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ニンジャスレイヤーTRPG2版対応シナリオ:【フー・イズ・ラスト・スタンディング?】

始めに

このシナリオは「ニンジャスレイヤーTRPG」第2版の基本ルールブック環境に対応したシナリオである。成長の壁を越えないPC3-4人の参加を想定している。

本シナリオは原作エピソード【ラスト・ガール・スタンディング】を下敷きにしているが、ストーリーは原作とは異なる方向へ進んでいく。原作エピソード再現を重点しているシナリオではないので注意すること。

このシナリオでは、PCたちはソニックブームの指示によりニュービーニンジャ「ヤモト・コキ」のスカウトに赴くことになる。【ニンジャの自宅】などを経験しヤモトやスパイダーリリィと面識のあるPCが参加する場合は、スカウト対象やミッションの目的をNMが適宜変更すべきである。詳しくは【シナリオ改変オプションの例】の項目を参照のこと。

また、本シナリオでは途中でWasshoi!判定が成功した場合も、『Wasshoi!判定/ニンジャスレイヤーのエントリー』のフェイズまではニンジャスレイヤーは登場しないものとする。

導入

あなたたちはソウカイ・シックスゲイツの1人、ソニックブームの呼び出しによってソウカイヤが所有するビルのブリーフィングルームへと集められていた。見知った顔がいるかもしれないし、お互いに知らない顔ばかりかもしれない。何はともあれ、これから同じミッションを与えられるもの同士、まずはアイサツを済ませておくべきだろう。
そのとき、ブリーフィングルームのフスマを開いた。ターン!
「オウ、揃ってるようだなエエッ?ドーモ、ソニックブームです」
「今日のテメェらの仕事はスカウトだ。このガキにソウカイヤへの忠誠を誓わせて連れてこい。どうしても言うこと聞かねェってんならブチ殺しても構わねぇ」
ソニックブームは一枚の写真を取り出す。そこに写っているのは黒髪の女子高生である。そのバストは平坦であった。」
「このガキの名前はヤモト・コキ。ついこないだファック・アンド・サヨナラ被害に遭ったがソウルが発現しヨタモノを派手に皆殺しにしてなァ。それでニンジャであることが発覚したってわけだ」
「ガキだろうがなんだろうが、ニンジャになったからにはニンジャの世界の掟を叩き込んでやらなきゃならねぇ、そうだろエエッ!?」
「だがなァ、キナ臭えことにだ。ここ最近このガキの通う学校のあるエリアにザイバツ共が潜伏してるって情報が入った。詳細はまだ分からねぇ」
「もし万が一ザイバツの連中と鉢合わせするようなことがあれば、そいつの排除が最優先だ、ガキは二の次でいい。このネオサイタマでデカい面してたらどんな目に遭うか、連中に理解させてやれ」
「何か質問はあるか?」

PLからの質問があった場合、「ヤモトのソウル格は現時点では不明」「ザイバツの動向についてはソウカイネットで情報を探せ」「ネオサイタマの死神?なにくだらねぇ噂にビビッてんだッコラーッ!」などの回答をする。

情報収集

ここでは事前調査として「ヤモト・コキについて、彼女が通う学校の関係者や近所の住人などから話を聞く」「ザイバツの活動についてハッキングで調べる」の二つが可能。いずれも判定失敗によるペナルティは特に存在しない。

ヤモト・コキについて、彼女が通う学校の関係者や近所の住人などから話を聞く場合、PC一人が『交渉判定』(難易度HARD)を行う。

◆ヤモトに関する情報収集に対する修正:
最も適した交渉スキル(+2):欺き、超然
次に適した交渉スキル(+1):他のあらゆる交渉スキル
◆判定成功時に与えられる情報:
ヤモトは善良で奥ゆかしく、友人や罪の無い人々が傷つくようなことをよしとしない性格であるようだ。PCが彼女の前でそのような言動を取った場合、ヤモトは著しく態度を硬化させるだろう。

◆【6】成功時の追加情報と報酬
ヤモトが遭遇したヨタモノによるファック・アンド・サヨナラ事件だが、一緒に巻き込まれたアサリという女子高生がヤモトのニンジャとしての一側面を見てしまったらしい。
ヤモトとの交渉判定時、アサリの話題で揺さぶりをかけることができるようになるため『交渉ダイス』+1。

