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社会に馴染めず孤独を感じていた40代経営者は自分のやるべきことにどうやって没入できるようになったか
Shovellのnote運営チームです。
今回はFuturistの堀田創さんが開催している「スペシャリスト養成プログラム」を受講した鈴木さんに、講座を経てどのような変化があったのかをインタビューしました。
●依頼者
スペシャリスト養成プログラム運営事務局
●クライアント
鈴木知行さん(プログラム1期生)
スペシャリスト養成プログラムは真のスペシャリティに生きたい人に向けた半年間の講座。Futurist堀田創が提供している。
インタビュー要約
受講のきっかけ
社会に馴染めないと落ちぶれてしまうと思い、正解を探していた
サービスの特徴
主催者不在の状態で有志の受講者が集まってディスカッションをするフォローアップセッション
自身に起きた変化
自分がやりたいことに没入できるようになり、アウトプットの精度が上がった
サービスをお薦めしたい方
同世代の方や起業家
クライアントインタビュー
シズル感に大切なのはタイミングとストーリー
——自己紹介をお願いします。
鈴木:自己紹介から躓きそうですけど(笑)。鈴木知行です。知行なのでトムって呼ばれています。株式会社Super Duperを経営していて、Super Duperは「最高」という意味です。
「おいしそう」や「食べたい」という気持ちを刺激する表現を「シズル」と呼びますが、その「シズル感」をデータドリブンに生成するシステムを開発しています。「シズル」が日常に溢れている「最高」の世界を実現したいです。
——どのようなお仕事なんですか?
鈴木:プロが撮影するこぼれ落ちたイクラの写真で「おいしそう」と感じさせるのもシズル感の表現の一つですが、僕はビジュアルだけではないと思っているんです。ものすごくお腹がすいているタイミングで見るものはほとんど何でもおいしそうに見えますよね。
「食べたい」や「おいしそう」はタイミングが非常に重要です。どういうタイミングでどういう料理を出すか、そこにどういうストーリーを乗せるか、というところでシズル感を作り出す仕事をしています。
夏に中華料理屋に行くと「冷やし中華はじめました」という縦長のポスターが貼ってありますが、あれがいい例で「暑くなってきたさなかに始めちゃったんだ」というのは「じゃあ冷やし中華ください」を助長するんです。
——たしかにタイミングと料理とストーリーが揃っていますね。
鈴木:食べログ評価4.0の冷やし中華ではなく、ただの冷やし中華なのに「おいしそう」と感じるんです。そのほうがとても日常的だし生成可能なシズル感で、写真や材料側に依存しすぎるのはあまりスケーラビリティがないと思っています。
食べログ評価4.0の冷やし中華はおそらく日本に数個しかないですし、それを毎日食べたいかというとそうではない。「暑くなってきたから冷やし中華はじめちゃいました」というのはストーリーです。旬じゃなくてもいいんですよストーリーって。
——そういうものを作っているんですか?
鈴木:今ですと、ショッピングモールや駅ビルの館内にある何百というデジタルサイネージに「今日は急に暑くなったから〇〇」や「雨が降っているので〇〇」というふうに、適したタイミングで適した料理とコピーライティングがセットで自動配信される仕組みを作っています。
——すごくおもしろいですね。
鈴木:例えばこれがホチキスの広告だと欲しい人と欲しくない人に分かれてしまいますが、みんな毎日必ず食べるので、食だと100%刺さります。時間帯にもよりますが。そういうソフトウェアを作ってSNS、サイネージ、アプリケーションに配信するサービスをしています。
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社会に馴染めないと落ちぶれてしまうと思い、正解を探していた
——スペシャリスト養成講座では、どういったことを学べるのでしょうか。
鈴木:今の時代は僕も含めてスペシャリティを持った人たちにとって、なかなか生きにくい世の中だと感じています。自分の我や希望を押し通すと社会と接合する難易度が上がるため、孤独を感じるし誰にも認められていないと思ってしまう。
そこでどうにか自分から歩み寄ろうとすると、それが心理的非柔軟性の因子であるhave toとなり、心の囚われが起きてしまいます。社会と接合するためにhave toを持つという矛盾した構造をとらないと不安で不安で、というような。そこを突破する方法を教えてくれる講座だと今は感じています。
——エキスパートであればあるほど天才性の反面、孤独になる。極めたいのに極められないというジレンマが出てくるんですね。
鈴木:そうなんです。極めるとつらくなるし食べていけなくなると思っていたので、自分の希望を追求するところを最大化しつつ、社会に受け入れてもらう方法の最大公約数をずっと探していました。当時はそれが正しいと思っていたんです。成功事例をすごく探していましたしHow to本ばかり読んでいました。自由にやればいいのに。末期ですよね。
——社会になんとか馴染もう、馴染み方はどうすればいいのかと。
鈴木:正解があると思っていました。
——馴染めないことは寂しいと感じていたんですか?
