平均課税制度の趣旨 (1)

平均課税制度は変動所得および臨時所得は特定の年に集中する傾向があるため、累進税率のもとではこれを平準化して、高い累進税率の適用を緩和する必要があるという理由で採用されている制度である(1)。

平均課税は、シャウプ税制使節団のWilliam Vickry博士の考案にかかるもので(2)、シャウプ勧告の附録Bにて提案されている。

 William Vickry博士の論述とシャウプ勧告の附録Bで述べられている平均課税の趣旨についてはいずれ原典にあたれたら内容を紹介したいと思う。

ひとまず、平均課税制度の趣旨についていくつかの論文の内容を参照して理解をしたい。

1967年当時の国税庁所得税課係長である小倉徳夫は平均課税の趣旨について、以下のように述べている。

変動所得はその金額年によって著しく変動しがちであり、臨時所得は数年分に見合う所得が特定の時期に一括して支払われる性質のものであるので、毎年ほぼ平均して発生する所得と比較すると、数年を通じてみれば同一の所得金額でありながら、超過累進税率の関係から、その税負担が不均衡となる。そこで税法では、この面を調整するため、一定の条件に該当する変動所得または臨時所得を有する居住者については、その者の選択により平均課税により税額計算の方法が認められている。

小栗徳夫. 変動所得と臨時所得の平均課税. 税経通信, 22(3), 1967, 61p


(1) 金子宏. 租税法. 弘文堂, 2017, 304p
(2) 辻 克蔵. 変動所得の平均課税と譲渡所得. 税経通信, 4 (11), 1949, 28p


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