◆【6,6】成功時の追加情報と報酬
アサリとヤモトは現在も非常に親密な仲であるようだ。アサリをソウカイヤの庇護下に置き身の安全を保証するならば、ヤモトはソウカイヤ入りを受諾するかもしれない。
ヤモトとの交渉判定時、上記に加えさらに交渉判定難易度が1低下する。

なお本編中ではソニックブームがヤモトの「親殺し」について触れているが、詳細が不明なのでここではその情報は意図的に排してある。NMの判断でこれらの情報を開示してもよい。

ザイバツの活動についてハッキングで調べる場合、PC一名が【ニューロン】による『調査判定』(難易度NORMAL)を行う。

◆ザイバツに関する情報収集に対する修正:
最も適した知識スキル(+2):ザイバツ
次に適した知識スキル(+1):キョート など
◆判定成功時に与えられる情報:
ダイダロスが、「最近新しくキョートからネオサイタマ入りしたザイバツニンジャがヤモトの生活しているエリアに潜伏している痕跡がある」という情報をソウカイネットに共有していることに気付いた。既に報告されている「ワイルドハント」や「インペイルメント」といった強力なザイバツニンジャとは別のニンジャのようだ。

◆【6】成功時の追加情報と報酬
このエリアで最近「人気の無い路地に入った若い女性や少女が、突然水中に溺れるように地面の中に沈んでいく」という奇妙な事件が報告されている。そのようなジツを持つソウカイニンジャがその近辺で活動しているという事実は無く、敵のジツによるものである可能性が高い。
相手のジツの手がかりを掴んだことで、PC全員はこのザイバツ・ニンジャとの戦闘でのみ使用可能な『緊急回避ダイス』を1個獲得する。

◆【6,6】成功時の追加情報と報酬
このザイバツニンジャが受け取ったと思われる暗号通信の一端を入手することに成功した。完全な解読には時間がかかるが、どうやらその最優先目的は「チイサキヒメノカラダニヤドルイダイナルシノソウル」であるという。
相手の目的を掴んだことで、PC全員は上記に加えこのザイバツ・ニンジャとの戦闘でのみ使用可能な『即応ダイス』を2個獲得する。

これらの事前調査を終えると、ソニックブームから通信が入る。

「オウ、テメェら。例のガキがハイスクールから出てきたらしい。なんでもオトモダチ連れてカラオケ・ステーションに向かってるんだとよ。ニンジャがモータルとユウジョウだなんて笑えるよなぁ、エエッ?」
「場所はここだ。とっとと行ってその平坦のガキをスカウトして来いッコラー!」

ここでPCがヤモトの友人を巻き添えにしてもいいかと尋ねた場合、ソニックブームは「別に構いやしねぇ、ただしもみ消しが面倒だから目立つ場所で派手にやるようなマネは止せ」と答えるだろう(なお実際にはザイバツの横槍が入るため、アサリらを戦闘に巻き込むことはできない)。

遭遇

ヤモトが友人と向かったという先の建物には、「タラバー歌カニ」という相撲フォントのネオン看板、そこから生えた稼働する生々しいカニの脚の巨大模型。カラオケ・ステーション「タラバー歌カニ」へ向かうギリシアめいた広い屋外階段の左右には様々な露店が建ち並ぶ。飴やタイヤキ、ライトゴス・ファッション・ブランド「憤怒」の路面店、バイオ金魚……パステルカラーのネオンが夜をはかない色彩でライトアップし、メカホタルの光の粒が飛び交う。

君達はこの賑やかで華美な建物に向かってストリートを歩いているところだ。
君達が「タラバー歌カニ」の正面にたどり着いた、その時!