鈴木:つらい、寂しい、このまま落ちぶれてしまうと思っていました。それこそ自分を殺して社会に接合することを選んでなんとなくうまくいったっていう経験もあったんです。
元々はインバウンドという外国人旅行者向けのサービスをやっていて、完全に時流に乗っていました。ですが新型コロナの影響で売り上げがほぼゼロになってしまったんです。ピンチだったので余計ディフェンシブになり、いかに社会と手っ取り早く接合できるかという方法を追求していたところ、堀田さんに出会いました。
——講座を受ける前に出会っていたんですね。
鈴木:はい。正解を探すために、堀田さんにコンタクトを取りました。
——堀田さんが正解を持っているように見えたんでしょうか。
鈴木:そうです。堀田さんのことは尾原和啓さんのオンラインコミュニティで知りました。お二人のAIに関する講義は非常にエキサイティングで、堀田さんなら濁りまくった世界に生きている僕にどうすべきか教えてくれるのではないかという、ズレまくった期待を勝手に抱いていました。そんな矢先に堀田さんの「コーチを始めました」というnote記事を見て、すぐに申し込みました。
コーチングにはまったく興味がありませんでしたが堀田さんには興味があったので、堀田さんと話せるなら何でもいいと思っていました。もちろんそのことは言わなかったですけれど。「興味があります、コーチングに」とか言って(笑)。近寄ってしまえば勝ちだと思っていました。いいアドバイスをくれると思ったんです。完全に頭がおかしくなっていました。
——助けてほしい、正解が欲しいの一心だったんですね。そのコンタクトのあとはどうなったんでしょうか。
鈴木:無料のコーチングセッションがとても良かったので、そのまま半年間お願いしました。しかも3か月目くらいのときにAIのアドバイザリーもやりましょうかと言っていただいて。
——コーチングが終わったあと、さらにスペシャリスト養成講座を受けようと思ったのはなぜですか?
