【DIGDAGMUSIC+】音楽掘削作業と雑感 (2)Magic System - Magic In The Air

 フランスの音楽シーンを掘削していると、日本ではあまり耳にしないアフリカンなジャンルやミュージシャンに出くわす。かつてのフランスがアフリカ大陸で植民地化を進めた遺産みたいなものだろう。

 その一つがZouglou(ズーグルー)と呼ばれる、zouk・Ragga・Socaなど様々な要素を取り入れたダンスミュージック。1990年代半ばコートジボワールのアビジャン大学の学生らが始めたと言われている。

 このZouglouの代表的なグループで、コートジボワールにとどまらずフランスなどヨーロッパでもヒットを飛ばしているのがMagic Systemだ。

 「Feel the magic in the air. Allez! Allez! Allez! Levez les mains en l'air. Allez! Allez! Allez!(大気の魔法を感じろ。ゴー!ゴー!ゴー!両手を大気に掲げて。ゴー!ゴー!ゴー!)」という薄っぺらい歌詞をベタなメロディに乗せてちょっとアフリカン風味の調味料かけました的な、特に褒めるところの無いMagic In The Airという曲が少し前にフランスでヒットしていたのである。

 同じコートジボワールのミュージシャンでアフリカンレゲエの雄であるTiken Jah Fakolyのまるでフランスに中指立てるかような苛烈さなどは無く、同国の古株ミュージシャンMeiwayのようなアフリカ丸出しな泥臭さもあまりなく、なんだか若く健康的な明るさだけが全面に押し出されているMagic SystemのMagic In The Air。ヨーロッパで商業的に成功するにはこれぐらいでいいのかもしれない。ああ、つまんない。