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ぶんしょう舎とブレーキが壊れたダンプカーなわたし


■ぶんしょう舎をみつける

私は2020年11月からオンラインで文章講座を受講した。ぶんしょう舎と名付けられたそれは、私にエキサイティングな体験をもたらしたので、その一部始終をここに記しておきたい。

なお、今回は思いきり私の主観で書くことにする。したがってぶんしょう舎ってどんなステキなところなのか、客観的な事実が知りたいわと思ってこのnoteを開いた方にとってはハズレであり、偏見と欺瞞に満ちた地獄の検索妨害noteということになる。

ただ私は大丈夫な人なので、ぶんしょう舎のことを正確に知りたいという方に有用な記事も以下に掲載させていただく。ちゃんとした情報を求めている方は一刻も早くリンクをたどっていただきたい。


・ぶんしょう舎受講生の方々による素晴らしい記事



※いずれも受講生の方々による執筆です。



私がぶんしょう舎を知るきっかけになったのはTwitterだ。いつものようにバカとエロとグルメと射幸心とお気持ち表明漫画が不規則にまろび出る地獄の幕の内弁当みたいなタイムラインを眺めていると、「これからオンラインで文章講座をするよ、初心者から上級者までみんな集まれ」みたいな告知ツイートがあった。

いやしくも私は文章を生業とする人間である、もっと面白いことが書けるようになるならば努力とかはあんまり惜しまない。しかしここはインターネットの世界、油断して何も考えずにオンライン講座なんかに申し込んだ日には個人情報を全部抜かれて得体のしれない情報商材とかを買わされて「魅力的でセクシな女性が迫りくる貴方に、今すぐサイトにアクセスぞ」みたいな日本語があやしいメッセージとかが来まくる可能性もある。

ダイヤルアップ時代を生き、テキストサイトを読み漁った結果、「ネットの向こうにいる人は基本的に全員詐欺師」という偏りまくった知識を持った私は、講座の詳細が書かれたページを慎重に読み進めた。

どうやら受講は月3000円から可能で、しかもいつでも辞められるらしい。オンライン講座というものはウン十万払って会員になって、そこからさらに専用のテキストとか学習ソフトとか主催者を休ませる権利を買えとか言われるものだと思っていた私は少し安心し、ずいぶん良心的な詐欺師だなどとめちゃくちゃ失礼なことを考えていた。


特に危険は無さそうだし、面白くなければすぐ辞めればいいか。私はそんな気持ちで参加を申し込むことにした。


■ぶんしょう舎がはじまる

ぶんしょう舎の主催は5歳さんである。

勉強不足で申し訳ないが正直に告白すると、私は5歳さんのことをよく知らなかった。名前は聞いたことがあるが、ネットで有名なインフルエンサー的な人くらいの印象で、具体的に何をしている人なのかはわかっていなかった。

いざ入ってみると若干の不安もこみ上げた。右も左もわからぬうちに有名人のコミュニティに入るのはマズいのでは、ローカルルールみたいなのがあって、それを知らない異端者である自分はふとしたきっかけで5歳さんの逆鱗にふれて火あぶりとかにされるのではないだろうか。それでなくともさっき詐欺師とか考えてしまったので、逆鱗に最も近い男としてのポテンシャルにあふれてしまっているのだ。

独りで頭を抱えているとSlack(コミュニティ用の掲示板的存在)に招待された。ぶんしょう舎内の情報共有やメンバー間のコミュニケーションは基本的にここでおこなわれる。


まず参加メンバーがおこなうことはスレッドに自己紹介を書き込むことだった。既に書き込まれたものを確認してみると参加者層は幅広く、現役の学生さんから既にライターとして活躍している人まで様々。ここは私がひとつ気の利いた自己紹介でもしてやろうと考えたその時、高校入学時の自己紹介で盛大にすべり散らかした悪夢のような40秒を思い出した。まだ場の空気も読めない初手、やらかすのは避けるべきだ。特に明るく印象付けようなどと考えて突然エディ・マーフィー(吹き替え)のモノマネをするなどもってのほかである。経験は人を成長させる、私は無難に自己紹介を書き込んだ。

なお、この自己紹介も強制では無く、書き込まないからメンバー資格を剥奪されるとかは無いので安心して欲しい。万が一すべり散らかしてもゴキゲンなメンバーが華麗にスルーしてくれるってワケさ、イヤッハァ!!