「お客様、会計がまだ……」「火事です!早く逃げて!」「アイエエエエ!?」

火災警報の鳴り響く建物から叫びながら飛び出してくる5人の女子高生。その中の一人は間違い無い、ヤモト・コキである!
「逃がさん!イヤーッ!」「アイエエエエエ!」

君達のいる方向へまっすぐ走ってくる女子高生の背後の地面が突如波打ち、その波紋の中心から一人のニンジャが飛び出す!
「イヤーッ!」
ニンジャは跳躍して彼女らを飛び越え、その行く手を塞ぐように着地。

ちょうど君達と女子高生の中間の位置に立つニンジャの装束には、一つ目を象った「罪」「罰」のエンブレムが!
「チッ、ソウカイヤか。ドーモ、リクエファクションです」ヤモトと君達を同時に警戒しながら、ザイバツ紋のニンジャが油断無くアイサツ。
「……ドーモ、ヤモト・コキです」ヤモトもそれに応えるようにアイサツする。

リクエファクション「手出ししないでもらおう、ソウカイヤ。どうせ貴様らにはこの娘の持つ価値など分かるまい?」

ここでPCとリクエファクションの間で問答を演出し、ヤモトに「敵対している二つの組織が睨み合いをしている」ということを認識させること。ヤモトはそのいがみ合いの隙に、アサリらを逃がす。

「アイエエエ……ヤモト=サン……?」
「……説明は後。あいつらの狙いはきっとアタイだ。だからあいつらが揉めてる間に逃げて。……早く!」

ここでPCがアサリらの逃走を妨害しようとした場合、桜色のオリガミがそれをインタラプトする。

「イヤーッ!」ヤモトがシャウトを放つと、それに呼応するようにヤモトの鞄から零れたオリガミ用の和紙が桜色に輝き、投擲されたスリケンを受け止めて小爆発を起こす!
「アイエエエエエ!」悲鳴を上げながら一目散に逃走する女子高生たち!
ヤモト「……アタイは、お前たちの言いなりにさせられるなんてお断りだ!」

和紙がヤモトの周囲を舞う。それらがひとりでに折りたたまれ、ツルやイーグル、エイや飛行機の形をとり……君達に向かって襲いかかる!

ここでPCは自由に回避RPを行ってよい。ただしこのオリガミは目くらましであり、ヤモトはオリガミの爆発に紛れてアサリらとは逆方向に逃走する。

「イヤーッ!」リクエファクションが地面を蹴り上げると、アスファルトの破片がオリガミ・ミサイルを撃墜!
一瞬の隙を突いて逃走するヤモト!

「無駄だ。ドトン・ジツ!イヤーッ!」
リクエファクションがシャウトを唱えると、まるで水に沈んだかのようにリクエファクションの体が道路に溶ける。

「この娘のソウルは我々ザイバツ・シャドーギルドが有効活用してやろう!」
水泳の息継ぎめいて地面から顔を出したリクエファクションが笑い、そのままアスファルトを泳いでヤモトを追跡する!

追跡

ここでは1D6ダイスを3回振り、出目に応じたイベントが発生する。3つのイベントを終えると「6.戦闘」へ移行する。
イベント一回ごとに回避ダイスは回復し、緊急回避ダイスの使用も可能。
また、このフェイズではどのキャラクターも【体力】が1未満に減少することはない。

・出目1:「まずは貴様から始末してやろう!イヤーッ!」足下からリクエファクションのドトン・アンブッシュだ!
PC一人に対し1ダメージ(回避難易度N)を与える。この攻撃によって体力が減少した場合、付属効果として『カラテダメージ1』と『脚力ダメージ2』と『●部位損傷:脚部』を与える。


・出目2:「アタイだってやれる……!行け!!」逃げるヤモトが振り返り、追いすがるニンジャたちにオリガミ・ミサイルを放つ!
PC全員とリクエファクションに対し1ダメージ(回避難易度N)の『遠隔攻撃』を行う。これはカラテミサイルによる攻撃と見なされる。

・出目3:「アイエエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」通行中のスシデリバリーバイクからスシを強奪できる。
PC一人は即座に【体力】を2回復するか、オーガニック・スシを入手できる。

・出目4:「隙だらけだ!イヤーッ!」背後を見せて逃げるヤモトや息継ぎのために地面から顔を出したリクエファクション。スリケン投擲のチャンスだ!
PC全員で遠隔攻撃判定(難易度H固定)を行い、成功したPCの人数分の回数(最大3)だけ1ダメージの遠隔攻撃(回避難易度N)を行える。これは時間差と見なされ、対象はリクエファクションとヤモトから自由に選んでよい。

・出目5:「バカめ、ネオサイタマは我々の庭だ!」有利に戦える場所に相手を追い込めそうだ。
PC全員は戦闘時のみ使用可能な即応ダイスを追加で1個得る。

・出目6:トレンチコートにハンチング帽の通行人と目が合った……気がした。
このシナリオ中で行われるWasshoi!判定の出目が-1される(他の補正と重複する)。既に一度この出目が出ているのならダイスを振り直す。