鈴木:半年間コーチングを受けた結果、どういう部分が自分のhave toなのかわかって、やりたいことも研ぎ澄まされたと思っています。とはいえダークサイドに落ちることはときどきあったんです。そんなタイミングで「今度こういう講座をやるんですけどどうですか」という話をもらいました。
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講師不在の受講者セッションを通して体の中に入れていく
——具体的な講座内容を教えてください。
鈴木:スペシャリストがスペシャリストとして自分の表現を発揮していくことこそが、世の中にとって有益なのである、ということを気づかせてくれました。堀田さんが何度も「これでいいのだ」とおっしゃるのですが「これでいいのだ」「スペシャリティを発揮して良いのだ」ということを強く思える内容ですね。
——どれくらいの頻度で、どのようなことをするのでしょうか。
鈴木:受講者は約20名で、1回3時間の講座が月に1回で半年間あります。さらに講座をフォローアップするためのセッションが講座と講座の間に十数回とセットアップされるので、そこから参加できるものに参加して、講座で出された課題の答えをコミュニティを使って解決します。
課題を提出するまで一人で悩み続けるのではなく、とにかく簡単でもいいから作ったものを同期の人たちに投げて、いろいろな意見をもらって発見していくという形です。そしてそのコミュニティのほうが価値がある……というのは言いすぎですね(笑)。
講座も発見が多くてインパクトが強いのですが、講座を受けるだけでは自分のものにならず、よくある自己啓発本を読んだような状態になります。それは僕にとってそれほど大きな価値はなくて、それを体験として落とし込んで自分の中に入れたいんです。
——本を読むだけでは忘れてしまいますもんね。
鈴木:本を読んで頭が良くなった気にはなるんですが、浅いんですよね。なかなか実践できないというか、自分の中に取り込めないというか。堀田さんの講座とフォローアップが両輪になっているので、どちらか一方だけではここまで実践的にならないのではないかと思います。
——そのフォローアップセッションで体に入っていくんですね。
鈴木:課題について一人で繰り返し考えるのはしんどくてできないんですよ。いい意味でフォローアップに参加しないとダメですよという空気が流れていまして、それがあるので参加してしまうんです。
そうすると同期たちからいろいろなコメントがもらえるので、そこで「あー、そう見える?これ」「そういうふうに思う?なるほど」と、講座内容を自分の中に深く落とし込むためのチューニングをしていきます。
——堀田さんからもコメントがもらえるんですか?
鈴木:フォローアップに堀田さんはいませんが、同期には起業家、コーチングスクールに通っている方、弁護士、医者などがいます。受講者の幅が広く、いろいろな視点で指摘をもらえるため、とても発見が多いです。
——講座の内容がすごいと思っても身につかないって、あると思います。
鈴木:講座を動画で繰り返し見ることで理解が深まるスピードよりも、いきなりみんなでディスカッションしたほうが進化が早いし、解像度がすごく高い人たちの意見が聞けるので。堀田さんと1on1でやったほうが効率がいいのではと感じるかもしれませんが、この構造は面白いです。
——一個の大きな体験のテーマに向かってみんなで走っていって、理解を深めるんですね。
鈴木:講座内で受講者とワークショップのようなことをするコミュニケーションだけではなくて、そのあと主催者がいない場所でそれを繰り返すということがプログラム化されているのはすごいと思います。先生が必要という概念はあるじゃないですか。
——教えてもらえるというスタンスですね。
鈴木:そのフォローアップが新しいというか、初体験でした。個人的にはすごく合っているし面白いです。さらけだせる環境を用意してもらっています。
——これは微妙だったとか、よくわからなかったということはありましたか?
鈴木:そういう意味でのネガティブは本当にありませんでした。結構ハードですが。でもハードさはネガティブではないですし。つらいだけ(笑)。
毎回山場だと言われるのですが実際に登っている感じはすごくありますし、心が軽くなっていっています。中盤でやっと全体像が見えてきて、前半で理解したことがひっくり返ったりするんです。
——なぜひっくり返るんですか?
鈴木:前半は粛々とhave toを見つけるというプロセスなのですが、中盤でwant toが見えてきて初めて本物のhave toが顕在化するので、序盤に必死で見つけたhave toがひっくり返ります。「あの時間はなんだったんだ」「中盤の講座だけやればいいのでは」と思いましたが、いきなり一足飛びにはできないのだと思います。
——順を追ってやっていくのが大事なんですね。
鈴木:前半で見つけたのは表面的なhave toだったので、今までは的を射ないhave to探しをしていたなと。中盤くらいで「うわああああああ!」となるのはみんな体験していそうでした。
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やるべきことに没入できるようになり、まったく濁らなくなった
——自分のやりたいことや得意なことの解像度がはっきりしたんでしょうか。
鈴木:伝えるのがとても難しいのですが、自分がやりたいことに没入できるようになったので、アウトプットの精度が上がったように感じますね。ビジネス面では新しいプロダクトが立ち上がり、順調にいっています。5か月間の成果が「没入できる」って意味がわからないですよね。社内でも説明できなくて。「没入できるようになった!」「5か月かけて?え?」っていう。
没入の意味、大切さ、どれくらい頭の中がノイズでいっぱいだったか、have toで行く必要のない方向へ行っていたか、というのがわかって、自分でコントロールできるようになってきているので、とにかく没入感がすごいんです。
——それは仕事や物事に向き合うときのことですか?
