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ひかりのおはなし

正月に友人と会ってライティング講座的なものをすることになったので、今回は予備知識として「光の基本」を書いていきたいと思います。

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・光とは

写真において光の種類はいろいろあるんですが、ここではざっくり環境光と人工光として説明していきます。

環境光はその場にある光源からくる光ですね。
太陽光や街灯などの照明がこれに当たります。
これらは基本的に撮影者の意図で動かしたり発せられる光の強さを変えたりできません。

対して人工光はストロボ(瞬間光)やLEDビデオライト(定常光)など、撮影者が動かしたり光の強さを変えられる光源のものを指します。

次に光のコントロールについて。

光は
・光量(光の強さ)
・光源の大きさ(光の硬さ)
・光源と被写体の距離(光の強さと硬さ)
・光の指向性(光の硬さ)
で変化します。

それぞれ詳しく説明するのは骨が折れるので割愛させて頂くとして、ふわっと説明すると

「光源の大きさ」が大きいほど「光源と被写体の距離」が遠いほど「光の指向性」が弱いほど、光は柔らかくなりコントラストが下がります。

逆に「光源の大きさ」が小さいほど「光源と被写体の距離」が近いほど「光の指向性」が強いほど、光は硬くなりコントラストが上がります。

光をコントロールするには「光の質」を理解して「光を視る」ことが大切です。

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・光とカメラ設定の関係性

ここからは主にストロボ(瞬間光)のおはなしになってきますが、自然光などの定常光にも通じる部分が多いのでがんばって読んでみてください。

カメラを買って最初に勉強することは「絞り(F値)、シャッタースピード、感度(ISO)」だと思います。
F値が小さく、シャッタースピードが長く、感度が高いほど明るくなる。
これは定常光での話で、ストロボが絡むとなるとちょっと変わってきます。
ストロボ撮影のとき、それぞれの設定がどう影響するのか軽く見ていきましょう。

・絞り(F値)

絞りとは「一瞬に取り込める光の量」を調整する設定です。
瞬間光であるストロボ撮影では主に「光が当たる部分の明るさ」を調整することができます。

・シャッタースピード

シャッタースピードとは「光を取り込む時間の長さ」です。
ストロボ撮影においては主に「背景と影の明るさ」を調整することができます。
ストロボは瞬間光なので、光が当たる部分にシャッタースピードは大きく影響しないんですね。

・感度(ISO)

感度は「全体の明るさ」を調整できます。
光が当たる部分も当たらない部分もまとめて調整できます。
もちろん上げすぎると画質が悪くなりますが。

ここままで理解してもらったところで、実際の撮影ではどういう手順で組み立てていくか見ていきましょう。

1.シャッタースピードで背景の明るさを決める

まずはストロボではどうしようもできない背景から。
被写体よりも露出を低くするのがベターなことが多いです。
カメラによりますが、だいたい1/250sがフラッシュ同調速度上限(ストロボ撮影時のシャッタースピード上限)になってます。
ですが、ストロボの光量をフルに発揮したいのであれば1/125s以下が望ましいです。
場合によってはNDフィルターなどを使ってそこにもっていく必要があります。

2.「被写界深度」で絞りを決める

絞りでストロボの光量が変わると言いましたが、それよりも重要なのは被写界深度です。
バイクなどはできれば全体にピントが合ってる方がいいですからね。
これはセンサーサイズと焦点距離で変わるので実践あるのみです。

3.光の硬さを決める

ストロボには様々なアクセサリーがあります。
アンブレラ、ソフトボックス、ハニカムグリッド、スヌートなどなど。
アクセサリーで光の硬さを変えられるのはストロボの大きなメリットの一つです。
個人的にバイクには少し硬めな光が相性いいと思います。

4.ストロボの光量を決める

最後の最後でやっとストロボを操作します。
細かく光量を調整できるのもストロボならでは。
ちなみにストロボの光量は「ガイドナンバー」と呼ばれていて数字が決まっています。
絞り、被写体と光源の距離、ガイドナンバーで適正露出を計算できるんですが、めんどくさいので覚えなくても大丈夫です。
実際に撮って調整した方が簡単ですし、慣れたら感覚ですぐできるようになります。

5.光を当てる場所、方向を考える。

ここが一番難しくて重要なところなんですが、バイクのような被写体のライティングは「光をどう当てるのか」ではなく

「どこに影を作るか」

という考え方が大切です。
例えばカメラの場所から被写体にストロボを当てると影はほとんどできません。
ちなみにこれをすると、バイクがすごくかっこ悪く写ります。
バイクは「影」によってかっこよく撮ることができるんですね。

だいたいこんな感じです。
さっきも言いましたが、慣れたら感覚でこれらの手順は一瞬でできるようになります。
たぶん。

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光のおはなしからストロボはいいぞ^〜になってしまいましたが、光に対する基本的な考え方はどんな光でも同じです。

太陽光の下でバイクを撮るときにも、少しバイクの向きを変えるだけで全く違うように写ります。

「光と向き合う」

それがPhotographyです。

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