戦闘

イベントを3つ終えると、ヤモトは逃げ場の無い路地裏に追い込まれ戦闘となる。
リクエファクションが爆発四散するか、PCが全員マップから脱出するか、リクエファクションがヤモトを運搬してマップから脱出すると戦闘終了となる。

「シマッタ……!」ヤモトは己のウカツさを呪った。アサリらの逃げた方向から必死に遠ざかるように動いていたつもりが、高いビルの壁面に囲まれた袋小路へと自らを追い込んでしまったのだ。まさにラット・イナ・バッグ!
「追い詰めたぞ、ヤモト=サン。貴様のその高貴なるソウルはザイバツ・シャドーギルドにこそ相応しい。そこに雁首を揃えるネオサイタマの猿共の仲間入りなど御免だろう?」
リクエファクションが勝ち誇るように笑う。
「……ザイバツだかソウカイヤだか知らないけど、どっちもアタイには同じようなものだ。アンタたちなんかの仲間になんてなるつもりは無い」
おお……見よ!ヤモトの顔を!彼女の目はニンジャソウルで桜色の光の軌道を輝かせ、その首にはいつしかスカーフめいた不吉な布がなびく。光から織られた布なのか?謎の原理で構築されたそれが、鼻から下を覆いつつある!

スクリーンショット 2021-05-31 22.27.58

戦闘マップはこちら

◆リクエファクション(種別:ニンジャ) アイコン:リ
カラテ     7  体力    11
ニューロン   4  精神力   8
ワザマエ    6  脚力    4/E
ジツ      3  万札    10
スキル:『●連続攻撃2』『◉常人の三倍の脚力』『◉滅多打ち』
装 備:『ザイバツ紋入り装束一式』(体力+4、精神力+4、回避+1)、『六文銭アミュレット』
ジ ツ:『☆ドトン・ジツLv3』『★ドトン触手(弱体化)』
サイバネギア:なし

近接/射撃/機先/電脳 7/6/4/4
回避/精密/側転/発動 8/6/6/7

『六文銭アミュレット』
【ジツ】値を本来よりも1大きいものと見なして『★/★★』のジツを取得できる。
ただし、この効果で習得した『★/★★』ジツは本来の効果よりも弱体化する。

☆ドトン・ジツLv3
使用タイミング:手番「移動フェイズ」
コスト:【精神力】1、1行動
ターゲット:自身
発動難易度:【ジツ】+【ニューロン】:NORMAL
効果種別:無属性、移動スタイル
キャラクターの移動可能なマス数は【脚力】の2倍になり、ナナメ移動が可能となり、敵や障害物を通過して移動になる。
この時、『轢殺攻撃2』を得る。
ジツによる移動後の「攻撃フェイズ」に自身が『近接攻撃』を行う場合、その難易度は-1される。

★ドトン触手(弱体化)
使用タイミング:手番「攻撃フェイズ」
コスト:【精神力】1、1行動
ターゲット:周囲5x5マス内の敵最大3体、視線不要
発動難易度:【ニューロン】+【ジツ】:NORMAL
効果種別:射撃(隣接可)
術者の周囲5x5マス内の敵最大3体を選択し、それぞれに「ダメージ2」を与える(回避難易度:NORMAL)。
これは『拘束攻撃』である(脱出:HARD)。

「ドトン・ジツ!イヤーッ!」ソウカイニンジャの足下のアスファルトがひび割れ、破砕し、瓦礫となって襲いかかる!//「我が力、とくと味わうがいい!」ナムサン!途端にリクエファクションを中心としてアスファルトが波打ち、津波めいてソウカイニンジャたちに押し寄せる!//「そこで大地に埋まっているがお似合いよ!」//「グワーッ!?バカな、この私のジツが……!」//「アバーッ!あ、ありえない……こんなことは占いに予言されていない……!」

