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精読 SCJホームページ

Speedcubing Advent Calendar

この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2020 6日目の記事です。
12月は様々な記事が毎日続いていくので、他の記事もぜひ読んでみてください。

昨日の記事 : 「プライドが高く、若い人たちに負けたくない中年、彼ら・彼女らを如何にしてキューブ界に巻き込むか?」
明日の記事 : 「kits_さんの前日に面転八面体(FTO)の開眼解法について」

SCJの発表から、はや一週間

先週の11月28日、一般社団法人スピードキュービングジャパン(以下、SCJ)の設立と、それに伴う日本ルービックキューブ協会の活動終了が発表されましたね。
いや、受動態で書くのはおかしいか。「発表しました」と能動態で言うべきかもしれません。私はSCJの代表理事を務めますので、今後ともよろしくお願いします。

SCJ掲載コンテンツの背景

昨今、大きなニュースであっても一週間もすれば巷の関心は別のところにいってしまいがち。でも、SCJの活動趣旨はそういった一過性の話題ではなく、コミュニティ全般に広く浸透していってほしいものです。

SCJホームページに掲載したコンテンツは、この一年間JRCA法人化準備室のメンバーが毎日あーでもないこーでもないと議論を重ねて絞り出した、とても中身の濃いものになっています。
これらの議論過程まで公式サイトにつらつらと並べていくのは過剰でしょうが、どこかでみなさんにも伝えていきたい。そのために、Advent Calendarはちょうど良い機会だと捉えています。発表から一週間後というタイミングも、リマインダーとして皆さんの注目を再び集めるのにGood。

というわけで、以下ではSCJホームページについてその背景の一部を説明していきます。半ば私たちの苦労話のようにもなってしまいましたが、うんちくとして少しでも楽しんでもらえると嬉しいです。

団体名「スピードキュービング」

前身の日本ルービックキューブ協会から、スピードキュービングジャパンへと名称が変わりました。

ルービックキューブは世界的にとても有名なパズルで、似たようなパズルなどもひっくるめて「ルービックキューブ」という概念として世間に浸透していますが、実は登録商標です。つまり、真に「ルービックキューブ」なのは、商標をもつ株式会社メガハウスから販売される商品に限定されます。
そして、スピードキュービングにおいて使われている競技用パズルのほとんどが「ルービックキューブ」ではないことは有名な話。WCAの競技種目名も「3x3x3 キューブ」という別名称で扱っています。
実はこのように一般名詞化した商標は世の中に多くあることが知られています。

個人的な日常会話の中では過度に神経質にならずとも良いでしょうが、組織が世間の信頼を得るためには社会のルールやマナーを守り、他者の権利を尊重することが必要です。

さらに、「スピードキューブ」ではなく「スピードキュービング」とing形にしたことで、SCJが扱うのは物体としてのキューブにとどまらず、「スピードキュービング」という文化全般だよ、と強調する意図もあります。

勘違いしないでほしいのは、これからは絶対にルービックキューブと呼ぶな!というわけではありません。また、先の「日本ルービックキューブ協会」という名前が違法だったわけでもありません。株式会社メガハウスにはJRCAから引き続きSCJでもスポンサーとしてご協力いただいており、今後いっそう連携していきます。スピードキュービングジャパンという名称についても、当然事前にご相談済みです。

ただ単に、言葉の言い回しはTPOに応じて使い分けましょうね、ということです。
厳密になりすぎるのもまた問題で、非キューバーの友人に「ルービックキューブは商標で~~~」なんてうんちくを長々と語ってしまうと嫌われかねないので気をつけましょう。

一般社団法人

~法人という言い回しが世の中にたくさんあって、それぞれがどう違うのかよくわからないですよね。私も法人化手続きしながら何度も調べ直しました。
長くなるのでここでは詳しく語りませんが、一般社団法人とNPO(特定非営利活動法人)は違う、とだけ知っておいてください。SCJは一般社団法人で、さらにいえば非営利徹底型一般社団法人に分類されます。
ちなみに、WCAはアメリカのNPOです。

SCJのURLは speedcubing.or.jp ですが、末尾or.jpドメインは法人しか取得できません。(組織を意味するorganizationのorです)こういった細かい部分も体外的な信用に関わってくるポイントです。

組織図

まず、役員として理事と顧問を列挙しています。
もちろんこれだけでなく社員も複数いますが、この名簿は非公開となります。普通の会社でもそうですよね。

組織の重要な決定は社員全員による社員総会で決められ、組織図の最高位に位置づけられています。

また、3つの事業の中心がコミュニティなのにも当然意図があり、ひとりひとりがスピードキュービングを楽しむ文化を中心にWCA大会/SCJ大会などのイベントが広がっていくことを表現しています。

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設立日

ホームページでの発表は11月28日だったのに設立あいさつでは10月12日となっていて、疑問に思った人もいたのではないでしょうか。
しかし誤植ではなく10月12日で合っており、これは法務局に法人設立届を提出した日です。ちなみに、横浜地方法務局は日本大会2019を開催したマリネリアの近くにあります。

設立から公表まで

設立届を提出してからの2ヶ月は、法人設立後にしかできない作業をしていました。

・speedcubing.or.jpドメインを契約
・オフィスを契約(登記住所のみのレンタル)
microsoft365の非営利法人割引プランに申し込み
・SCJロゴや名称の商標登録
・銀行口座開設
・ホームページ作成、掲載コンテンツの精査

