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【資産形成において医師が若いうちに自費診療に転科するのは正解か】考察する

割引あり

※文中の金融用語など、専門用語の意味を索引として最後に箇条書きで載せておりますので、併せてご参照ください。

はじめに

 結論から言うと、若いうちに自費診療(高所得の医療者になること)に転科することを強く勧めたいと思います。

 投資の世界にはarbitrage(裁定取引)という取引方法があります。arbitrageとは異なる市場間にて、同一商品に価格差がある場合、高い方で売りポジションをとり、安い方で買いポジションを取ることで少ないリスクでリターンを得る手法です。

 規制が多く、利権にまみれた閉じた世界においては自由競争が促進されないため、市場の歪みが生じ、このarbitrageが大きな効力を発揮することがあります。

 医療の世界で見れば、保険診療と自費診療という異なる市場において、同じ自分の労働資本を取引するならば、安いところで買い戻し、高いところで売るのです。つまり、保険診療をやめ(買いポジションを取り)、自費診療に移るのです(売りポジションを取る)。

 労働資本を金融資本に変え、最終的な資産額を最大化することを目的とした場合、それが最適解となる根拠を以下の4点で説明したいと思います。

【理由①】operating leverageによって給与の差以上に資産が爆増する

 投資家や経営者にとって馴染み深い言葉に、operating leverage(営業レバレッジ)というものがあります。これは、固定費をleverage(テコ)にして利益を増大させる効果のことです。

 例えとして、金価格と金鉱株価の関係を見てみましょう。金価格が100、採掘コストが60の場合、金鉱会社の利益(営業利益)は40です。金価格が1.5倍の150となった場合、採掘コスト(固定費)は変わらないため、利益は150-60=90となり、40に比べて倍以上(2.25倍)に増大します。株価 = EPS(一株あたりの利益) × PER(株価収益率[ここでは定数とする])なので株価は営業利益に相関し、金価格(1.5倍)よりも金鉱株価(2.25倍)の方が変動率が大きくなるわけです。

 これは日常生活においてもあてはまります。手取り収入から固定費を引いた貯蓄額は手取り収入よりもleverageが効くわけです。それは累進課税によって可処分所得の格差が多少是正されても消せぬ大きな差異となって現れます。

 具体例を挙げてみましょう。

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