国東半島芸術祭に行ってきた。
大分県は国東半島にて開催中の、『国東半島芸術祭』。
そんなにアートに造詣が深いわけではないけれど、地元で大々的に開催される芸術祭ということもあり、ちょっと行ってみるか!という軽い気持ちで始まった今回の旅。どうせ参加するならとボランティアにも応募し、11/2,8~9の3日間、どっぷり国東半島の魅力に触れてきました。
公式HPもガイドブックも立派なものができているけれど、イマイチ何をやっているのかよくわからない…という人に向けて、実際に訪れた個人的な感想を含めて各プロジェクトの(非公式に)(勝手に)紹介したいと思います。
公式ガイドブックの説明を借りて概要を説明すると、この芸術祭は主に6つのサイトスペシフィックプロジェクト(ある特定の場所に制作された作品を巡るもの)から成っており、各プロジェクトは実際に国東半島を歩いて作品めぐりを楽しんでもらうような形になっています。
ほかにも国東半島の自然の中でダンスなどのパフォーマンス作品を鑑賞できる「パフォーマンスプロジェクト」や、国東半島を訪れたアーティストの作品を展示している「レジデンスプロジェクト」などもありますが、ここでは主にサイトスペシフィックプロジェクト(以下SP)について書いていきます。
SPは千燈(せんとう)、香々地(かかじ)、真玉(またま)、岐部(きべ)、並石(なめし)、成仏(じょうぶつ)の6エリアから構成されていますが、国東半島はとても広く、作品にたどり着くまでに時間のかかるエリアもあるため、一日で回るのはまず不可能です。一日2~3エリア回るくらいがちょうどいいと思います。ちなみに、全プロジェクト鑑賞無料(!)
また、山道を歩く作品もあるため、公式HPに紹介されているような山歩きルックで行かれることをオススメします。個人的な鑑賞の難易度も書いてます。
全ての写真は別のノートに掲載していますのでこちらもあわせてどうぞ。以下、行った順。
<1日目 11月2日(日)くもり>
①千燈プロジェクト 難易度 ★★★
アントニーゴームリー『ANOTHER TIME XX』
いきなり一番ハードなプロジェクトから攻めてしまった。この銅像、かなり切り立った崖の上にあるので、きちんとした靴で行く方がよいです。
この作品にたどり着くためのルートには2種類あり、麓の登山口から10分程度で行けるルートと、ゴームリーが実際に歩いた千燈岳の中を歩いてから進む70分程度のルートがあります。が、個人的にはぜひ後者のルートで挑戦することをおすすめします。苔むした寺跡や仏像に山道の途中で遭遇すると、非常に静謐な気持ちになりました。運動音痴の私でも大丈夫だったので、六郷満山文化を感じながらのんびり登ってもよいと思います。
②香々地プロジェクト 難易度 ★
チェ・ジョンファ『色色色』
ほかにもオノ・ヨーコの作品などもあります。
この日天気が悪かったのもあってか、咲いているヒマワリ(品種改良してこの時期も咲いている…という話も聞いたのだけど)が元気がなく、人もまばらでした。晴れた日はゆっくり海岸を散歩してもよいかも。ベストシーズンにまた訪れたいと思います。
③真玉プロジェクト 難易度 ★
チームラボ『花と人、コントロールできないけれども、共に生きる-Kunisaki Peninsula』
SPの中で一番人が多かった。映像作品は元縫製工場の中にあるのですぐに見ることができます。国東半島に咲く花々が15分毎に季節を変え映し出されるそうで、作品に近づきすぎると花が枯れ、一定の距離で見ると満開に芽吹くそう。
会場近くの真玉海岸は晴れた日の夕方には美しい夕日の風景が見られるそうなので、夕方あたりに行くのがオススメ(この日はくもり。週末天気悪すぎ)
<2日目 11月8日(土)くもりのち小雨>
④岐部プロジェクト 難易度★★
川俣正『説教壇』
もともと岐部地区はキリスト教にゆかりのある地域なのだそう。この作品はペトロ・カスイ岐部司祭の銅像がある公園の裏に作られていて、作品内を歩いていると樹木の合間から岐部湾を見ることができます。会場付近の「国見ふるさと展示館」にて石川直樹の写真展も開催中なので見ごたえ十分。この日のお昼ごはんもこの会場の「城山亭」にて食べました。
(番外)集ういえ・作るいえ
元歯科医院だった民家をアーティスト(=異人たち)のコミュニティハウスとしてリノベーションしたものだそう。こちらではレジデンスプロジェクトである展覧会「希望の原理」をやってます。
⑤並石プロジェクト 難易度 ★★★
勅使川原三郎『光の水滴』
写真がないのだけど『月の木』という作品も素敵。ダム周辺の遊歩道をてくてく歩きながら回るSPなので、ぐるっと回るには40分程度の時間がかかるとのこと。ダムも周辺の山々も素敵なのでここもまたゆっくり訪れたいところ。
この日は作品の作者でもある勅使川原三郎さんのダンスパフォーマンスもあり、スタッフとして参加したのですが、自然とダンスと声明の融合がとても神秘的でした。間違ってリハ中にステージに迷い込んでしまい勅使川原さんを困惑させたスタッフは私です(懺悔)
<3日目 11月9日(日)雨ときどきくもり>
⑥成仏プロジェクト 難易度★★
宮島達男『Hundred Life Houses』
最終日は成仏プロジェクトにてボランティアスタッフとして参加。この日は朝から雨が降ったためとても足場が悪かったです。岩肌にLEDカウンターが設置されていて各々のスピードで明滅しているのですが、当初写真で見ていて「なんだこれ…」と思っていました(失礼)。だけど自分で山道を踏みしめて歩き、山の中の岩肌に突然無数のLEDライトが現れる光景は壮観で圧倒されました。百聞は一見に如かず。
ちなみに各SPの会場には地域の方々が「おせっ隊」として配置されており、ボランティアで様々なおもてなしをしてくださるのですが、この成仏Pのおもてなしは一番すごかった。なんと漬物バイキングにおいしいお米で作ったおにぎり、それからミカンまで、至れり尽くせりのおせったい。スタッフで参加した私もちゃっかりおいしいおにぎりとお漬物をいただき、とても嬉しかったです。帰り際には少し泣きそうになったほど。
こういった形で地元の方の優しさや文化に触れられるのもこの芸術祭の醍醐味だと思うので、ぜひ各プロジェクトでおせったいを受けてみてほしいです。
おわりに
以上6つのプロジェクトを回り、もちろんどの作品も素晴らしかったのですが、
自分の暮らす大分県にはまだ知らない自然や文化がたくさんあって、それらに「アートを通じて」出会えたことが、今回参加した中での一番の収穫だったように思います。
恥ずかしながらそれぞれのSPの地名もこの芸術祭に行くまでほとんど知らなかったし、神仏習合、六郷満山、なんじゃそりゃ!と未だによくわかっていない部分も多いです。笑
ただ、それぞれの作品に「導かれて」出会ったそれぞれの地域の文化や自然との出会いはこれからもずっと私の中で活き続けるだろうし、ますます自分の住んでいる県のことを誇りに思うようになりました。アートはその土地のことを知るための道しるべ、みたいなことを書いてる雑誌がありましたが、本当にそうだなと思いました。国東半島は、とてもいいところです。
芸術祭は11月30日まで開催中なので、気になった方はぜひ大分県へお越しください。
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