24.08.16 旭川・深川・滝川/指輪物語

オホーツク特急の車体、ヒカリアンの忍者のやつだった。ヒカリアン大好きだった。

車窓から見える網走湖が美しかった。展望台から眺めた時も思ったが、水面がとても静か。湖の周囲でキャンプしている人達がいて、頭良いなと思った。

ヒマワリ畑って本当にあるんだ。幸せな場所すぎるよ。昨日はずっとうっすら曇っていたが、旭川に着く頃には雲と雲の間に晴れ間が見えた。気持ちが良い朝。

旭川は都会だった。勝手なイメージだけど、山に囲まれた街で、やばい閉塞感があると想像してた。真っ当に都会だよ、失礼しました。しかし、旭川に来て、俺は網走が本当に好きだったんだと痛感した。旭川で宿は取らない。

函館本線の窓は全て開けっぱなしであり、めちゃくちゃ涼しい。トンネル通ってる時は風の音で耳が痛い。

急に疲れ切ってしまい、深川の喫茶店で居座った。ピザトーストがふわふわだった。マダム2人が「最近急に首とか皺くちゃになってお母さんそっくりでびっくりした」と話してた。体と心はいつどんなタイミングで馴染んで一致するんだろう。

ゴクリ、という映画のロードオブザリングにも出てきた汚いゴブリンみたいなやつ。あいつを許すか、許さないか、というのは指輪物語でとても重要なようだ。姑息で小さな嘘を常についていて、欲深くて、しかし故郷や友人への情はひと握りほど残っている、そんなキャラ。情が残っているの一点で、ガンダルフは殺すべきでないと言い切った。俺も言い切りたい、けど言い切ってない、俺は、残念ながら。

滝川に宿を取ったのだが、思いの外大きい街で、その分廃墟やら、古い建物が目立った。昔は栄え、衰退したのか。これはあとで寿司屋のおっちゃんに教えてもらうんだけど、前の前の市長が無理に沢山建てたからで、現市長が各地に金の無心に行ってるらしい。人口もどんどん減っているとのことだった。

この寿司屋のお父さんとお母さんがとにかく良かった。客が俺しかいないから沢山話をしてもらった。もうおふたりとも77歳と高齢ということ。滝川はどんどん人口が減ってること。農家も大変なこと。戦後の北海道から南米への移住推進と失敗。そして、長男が札幌の会社で出世して、わざわざ部下を数人お店に連れて来たこと、次男が有名な寿司屋になって近くで店を開いていること、その友達が個性的な飲食店を開いて滝川を盛り上げていることを嬉しそうに話していた。

おしゃべりだけど、走り過ぎない、意見はあるけど、押し付けがましくない、お二人の話し方がとても心地良かった。話の流れで俺が良い年して独身であることを話してたんだけど、「次来る時は彼女連れて来てね」と言われて「よーし!彼女作ってまた来るぞー!」と素直に思った。

寿司食ったあとジンギスカンも食べた。ジンギスカンの作り方分かりませんと言うと、若い店員が一瞬だけ嫌な顔をしてから、マニュアルどおりに作り方を教えてくれた。本来の店員と客の関係性ってこれだよな!と少し旅情ガン浸りモードから醒めてシャキッとした。

ジンギスカン食った後、多部編纂最強飲食店リストに誘導される形でバーに入った。気持ちが良いご主人だった。厚岸ウイスキーを飲んで自分でわかるくらい自分がご機嫌だった。上手い飯食って、上手い酒飲んだらもう他に言うことないよ。

指輪物語の映画版はとにかく駆け足なんだけど、その中で、ガンダルフとビルボが2人で幸せそうにタバコを吸ってるシーンは原作になくてわざわざ映画で足されていた。俺はタバコは吸わないが、とても良いシーンだと思う。

なんか最近、人からの評価の多寡を考えてる時間が増え過ぎてるなと思って、そういうことから距離を置きたいというのも一人で北海道に来た理由だった。距離を置くとマジで心底どうでも良いことだと分かる仕組みになっている。


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