24. 家計を累代で考え多世代間の協力を考えることは、現代社会の問題の解決につながる
少子高齢化、核家族化、負動産問題、空き家問題 三大資金(教育資金、住宅資金、老後資金)の圧倒的な節約
①負動産問題
最近、負動産という言葉を聞くようになりました。マイナス価格となる家と土地のことで、少子化で人口減少し、相対的に不動産が余ってきたことから起こっています。人口が減少しているにもかかわらず、核家族が多くなり、国内各地で新たに宅地を造成し新築の戸建てやマンションなどを建てたりしたことから、さらにその傾向が強くなっているようです。いたるところに空き家が発生しているのもこの問題です。かつては、ひとつの宅地と家屋を累代受け継ぎながら使ってきました。しかし、核家族になって、子どもが結婚するたびに次々に新たに家を確保し、それまでの家は、住んでいた人が他界した後、売却などの処分ができなければ、多くが空き家になってしまいます。最近は、負動産についての書物も多くなりました。詳しくはそちらをご覧ください。
(例)「負動産時代(朝日新聞取材班)」、
「老いる家 崩れる街(野澤千絵)」、
「負動産時代の危ない実家相続(藤戸康雄)」など多数。
かつて、団塊の世代の時代くらいまでは、人口も激増して土地は常に値上がりし住処を確保するのも大変で、まさに不動産は大切な財産でした。先祖伝来のものとなればなおさらです。ところが、今やそれが真逆になっているのです。家計を考える際には、自分の代の家計だけでは足らず、累代で考えたいと思うのには、この負動産問題も一因です。相続ののちには、実家の宅地や家屋は、特に地方では売却もままならず、維持管理や固定資産税が重くのしかかります。さらに農地があれば現実はさらに厳しいです。農業経験がない、遠方で耕作や維持管理ができない、耕作しても損失の方が多い、などのマイナス要因がばかりが目立ちます。しかも誰かに耕作を頼もうにも、よほど条件のいい農地でない限り、新たな作り手はまず見つかりません。それでも耕作放棄して荒廃させれば周囲の迷惑になるので放棄するわけにもいかないのです。現在、空き家バンクや農地バンクの制度がありますが、当然、人口が激減する中、負動産は減らないのですから、100%の買い手や借り手を確保できるはずもありません。
一口に負動産問題といっても、個々のケースを見てみる必要があり、定石となるような解決方法もないのが実情です。こんな時代だからこそ、世代間の十二分なコミュニケーションを大切にしたいのです。夫婦はもちろん、世代を越えて、日常の連絡・相談に加えて、金融資産、固定資産の状況を互いに伝え合い、相続開始の際には、どのように対処するのか、実家の家はどう処分するのか、また残すのなら誰がどのように維持管理していくのか、農地はどうするのか、列挙してみると、互いに考えて相談しておかねばならないことばかりではないでしょうか。当学習会に参加いただいた方々がそれぞれに、ご自身の家の負動産問題解決へのアイデアを持ち寄って、協働学習的な学びができればとてもいいと思います。現在の問題は正解を持った先生がいる訳ではないので、この場から、問題の具体的な事例とその解決のアイデアが発信できたら、素晴らしいことだと考えます。