sekiro考察 #番外編 旅の構造


狼の旅路は水手曲輪の井戸底に始まり,すすき野で弦一郎と戦う.その後荒れ寺かから城下を葦名城へ向かい,弦一郎と戦って九郎を取り戻す.その後,落ち谷の馨し睡蓮,仙峰寺の赤の不死切り,水生村のお宿り石は好きな順番で回収し,葦名城で梟と戦う.源の宮で拝涙すると葦名城へ戻され,すすき野で一心との戦いである.

馨し睡蓮,不死切り,お宿り石の順番は任意だが,九郎のセリフからこの順番が正しいと分かる.
傍証として獅子猿との戦いを見よう.初め落ち谷で戦う時には蟲憑きゆえにトドメを刺すことができない.仙峰寺で不死切りを手に入れ,葦名の底でもう一度見えるときには不死切りでトドメを刺すことができる.この順番を入れ替えると,不死切りを持っているのに不死断ちしなかったり,二頭獅子猿をスキップできたりと奇妙なことが起きてしまう.

この旅路は大きく四つに分解できる.
第一はすすき野から葦名城で弦一郎と戦うまで.第二は落ち谷と仙峰寺,第三は葦名の底から源の宮まで.第四は葦名城からすすき野に向かい一心を倒すまでである.

すすき野から葦名城へ向かう第一部と,葦名城からすすき野に向かう第四部は転置の関係にある.
第二部と第三部は同じことの繰り返しである.まず低い場所(落ち谷,葦名の底)へ落ちて行って香の材料(馨し睡蓮,お宿石)を入手する.その後,高い場所(仙峰寺,源の宮)へ向かう.どちらも堕落した宗教(仏教,神道)の地である.さらに,拝んで祈り,非現実世界(幻廊,仙郷)へ向かい,桜竜にまつわる品(赤の不死切り,桜竜の涙)を入手する.特に赤の不死切りは拝涙をなすための道具である.どちらの旅路もぬしによって妨害されるが,忍殺することもできる.

第二部と第三部の唯一の相違点は,第三部は梟との天守閣での戦いという余計な要素を持つことである.これはマルチエンディング実装のための,ゲーム上の要請ということができるだろう.

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