Slack内ではお知らせや自己紹介以外にも、個人が気軽につぶやいたり拡散希望を出したりできるチャンネルもある。どうやら既に別コミュニティで顔見知りになっている参加者も複数いるようで「参加されたんですね」「あの時はどうも」といった具合のやりとりも見受けられた。5歳さんが主催ということもあり5歳サロンメンバーの方も多い。

実は既に私以外はみんな仲良しになっているのではないか、この雰囲気のなか「好きな人同士で二人組を作って」などと言われたら取り残された私は疎外感から膝を抱えて泣いてしまうかもしれない。お一人様エリート戦士である私は警戒していたが、特にそういうことは無かった。振り返ってみると、一度も書き込みをしなかった人もいたと思うし、実際それで何の問題も無く講座は受けられる。


ぶんしょう舎としてコミュニティは存在するし、学びの共有や相互のやりとりに活用もできる。逆にそれらを全部無視して最低限の連絡事項確認と講座視聴だけしても大丈夫だ。


■講座がはじまる

ぶんしょう舎は文章を学ぶためのオンライン講座だ。基本的に週末の20時もしくは21時から2時間程度、月2回ペースで開催される。動画でリアルタイム視聴できるし、もしその時間に参加できなくてもアーカイブ視聴ができるので安心だ。学ぶ姿勢としてはいかがなものかと思われるが、寝転がってお菓子とかを食べながらの視聴すら可能である。

講師陣も強力かつ個性豊かで、特にweb記事に馴染みがある人ならば名前を知っているような有名人が次々登壇する。私も読んだことのある記事のライターさんが登場して興奮した。

講座内容の詳細は割愛させていただくが、全体的にはこまかな文章テクニックというよりはライティングやライター業務にあたっての考え方という領域が大きかったように思う。「〇行目から〇行目まではこの文法を使って、文末ではあの表現方法を……」みたいな国語の授業的な話は一部の具体例として出される程度だった。

リアルタイム視聴組に限られるが質疑応答の時間もある。細かな部分を聞きたい人も直接聞けるし、ぼんやりとした悩みがある人もアドバイスを受けることが可能なので大興奮である。


いずれにしても現役のプロフェッショナルに学べる良い時間だったし、文章という部分を抜きにしても講演会として楽しめる内容だったのでいよいよ興奮し放題だ。アツい講座内容に感情がたかぶった私は鼻息荒くかぶりつきで動画をみていたので、傍からみたら完全に変態のそれである。

ぶんしょうしゃ

■課題がはじまる

定期的に課題も出された。基本的には特定のテーマに則ってnoteに文章を書くというものが多かったが、短文に限定されたり、画像を使用したりといった変わり種もあったので飽きずに取り組める。

それらは講師によって一言コメントがもらえたり、一部をピックアップして紹介されたり、あるいは取り組むこと自体を学びのきっかけとして設定されているものもあった。また、5歳さんがコメントをくれたり、受講生同士が感想を述べあったりもできる。同じテーマでこうも書き方が変わるのかという発見もあった。

そしてこうした課題への参加も自由である。気に入った課題だけを提出しても誰にも何も言われないし、一切参加せずに他者が提出した課題を閲覧だけすることも可能だ。


私はこの課題提出が好きだった。難しいテーマだったりスケジュールが厳しいものもあったが、決められた枠の中で面白いものを書くという行為に燃えるものを感じていた。私のnoteは過去に一度鰤がうまいという記事を書いただけでその後放置状態だったが、ここへ来て活用機会がやってきたのだ。久しぶりに書き手が訪れた岡井のnoteアカウント、心なしか鰤の切り身も輝きを取り戻している気がする。

最初の課題は「買ってよかったもの2020」だ。生活に則したお役立ち製品や心の支えとなるような素敵な品物を紹介するテーマなのだろうと察したが、私はそうした一般性とか共感を得るみたいなのを全部無視して寿司桶の話を書いた。要るとか要らないとかはどうでもいいからとにかく寿司桶を買え、そうすると日々の暮らしが全部いい感じになるみたいな内容だ。


結論から言うと私は浮いた。考え過ぎとかではなく、5歳さんからはっきりと「岡井さんは浮いている」とコメントをいただいたので主催者公認の浮きっぷりなのだ。素敵な文章が並ぶなかで、ベテラン寿司職人のフリをした素人のオッサンがかっぱ橋道具街でのたうち回る話とかを書いているのだから仕方がない。

ぶんしょう舎の人たちはやさしいので、変なものを書いても否定的なコメントはされなかった。やさしさに包まれたならきっと、目に映る全てのことはメッセージなのだ。

その環境が私をブレーキが壊れたダンプカーに変えた。その後の課題に落ち込むことも無く、元気イッパイに美容室でロナウジーニョに会う話や町内三大迷惑老人と呼ばれた祖父の話などを書きまくった。課題的な順路とかも考えずに走りまくった。


■ぶんしょう舎が終わる

2021年4月をもってぶんしょう舎は終了した。

講座はいずれもためになるものばかりだったし、受講生の方々との横のつながりも良い刺激になった。そして5歳さんはとてもいい人でいろんなことを教えてくれた。

オンライン文章講座を受けた経験が少ないので他と比較してどうだということは書けないが、自分としては満足いくものだったし、他の人にもおすすめできるものだと感じた。


こうして振り返ってみるとまた興奮してきた、過去の学習をもう一度振り返ってみよう。最近では5歳さんの顔を見るだけで興奮するようにもなってきた、ブレーキが壊れたダンプカーの危険な症状である。

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