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全体としての「豊かさ」

「豊かさ」をお金に限定してしまう人が多い。確かにお金は、現代の経済システムにおいて物を獲得し、サービスを利用するという観点では、豊かさの象徴の一つだ。しかし、お金では得られない豊かさはこの世界には沢山ある。

運動をしたときの爽快感やリラックスしているときの安心感、友人と語り合ったときの充実感などは、特定の金額を支払って味わえるものではない。実際には物やサービスにおいても、誰もが同じ金額でそれを利用できるが、その時に得られる豊かさは人それぞれだ。また同じ金額でも、別の物やサービスの間では、その価値は異なる。そのような意味では、特定のお金とそれに対する価値の水準は非常に分散的だ。

1日24時間ある中で、何にどれほどの時間を費やすのかという選択が、豊かさの総量を決める。多くの人は、お金を得るために自分の時間を犠牲にする。しかし、それでは全体としての豊かさは増えない。なぜなら、お金と時間がトレードオフの関係にあるからだ。労働時間を増やすことで確かにお金を得られるが、自由な時間は減ってしまう。その結果、やりたいことに時間を費やせなくなり、全体の豊かさは低下する。

豊かさの総量が数値として"100"であるとするならば、それを"200"にすることが重要だ。しかし、人々は"100"の内の割合について考える。労働をして得るお金と、自由な時間を比較し、前者を優先させてしまう。しかし、後者には、精神的な豊かさを第一に様々な可能性がある。お金という豊かさを得るための労働には、特定の金額のお金という限界がある一方で、自分の自由な時間は、お金の他にも多種多様な豊かさを含んでいる。

また、人によっては、物事に費やす時間に対して得られる満足度は異なる(詳細はこちら)。したがって、一つ一つの物事に対して満足度が最大化されるような時間を把握し、1日のスケジュールに複数そのようなものを組み込むことで、全体としての豊かさは増大する。

人によっては、そこに労働を取り入れるかもしれない。しかし、多くの人は1日8時間の労働を選択しないだろう。たとえ好きなことであったとしても、長時間物事を続けるには、それなりの集中力と体力を要する。その場合には、身体を休めることも一つの豊かさだ。

「豊かさ」には、お金の他にも様々な要素が含まれる。それぞれの豊かさから、程よい満足を得られるのであれば、それらはトレードオフの関係にはならない。時間を費やす一つ一つの物事に対して、自分にとって満足度が最大化するような量と質、時間を把握していれば、豊かさの総量は増大する。

幅広い豊かさの可能性を認識すること、そして特定の在り方に執着しないことが、より豊かな人生を歩む上では大切だ。

2023年3月14日

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