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230524衆議院法務委員会7

7人目いきます。
トリは共産党の本村伸子委員です。

本村伸子(日本共産党):
日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。5月17日のこの法務委員会で不同意性交等罪の八号の部分、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること、または憂慮していることについて行為者が憂慮させるまでの地位とは思わなかった、憂慮しているとは知らなかったなどと、処罰されないことになるのではないかというあの質問をさせていただきました。その時にあの法務大臣は、行為者が憂慮という評価にわたる認識がなくても、それを基礎づける事実の認識があれば、故意は認められ得ると考えていますと、いうふうに答弁をされました。で、その点なんですけれども、基礎づける事実の認識は何かという点、伺いたいと思います。

斎藤法務大臣:
改正の刑法第176条第一項第八号の行為事由の認識につきまして、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していることが客観的に存在した上で、行為者がそのことを認識していること。これが必要でありますが、規範的な認識は不要、すなわち、法律上の評価にわたる認識は不要であり、それを基礎づける事実の認識があれば足りると、とまあ、こういう答弁をしたわけでありますが、具体的にどのような事実を認識していれば足りるかは当然のことながら、個別の事案ごとに証拠関係に照らして判断されるべき事柄でありますが、例えばです、会社の上司である行為者が部下である被害者に対して性交等に応じなければ人事に影響するとして性交等に応じるよう求め、被害者においてこれに応じなければ人事上不利に取り扱われると不安に思ったときなどには、行為者においてそのような事実を認識していれば足りてて、それ以上に被害者との関係が社会的関係に該当するとか、被害者が不安に思ったことが憂慮に該当するかといった。規範的な認識までは不要であるというふうに考えています。

本村:
要するに、上司と部下、教師と生徒、生活上不可欠な障害者施設の職員と障害当事者という関係が事実であればよいということでしょうか?

まつした刑事局長:
お答えいたします。改正後の刑法で176条一項八号の行為事由に対する認識についてお尋ねかと思いますけれども、どのような事実を認識していれば足りるかは今、大臣が答弁されたことでございますけども、その例に沿ってお答えいたしますと、社会関係上の地位に対応するものとしてはものとしては、行為者と被害者が同じ会社に勤めていて、行為者が上司であること。また影響力としてはそのように上司であることにより、人事に影響を及ぼし得ること。その不利益としては、そのような影響力ゆえに被害者の人事を降格させたり、希望しない部署に配置させることなど、憂慮としてはそのような不利益を受けることについて不安を持っていることなどが、それぞれそれらを基礎づける事実でございまして、こうした事実を認識していれば故意が認められるということでございます。

本村:
はい、あのぜひですね。あのこの点、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力のある立場にあること。そしてあの行為者の地位に基づく判断が、相手方の経済的又は社会的関係に利益又は不利益をもたらすことができる地位であることも、客観的にそれがわかればいいということで運用していただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか?

まつした刑事局長:
お答えいたします。ご指摘の通りでございます。

本村:
ありがとうございます。ぜひ適切な処罰をしていただきたいというふうにあの思っております。内閣府にお伺いしたいというふうに思いますけれども、あの先日来、公訴時効の関係でですね、なかなか相談できない。そういう方々が調査上切り捨てられ、この立法がなされているということで議論をしてきたわけですけれども、先日のご答弁の中でですね、男女間における暴力に関する調査の、無理矢理に性交等された被害経験について、調査結果では小学入学前が12件、小学生の時が16件、中学生の時が7件というご答弁がございました。それぞれですね、被害に遭ってからどのくらいの期間、相談されたのか、あるいは相談されていない方々がどのくらいおられるのかという点、お答えをいただきたいと思います。

はたけやま大臣官房審議官。
お答え申し上げます。内閣府において令和二年度に実施した男女間における暴力に関する調査におきましては、複数回答可として被害に遭ってから相談までの期間について尋ねておりますところ、ご指摘の被害にあった時期が中学生以下である35件について見てみますと、まず小学校入学前に被害にあったとの回答12件につきましては、相談までの期間が一ヶ月から一年未満が3件、十年以上が2件。それから小学生の時に被害にあったとの回答16件につきましては、相談までの期間が、その日のうちが1件、一ヶ月から一年未満が2件、中学生の時に被害にあったとの回答七件につきましては、相談までの期間が一ヶ月から一年未満が一件となってございます。ただ今申し上げた件数に含まれない26件については、被害の相談経験として、どこにも誰にも相談しなかった、もしくは無回答の回答者によるものとなります。

本村:
はい、あのう就学前で言いますと約6割相談できていない。そして相談できた場合でも、あの十年以上という方があの16%おられます。そして小学生は81.25%相談できていない。中学生は85.71%相談できていないということでございます。しかも、あの警察に相談できたというケースは相談全体でですね5.6パーセントということでですね、さらに、こうした実態をこの間も大臣にお願いしたんですけども、被害当事者の方々の声を聞いて、ぜひ実態調査を早急にやっていただきたいというふうに思っております。強制性交等罪の起訴率、現在の起訴率なんですけれども、ずっと下がっております。2000年の強姦の起訴率は68.4%、不起訴率は31.6%。直近ですと2021年の強制性交等罪の起訴率は32.4%、不起訴率は67.6%となっておりまして、起訴率不起訴率はこの20年間で逆転しております。起訴率がかなり下がっております。もともと相談するのにもハードルがある。警察に届け出をするにもハードルがある。そして検察においてもなかなか起訴されない。そして裁判においても、例えば岡崎支部の判決で言えば、実の父親から性暴力を受けても同意をしてないということが認定され、そして過去に抵抗して暴力を受けたということも認定され、経済的な支配も強まっていたということを認定されても、抗拒不能とはいえないと無罪判決が出る。そうした、あまりにもハードルが高いということですけれども、今回の不同意性交等罪となれば、この検察の運用というのは、しっかりと変わるというふうに言っていただけるんでしょうか大臣?

斎藤法務大臣:
あの今ご指摘の起訴率、すなわち起訴人員数と不起訴人員数の合計に占める起訴人員数の割合、これあの個別具体の事案に即した起訴又は不起訴、判断の集積でありますので、そもそもその低下の原因ですとか評価をですね、一概に述べるってなかなか難しいと思います。そして検察官による起訴不起訴の判断は、捜査機関により収集された証拠に基づき、個別に判断される事柄でありまして、本法律案による改正が起訴率に与える影響等についても、これなかなか一概にお答えするのは難しいなあと思います。その上でですね、本法律案は現行刑法の強制性交等罪や準強制性交等罪などについて、暴行又は脅迫、心神喪失、抗拒不能という要件の下で、その解釈によって犯罪の成否が決せられるのを改めてより明確で判断のばらつきが生じない規定とするものであります。従いまして、これによって現行法の下でも本来なら処罰されるべき同意していない性的行為がより的確に処罰されるようになると考えています。大事なことは、このような改正の趣旨より内容についてしっかりとですね、周知が徹底されることでありますので、法務省としては検察当局に対して適切に周知をしてまいりたいと考えています。

本村:
性暴力の被害に遭ったのに刑法は認められないと被害当事者に寄り添った、そして被害実態に見合った刑法を改正してほしいと被害当事者の方々がずっと国会でも何度も何度もロビー活動され、私達に伝えてくださいました。そして検討会でも法制審の部会でも本当に被害実態に見合った刑法の改正を求めてご努力されてこられたということは議事録を見ても、本当につぶさにわかるわけでございます。そうした皆さんの思いに寄り添った、更なるこの法改正、ブラッシュアップをしていただきたい、いただきたいということを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

法務委員長:
次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。

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