リクエファクションの行動パターン:
この戦闘では、リクエファクションはドトン・ジツによる轢殺攻撃とドトン触手による範囲攻撃で、ターゲットをばらけさせて可能な限りヤモトとPCを巻き込もうとする。
ヤモトが戦闘不能になった場合、リクエファクションは最優先でヤモトの『運搬』を宣言し、『ドトン触手』でPCを妨害しつつ、一目散に『ドトン・ジツ』による移動でマップ外への脱出を図る。
またヤモトを『運搬』しているPCがいる場合、リクエファクションはそのPCに対し轢殺攻撃と『滅多打ち』で集中攻撃を仕掛ける。

なお『ブロッキング』の効果はドトン・ジツにも有効であり、脱出マスをブロッキングで塞がれた場合ジツ発動判定で【出目6,6】が出なければ脱出は不可能とする。

参考FMプラグイン:lizardfalk=サン作『ドトン・ジツ』(バランス調整のため一部改変)

ヤモト・コキ  (種別:ニンジャ)	【カルマ:善】 アイコン:ヤ
カラテ      3		体力	3	
ニューロン    5	    精神力   5
ワザマエ     5		脚力	3/N
ジツ        5		万札	5攻撃/射撃/機先/電脳  3/5/5/5
回避/精密/側転/発動  5/5/5/10
◇装備や特記事項			
 装備:特になし
 スキルやジツ:『☆カラテミサイルLV3』、『オリガミ・ミサイル』
『オリガミ・ミサイル』:
 ヤモトは【精神力】を消費することなく『カラテミサイルLV3』を使用できる。
 『ジツ発動判定』は通常どおり必要。
ヤモトの行動パターン:
ヤモトは先の逃走劇で下手に逃げても無駄だと理解しており、この戦闘では自らの意思で戦闘から離脱しようとはしない。PC達が彼女になにも干渉しない場合、ヤモトは基本的にはマップ最北の行からオリガミ・ミサイルでリクエファクションとPC全員からランダムに対象を選んで攻撃を行う。
ただしPCの発言や行動に応じて、ヤモトは特定のPCを攻撃対象に選んだり攻撃から外してもよい。
なお、PCがこのシナリオ中でよほど邪悪の限りを尽くしていない限り、ヤモトがリクエファクションと手を組んでPCたちに襲いかかるようなことはない。

共闘の提案

PLがヤモトに共闘するよう説得を試みたいと主張した場合、以下のオプションを公開する。

手番『攻撃フェイズ』を消費して、代表者一名が難易度U-HARDの【交渉判定】を行う。この判定は1度しか行えない。

◆ヤモトの説得に対する修正:
最も適した交渉スキル(+2):共感、鼓舞
次に適した交渉スキル(+1):欺き、駆け引き など
最も適した知識スキル(+1):伝統的アート(オリガミを嗜んだ経験について話し、あるいはでっちあげ、「多少は会話の通じる相手である」と相手に認識させる)

また、ヤモトに関する事前の調査フェイズで【出目6】、【出目6,6】を出している場合、それぞれ交渉ダイス+1、交渉難易度-1のボーナスが追加される。

この判定に成功した場合、ヤモトはPCたちの提案を一時的にかもしれないが受け入れ(あるいはまんまと口車に乗せられ)、この戦闘中はPCを一切狙わなくなる。ただし、命中したかどうかにかかわらずPCがヤモトを攻撃の対象にするなどの行動を取った場合、当然ながら彼女の態度は再び敵対的なものになるだろう。

なお、PCたちのこれまでの行動やロールプレイが素晴らしいものだった場合、交渉判定ダイスをさらに+1個してもよい。ただし、PCたちがあまりにも邪悪だったり利己的だったり恐怖や暴力によってヤモトを従わせようとしていると判断される場合、ヤモトは目の前の相手を信用できない危険な相手と見なし警戒を強めるため、判定難易度を+1、あるいは最初からこの交渉を試みることが不可能であるということにしてもよい。これはニンジャマスターが客観的に判断すること。

スカウト

リクエファクションを爆発四散させた場合、ここでヤモトをスカウトするフェイズが入る。
ヤモトは初めて経験するニンジャのイクサに消耗しており、この段階で逃走を試みることはない。

ここで、PCにはいくつかの選択肢がある。

・暴力や脅迫で無理矢理言うことを聞かせる:
PC一名とヤモトで【精神力】による対抗判定を行う。難易度はPC側がNORMAL、ヤモトはHARDである。結果に関わらず、このPCはDKK2を獲得する。この判定に失敗した場合、「殺す」以外の選択肢を選べなくなる。