細かいことを含めるとまだまだたくさんあります。事務手続きって大変なんですね。

この一年を振り返ってみると、結果としては2020年4月に発表した法人化ロードマップのとおり。JRCA法人化準備室メンバー総力をあげての一大プロジェクトでしたし、私自身とても楽しみながらの充実した期間でした。
WCAが要求していた各国統括団体の法人化期限に間に合わせることができましたし、それにJRCAとSCJのオーバーラップ期間がなくなったので、SCJの発足を半年も前倒しにできたのも大きい。

この一週間はやや燃え尽き気味で小休止していましたが、あくまでSCJ発足はスタート地点でしか無いのでここから気合を入れ直していきます。

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SCJロゴ

クラウドソーシングサービスを使い、コンペ形式でデザイナーに制作を依頼しました。総勢73名から素晴らしい応募が多数寄せられ、どれもいいものだったので選定にはけっこう時間をかけました。ロゴは組織の顔ですから。

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今ではWCAの地域団体一覧にも掲載されています。スクリーンショット 2020-12-05 104401

スピードキュービングの紹介

SCJは攻略サイトではないので、マニアックな部分には深く言及せずにサラッと流しています。
「キューブをどう解くか」の最適解は人によって違いますし、時代によっても変わっていくでしょう。SCJが目指しているのは、そういったことに左右されない普遍的な価値の提供です。

定款(ていかん)

また聞き馴染みのない言葉が出てきました。
SCJの定義そのものであり、法的にも重要な書類です。開示義務はありませんが、隠すことでもないので掲載してあります。興味がある人は読んでみてください。
定款はWCAへも提出済みで、地域統括団体として認められる条件となっています。ちなみに、WCAの定款も公開されています
それにしても、法律的な独特のお硬い言い回しってありますよね。公証人という方に添削していただきましたが、最後まで慣れませんでした。

公告

現在は何も掲載されていませんが、つぎの事業年度末(7月末)以降に貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)というお金の動きを示した書類が載ります。
要するに、うちの団体は怪しいお金の取引をしていませんよ、と世間に証明するためのものです。この掲載は、定款に記載された一般社団法人の義務となっています。
こちらも前例を紹介すると、アメリカの統括団体CubingUSAの2016/2017年度のものが公開されています。(最近はどうなってるんだ…?)

WCA大会開催方針

JRCAで発表したものと変わりません。デザインや文章を改定しただけ。
現状の運営人材不足を解消していくためのプランと、需給バランスを改善して将来的に現在よりも桁違いに大きな開催数を狙っていくための方針です。
今後、WCA大会に限らずこういった組織の活動方針は積極的に公開していくつもりです。

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WCA Delegateの新規募集

Trainee Delegateの募集タイミングを見直し、いつでも受け付けることにしました。背景には相次ぐDelegateの退任があります。正直に言えば、今は円滑な世代交代がうまく行かずに一時的に人材が不足しているところです。COVID-19やSCJ設立とは別に何年も前からこの状況は予想されていたのですが、残念ながらうまく対処できませんでした。

一人のDelegateが抱えられる案件は限られているので、Trainee Delegate候補者が出てくるまではWCA大会の数自体が減ることになります。公募企画が多数寄せられても、実現できる数は制限されるでしょう。
Trainee Delegateが昇格するには実際の大会企画運営を通した実践研修が必要なのであまりたくさん応募があっても抱えきれないのですが、あと1-2人は増えてほしいところです。

Trainee Delegateの詳しい募集要項はリンク先を見てください。特にWCA競技に関心の高い大学生や社会人、あるいは小学生~高校生の家族などをメインターゲットとして想定しています。
TOEIC 650点相当の英語力は応募時には必須でないので熱意でカバーできますし、良いスキルアップのチャンスになり得ます。関心の高い領域で生きた英語を使える機会は貴重です。特に学生にとっては、就活のネタとしても強そうです。

SCJ大会

Advent Calendarの後半でSCJ大会の担当理事である荒木さんが書いてくれるようなので、詳しくはそちらに譲ります。

SCJユーザー登録はSCJ大会に参加するためのものです。SCJ大会では結果とともに参加者の年齢を公表しますので、利用規約とプライバシーポリシーを必ず確認してください。

コミュニティ

各地のサークルの宣伝やイベントへの協力ができます。もし代表者の方がこれを見ていれば、ぜひ一度ご連絡ください。
SCJだけで全国に散らばるキューバーをすべて拾うことはできないので、こういった地域連携を進めていきます。

まとめ

いかがだったでしょう。一見するとシンプルなホームページですが、この記事を通してなにか新しい発見はありましたか?
まだまだ書ききれないことや未公表の構想もたくさんあるのですが、いったんここで止めておきましょう。

最後に、設立のごあいさつより以下を引用して記事を締めます。

SCJの役割は、スピードキュービングがさらに発展を続けられる文化基盤を醸成していくことです。そこでの主役はスピードキュービングを愛する皆さん一人ひとりであり、今後も様々な方々が互いに尊重しあいながら多様なスピードキュービングの楽しさを育んでいけるよう、引き続きご協力を賜りますようお願い申し上げます。


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