若年者の脆弱性保護に関する外国の状況

ちょっと視点を変えて、他国の法制度は、若年者の脆弱性にどのような配慮をしているのかを見てみよう。

法務省で開かれている性犯罪に関する刑事法検討会において、調査対象となった国は、アメリカ(ミシガン州、ニューヨーク州、カリフォルニア州)、イギリス、フランス、ドイツ、韓国、フィンランド、スウェーデン、カナダである。
http://www.moj.go.jp/content/001323990.pdf
これは第1回の配付資料8「諸外国の性犯罪関連規程(仮訳)」である。
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00026.html

これらの資料を見ると、性交同意年齢は12歳~16歳と幅があるが、12歳など低めの国は、12歳から14歳、14歳から16歳、16歳から18歳など、約2歳刻みで、犯罪となる要件を分けている。

たとえば、たとえばドイツでは、性交同意年齢が14歳未満である。
14歳未満の者に対する性的行為は性犯罪となり、加害者が18歳以上の場合は刑が加重される。また、16歳未満の者は、21歳以上の者からの性的行為から守られている。
さらに、16歳未満の者に、教育・職業教育・生活上の世話をしている者が性的行為をすると性犯罪である。18歳未満の者の場合は、教育・職業教育・生活上の世話をしているだけでは足りないが、加えて依存関係の濫用をして性的行為をすると性犯罪になるという具合である。
つまり、地位関係利用と、年齢の上下関係の2つの視点から、若年者保護を考えている。

フランスは性交同意年齢が15歳であり、加えて18歳未満には尊属又は権威の濫用による性交からの保護規定がある。
なお、犯罪行為主体を成人に限っており、フランスの成人年齢は18歳なので、15歳と17歳が性交した場合、17歳に犯罪は成立しない。

国によって教育の差、文化の違いがあるので、外国の規定をそのまま用いることができるわけではない。
殊に日本では、文科省の学習指導要領上、小学校では、受精に至る過程を教えないことになっているが、他の国でもこのような状況が否かは不明である。※

しかしながら、他国で既に施行されている法律があり、長所短所が明らかになっているのであれば、学ぶ価値はある。

次回は、日本国内に戻り「刑事未成年から性被害を受けた被害者に降りかかる現実」について書く。


http://www.moj.go.jp/content/001324402.pdf
(検討会第2回野坂祐子氏提出資料)

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