・交渉でスカウトに応じるよう説得する:
PC一名による交渉判定を行う(難易度:HARD)。説得に失敗した場合も他の選択肢を選ぶことは可能である。

◆ヤモトの説得に対する修正:
最も適した交渉スキル(+2):共感、超然
次に適した交渉スキル(+1):理路整然 など


戦闘フェイズで共闘していた場合、判定難易度が-1される。
また、事前の調査フェイズで【出目6】、【出目6,6】を出している場合、それぞれ交渉ダイス+1、交渉難易度-1のボーナスが追加される。

・殺す:
即座にPC全員がDKK3を獲得した上でWasshoi!判定を行い、ニンジャスレイヤーが登場しなかった場合ヤモトは死亡、爆発四散する。
このとき殺害の実行犯(複数名も可)は追加でDKK2と『ニンジャソウルの闇』を1つ得る。

・見逃す:
自動成功。スカウト失敗の責を問われ評価は下がるが、リクエファクションを爆発四散させているためマイナス評価にはならない。望むならばPC全員はDKKを即座に1D3減少させるか『ニンジャソウルの闇』を即座に1つ失ってもよい。また、PCが今後ヤモトとのユウジョウ判定を行う際、判定難易度が-1される(このシナリオの余暇ではまだヤモトをユウジョウ判定の対象にすることはできない)

・ソウカイヤを裏切り、ヤモトと共に逃走する:
自動成功。ただちにソニックブームがPOPし戦闘となる。

なお、ヤモトの扱いを巡ってPC同士が対立した場合、NMはPL全員の確認を取った上でPvPへ発展させてもよい。その結末がどのようなものになるかはNMが適切なものを考え描写すること。

Wasshoi!判定/ニンジャスレイヤーとの戦闘

「Wasshoi!」

PCたちがヤモトを見逃したりソウカイヤを裏切る選択肢を採らなかった場合、スカウトの結果にかかわらずここでWasshoi!判定を行う。既にWasshoi!判定が行われてニンジャスレイヤーの登場が確定していた場合、このタイミングでニンジャスレイヤーが登場する。ニンジャスレイヤーのステータスはルールブックを参照すること。

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殺:ニンジャスレイヤー

ニンジャスレイヤーは近接攻撃で積極的にPCを殺そうとするが、脱出しそうなPCがいる場合は容赦無く脱出マスをブロッキングで塞いでしまう。

ヤモトがまだ戦闘可能な場合、ニンジャスレイヤーとヤモトはお互い敵対関係には無いものとみなす。
またヤモトは先のイクサで疲弊しており、基本的には脱出を最優先にして行動する。既にスカウト判定に成功しているのならばここでヤモトがマップ外に脱出しても評価に問題は無いが、スカウトに失敗した状態でヤモトが自らの行動で脱出した場合は当然、ヤモトはスカウトに応じず逃走したものと見なされる。これを防ぐには、ヤモトの体力を0にして気絶させ、ヤモトを運搬したPCがマップ外へ脱出しなければならない。またヤモトよりも先にPC全員が脱出/爆発四散した場合も、スカウト失敗として扱われる。
またスカウトに失敗し、かつこのシナリオで邪悪な行為を繰り返していたり、ヤモトやアサリらに対し過度に威圧的・攻撃的な言動を取ったりしたPCがいた場合、彼女はニンジャスレイヤーと共にそのPCを爆発四散せしめんと攻撃を仕掛ける可能性があるだろう。

PCがヤモトを人質にニンジャスレイヤーを脅迫しようとした場合、そのPCに即座にDKKやニンジャソウルの闇を与えた上で、1ターンのみニンジャスレイヤーの行動難易度上昇などの効果を与えるとよいだろう。

ソニックブームとの戦闘

「ザッケンナコラーッ……!クズ共が、テメェらの考えてることなんざお見通しなんだよ!」

PCたちがソウカイヤを裏切ることを選択した場合、即座にマップ上にソニックブームが配置される。彼はPCたちに気付かれないよう密かにその動向を監視しており、裏切りの兆候を見るやすぐさまクローンヤクザを伴って駆けつけたのである。

