14歳と同意性交してつかまるのは「おかしい」か

立憲民主党の「性犯罪刑法改正に関するワーキングチーム(WT)」で、本多平直衆院議員が「例えば50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになる。それはおかしい」と発言し、同月下旬のWTでも「12歳と20歳代でも真剣な恋愛がある」「日本の『性交同意年齢』は他国と比べて低くない」との趣旨の意見を述べたというニュースが流れた。

このニュースをみて、「つかまるのがおかしい」と言っちゃう感覚がおかしい。文句があるならベルサイユへいらっしゃいと思った。以下、理由を述べる。

法律を制定する場合の基礎を形成し、かつその合理性を支える事実を「立法事実」という。

性犯罪において法律上保護すべき権利利益は、日本では、「性的自由」と言われており、「性的な事項についての自己決定の自由」や、「誰といつどのように性的関係を持つかの自由を意味する」と説明されている。
性犯罪の保護法益は、性的自由とする国だけでなく、心身の統合性・人格の尊厳など、国によって様々であるが、これらを侵害されると、精神に重篤な影響が生じるという認識は共通である。

WHOの発表では、うつ病や、不安障害、アルコール依存症、自傷行為、自殺企図のリスクが2.5倍まで高まる。

法務省は、平成30年4月から令和2年4月末まで、「性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ」を開催し、令和2年6月から令和3年5月末まで「性犯罪に関する刑事法検討会」を開催した。その中では、若年者の性被害の深刻さが語られた。

この論点では、小西聖子委員が精神医学の観点から、齋藤梓医院が心理学の観点から、多くの発言をしていることが議事録から読み取れる。

同検討会報告書25頁では、「被害者が一定の年齢未満である場合には、被害者が脆弱であるから、そのような特性に応じた対処の検討が必要であることには異論がなかった」とあり、エビデンスをもって検討すると、若年者の脆弱性が存在することは明らかである。

若年者には、成人と比べて脆弱性があるというのは、統計的・学問的根拠のある結論である。同年代であれば影響力が低いのではないかとか、単に「おかしい」とか「真剣な恋愛がある」という印象論だけで、否定するのは反知性主義であろう。

フランスでは、性交同意年齢が15歳なので、成人(18歳以上)が、14歳と性交すれば、同意の有無を問わず、犯罪となる。

フランスのど真ん中で、「14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになる。それはおかしい」とか「12歳と20歳代でも真剣な恋愛がある」などと発言したら、頭の横で指をクルクル回されるだろう。
「おかしい」という感覚だけで非難することができるような素朴な問題ではないのである。




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