鈴木:そうです。やるべきことに没入している。希望しか見えないというか。それにともない、それ以外のことに興味がなくなった状態です。
——とてもポジティブですね。
鈴木:逆に社員とのコミュニケーションに問題が発生しています(笑)。発言が過剰に前向きすぎて、そういう宗教ですかって。「自分には見える希望がある」みたいな。
——スペシャリストになっている実感があるからこその発言ですよね。
鈴木:他人に合わせることがなくなりました。こうあるべきということを本当に信じているから、まったく濁らない。コーチングが終わったあと、自分が本当にやりたいことはわかったけれど自分自身と深く向き合っていなかったので、他人の影響を受けて濁りやすい状態だったんです。そのうち、その濁りに気づくこともできなくなっていきました。
ですが、今はきちんと濁りが見えるようになったんです。こういう話を社内でしてしまうことが今の課題です。コミュニケーションできないので。
——そのコミュニケーションの部分は今後どうやって解決するのでしょうか?
鈴木:次の課題がUSPなんです。「みなさん自分のピュアな思いや好奇心の中でひたすら楽しんでいますよね、今度はUSPで社会に接合していきましょう」という。周りとうまく接合できていないと感じているので、頑張って取り組まなければと思っています。
——どのような人にこの講座を受けてほしいと思いますか?
鈴木:スタートアップ周りでもhave toに侵されていない起業家って少ないと思うんです。起業家って会社と一体化しているので。僕と同世代の方や仲間にはぜひお勧めしたいのですが、症状がないから気づかない病気ってありますよね。それに近い状態に陥っていて、気づいていないから勧めるのが難しいんです。
——気づいていない人には刺さらないですもんね。自分には関係ないなって。
鈴木:僕も堀田さんからDMがこなかったら受けていないですもん。
——受けてほしいのは気づいていない人ですが、気づいていない人に受けてもらうための動機設定が悩ましいところですね。
鈴木:僕も自分の内面ではなく環境的な問題だと思っていたので、僕が持っているアセットは嵌め方によっては社会に接合できると思い込んでいました。それも間違いではないのですが、そもそも僕の考え方の問題でしたね。
変わったことをやろうとしているのに「ピッチ やり方」で検索してしまうような。それってやばいじゃないですか。自分のやりたいことを話せばいいのに。僕のことなんですけど。
——答えはHow toではないんですよね。
鈴木:そうです。どこかに答えがあって自分が知らないだけという強迫観念は、現代における成人病や社会的な環境による病のような気がしています。でも答えなんてありません。
受講前はもっと恰好つけていました。今までなら自己紹介も用意していましたし。「論理的にしなければ」「とっ散らかっているとバカだと思われるんじゃないか」というhave toがありました。
——ひっくり返ったあとに見つけた本物のhave toですね。
鈴木:うまく説明できることと、僕らのサービスの素晴らしさは結びついていないことがわかったので、今はうまく説明できなくてもいいと思っています。
——そこが強みだと。自分はそこのスペシャリストとして、良い面も悪い面もあるかもしれないけれど、自分が心の中から湧き出るやりたいことに真っすぐに突き進もうと思えるって大事ですよね。
鈴木:そういうことです、まさに。それがわかったんです。それでいいって。やっていることはまったく違うけれど、仲間もいてみんな同じことで悩んでいます。やはりみんなこの罠にはまるんだなと思いました。それでパフォーマンスが悪くなってしまうのってもったいないですよね。社会にとってももったいないって思います。
——鈴木さんだからこその、生の言葉をありがとうございました。
文責
Shovellインタビュアー:山田花子
Shovell編集担当:星野愛
スペシャリスト養成プログラム運営事務局
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