ソニックブームおよびクローンヤクザのステータスはルールブックを参照すること。

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ソ:ソニックブーム ク:クローンヤクザ

ソニックブームはまずPCたちを痛めつけた上でヤモトを殺そうとする。
PC全員がヤモトより先にマップから脱出した場合、ヤモトは無残に殺されたことにしてもよいし、駆けつけたニンジャスレイヤーによって命を救われたことにしてもよい。その先はNMが適切にストーリーを考えること。

結末と報酬

PCたちが無事にヤモトをスカウトして来たならば、彼女は『◉憎悪:ソウカイヤ』を持つソウカイヤ所属NPC「スパイダーリリィ」となる。
一方でスカウトに応じずソウカイヤの魔の手から逃れた場合、ヤモトは行方をくらましてしまう。もしもリクエファクションがまんまとヤモトの身柄を確保したなら、ヤモトはキョートにてキョジツテンカンホー・ジツの支配を受け、新たな名を名乗るザイバツニンジャとなるかもしれない。

評価A+:リクエファクションを爆発四散させ、ヤモトをスカウトし、ニンジャスレイヤーを戦闘不能に追い込んだ 名声+3、万札プール+100

評価A:リクエファクションを爆発四散させ、ヤモトをスカウトした 名声+2、万札プール+60

評価B:リクエファクションを爆発四散させたが、ヤモトは死亡した 名声+1、万札プール+60

評価C:リクエファクションを爆発四散させたが、ヤモトは逃走した / リクエファクションに逃げられたが、ヤモトをスカウトした 名声+1、万札プール+40

評価D:リクエファクションに逃げられた上に、ヤモトも死亡した 名声+0、万札プール+20
評価E:リクエファクションに逃げられた上に、ヤモトも逃走した 名声-1、万札報酬無し

ニンジャスレイヤーを戦闘不能に追い込んだ場合、評価が一段階上昇する(最大A+)。

PCたちがソウカイヤを裏切った場合は、PCたちの前に謎めいたリアルニンジャ「フィルギア」が現れ「ソウカイヤの連中が慌てる面白いサマを見せてもらった」として、万札40を手渡してくれるだろう。

シナリオ改変オプションの例

本シナリオではPCたちをソウカイニンジャ、ターゲットをヤモト、敵をザイバツとして設定しているが、たとえばヤモトと既に面識あるPCがシナリオに参加すると不自然なことが生じる可能性がある。そのため、シナリオ改変用のオプション案をいくつか提示する。

・ターゲットをヤモトから別のニンジャに変える
既に「ニンジャの自宅」でヤモトを確保していたりスパイダーリリィと面識があったりするPCが参加する場合などに使用するオプション。
リクエファクションはザイバツからの命令を受けてわざわざネオサイタマまで潜入しているため、ターゲットはその危険に見合うだけの重要性のあるキャラクターにするのが望ましい。
たとえばそれは何故かキョートからネオサイタマにいたシャドウウィーヴかもしれないし、ネオサイタマの混沌を放浪していたウミノ教授かもしれないし、もちろんオリジナルのキャラクターを設定するのもよい。
あるいはターゲットを何らかの貴重なニンジャレリックや重大情報の持ち主として、ザイバツとの争奪戦を演出するのもよいだろう。

・敵組織をザイバツから別の組織に変える
「ソウカイヤの魔の手からヤモトを颯爽と救い出したい!」という参加者がいる場合にオススメのオプション。PCをフィルギアやナンシーの依頼で集まった【カルマ:善】のストリートニンジャ、リクエファクションをソウカイヤ所属にし、Wasshoi!判定を省略して代わりにソニックブームを投入すれば、ヤモトを狙うソウカイヤの目論見を打ち砕くヒロイックなシナリオにできるだろう。この場合、リクエファクションのデータの六文銭アミュレットは「リー先生による強引なジツ拡張サイバネ処理」などに読み替えることができる。

名鑑

◆忍◆【リクエファクション】
アラクニッドの占いにより極めて強大なるソウルを宿すニンジャがネオサイタマにいることを掴んだザイバツが、その身柄を確保するためキョートから派遣したアデプト位階のニンジャ。腰の重いザイバツ上層部はこの任務にさしたる重要性を感じておらず、実際には捨て駒同然の扱いであった。固い地面をまるで水中のように自由自在に移動するドトン・ジツの使い手。◆卓◆


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