株式会社をつくれますし、上は特に上限があるわけではないので、法律的にはいくらでもOKです。

実際のところは、自己資金で用意できる額によって決める(決まる)ことになると思いますが、注意したいラインは 1000万円 でしょう。

資本金を1000万円未満にした場合は、設立から最大2年間(2期分)の消費税が免税となる嬉しいメリットがあるので、特別理由がなければ1000万円未満にした方がいいと思います。

また、1000万円以下であれば法人住民税も少し安くなるというメリットもあります。

以下とか未満とか考えるのが面倒なので、自分は999万円以下、という感じで理解しています。

まずは自己資金のみで会社設立する場合、従業員の数によって大きく異なるかとは思いますが、だいたい数十万円から数百万円程度が多いのではないでしょうか。

自分は1社目は友達との起業でお金も全然なかったので資本金20万円で設立し、2社目はある程度のランウェイ(運転資金)を想定して960万円で設立しました。

ちなみに資本金をあとから増やす(増資する)場合は、増加分に応じた費用が発生します。

1株あたりの金額

これは見方を変えると、上で決めた資本金の額をもとにどれくらいの株数を発行するか、ということになります。

結論から先にいうと、一般的には1万株以上が理想のようです。

理論的には設立後に株式による資金調達を検討しているかどうかが影響してきますが、別に最初検討してなくてもあとから必要になるかもしれませんし、少なくしすぎてもメリットはほぼないはずなので、資金調達検討の有無にあまり関係なく1万株以上にした方が良さそうです。

ちなみに自分は1社目は本当に何も考えていなかったし会計事務所も当時アドバイスしてくれなかったので、資本金20万円に対して1株あたり1万円で、20株しか発行しませんでした。1株1万円はわかりやすいという以外にメリットはなく、20株は少なすぎたと思っています。

例えば資本金20万円だと、1株1円で20万株か、1株10円で2万株、とかが選択肢になるのかなーと思います。

スタートアップ界隈では1株1円でも全然OK!と言ってる人も多くいる中で、1株あたりの金額を低く設定しすぎるのもよくない、という主張もたまに目にすることがあり、ここは自分でも確固たる自信がありません。すみません。

まあコストや時間は多少かかるものの、あとから修正がきく部分なので、1万株以上という部分をクリアできれば最初はOKなんじゃないかな、と個人的には思っています。

あと、資本金の額によっては1株あたりの額を下げると発行数がかなり大きくなる、というケースもあると思います。これについても設立時の発行数はいくらまでにせよ!という明確なラインがあるわけではないようですが、だいたい100万株までとかが無難ではないかと個人的には思っています。

余談ですが、自分の2社目は資本金960万円に対し、1株10円で96万株としました。たぶんかなり多い方だと思いますが。。

グダグダ長くなりましたが、予定する資本金の額をもとに、1万から100万株の範囲になるよう1株あたりの金額を設定する、というのがベストプラクティス、というのが自分なりの理解です。

発行可能株式総数

こちらは設立時に発行する株数ではなく、会社として発行できる株式の総数になります。

そもそもなぜこれを決めなければいけないかというのは、以下のような参考情報を読んでいただくとして、結論からいうと、上で決定される資本金の額と1株あたりの金額から計算される設立時の発行数の10倍程度が良いようです。

ちなみに上のサイトにも書かれていますが、上限はあるもののあとから発行可能株式総数は変更することができます。

設立(予定)日 & 事業年度(決算月)

株式会社の設立予定日は、法務局へ登記の申請した日になります。書類を提出した日、ですね。なので法務局が休みの土日祝日や年末年始などは設定することができません。これはネットでも同じのようです。

よくあるのは、創業者にとっての記念日だったり、ゾロ目の日や月はじめ、などかと思います。

会社設立時は、同時に事業年度も決める必要がありますが、これは決算月をいつにして、会計年度をいつからいつにするか、ということです。

ここで個人的な注意点として挙げたいのは以下の3点。ただし2と3は、そこまで気にすることでもないので、緩めです。

1. 初年度を出来るだけ長く確保できるようにする
2. 会計事務所が忙しそうなよくある会計年度はできれば避ける
2. 月のはじめ(4月1日など)はできれば避ける

まず初年度を出来るだけ長く確保することについてですが、これは資本金が1000万円未満の場合は消費税が最大2期分免税になることを資本金の額のセクションで説明したことに関係します。

免税対象期間であれば売上が発生してもそれにかかる消費税を納税する必要がないので、通常はなるべくその期間を長くできた方が良いですよね。

かなり極端ですが例えば設立予定日が12月15日で、決算月を12月としてしまうと、消費税免税対象である初年度がたった16日で終わってしまうことになります。

例えば設立が8月8日、決算月を7月というように設定すればかなり初年度が長くなりますので、消費税免税のメリットが効きます。

ただし、例え初年度を365日に近い期間にできたとしても、売上高によっては2期目が消費税免税にならないケースがあるので絶対ではないですが。

次によくある会計年度を避けるポイントですが、やはり3月決算が一番多いケースのようです。安易に3月決算にしてしまうと、決算業務が集中してしまう会計士や税理士にしっかりサポートしてもらえない、というリスクがあります。

特別な理由がなければ、3月や9月、12月は避けた方が良いかもしれません。

最後の月はじめ(◯月1日)を避けるポイントですが、これは単純に初年度の住民税の節税が最大5,900円ほど可能ですよ、ということなので、ま、安易に1日にするのならちょっと考えましょう、くらいです。2期目からは一切節税とか関係なくなるので継続的な節税ではないです。

参考程度に、自分の場合1社目は1月11日設立の12月決算、2社目は7月1日設立の6月決算です。

事業の目的

定款では(目的)っていう記載なんですが、どちらかというと事業の内容です。どんな事業をする会社なのかを明記します。

これに関しては「会社設立 定款 目的」などでググってもらえればいろいろ情報や事例が見つかるかと思います。

一般的にはわかりやすい文章で5つ前後書いておくケースが多いように思います。

許認可が必要な場合は注意が必要だったり、近い将来行う予定の内容も(他人の目に触れてもよければ)含めておく、といったちょっとした注意点もありますが、1株あたりの金額や決算月といった決定内容に比べればそこまで注意しなければいけないというほどでもないかな、というのが個人的見解です。

とりあえず事業としてやろうとしていることをシンプルに羅列すればOKかと思います。

そして最後は「前各号に付帯関連する一切の業務」という一号を入れるのが一般的のようです。