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きざいのおはなし

突然ですが私は今まで
Nikon D5300(APS-C)
Nikon D750(35mm判フルサイズ)
FUJIFILM X-T2(APS-C)
FUJIFILM X-T3(APS-C)
とカメラを使ってきました。

この間、約3年半です。

買い替えすぎやろ……。

というわけで今回は機材のお話。

私がそうだったんですが、カメラをなんとなく分かってきた頃は
「フルサイズがいちばん強いんだ!」と思っていました。
その頃よりカメラのことを理解し、フルサイズも使って、撮りたいものが定まった今になっては

バイク撮影はAPS-Cで十分なのでは?

ってなっています。
というか、実際にフルサイズからAPS-Cにしました。

ではこれから、なぜ私がそういう結論に至ったかなどをお話したいと思います。

・・・

・センサーサイズによる被写界深度の違い

なぜそうなるか、なんてややこしい仕組みはともかくとして。
結果だけ言うと、同じ絞り (F値) でもセンサーサイズが大きいほど「ピントが合う範囲」が狭く、センサーサイズが小さいほど「ピントが合う範囲」が広くなります。

よく「フルサイズはたくさんボケるから良い」みたいなことを聞くと思いますが、それがセンサーサイズによる被写界深度の違いなんですね。
ポートレートなどはそれが良い結果になることもありますが、バイク写真となるとちょっと違います。
なぜなら

絞ることで稼げる被写界深度は明るさとトレードオフになっているからです。

当然ですね (小声)

具体的な例をあげてみます。
まずカメラと被写体の距離を5mとします。
そしてレンズは35mm判換算50mmとしましょう。
これはだいたいバイクがフレームにちょうど収まるくらいの撮影距離とレンズになります。

こんな感じに斜めからバイクを撮影。
このとき「バイク全体にピントが合うように」しようと思うと、余裕をもって3m以上の被写界深度が欲しいところ。
ではこの場合、各センサーサイズ別のF値を見てみましょう。

被写界深度計算機によるセンサーサイズ別の被写界深度表です。
この表から3m以上の被写界深度を得ようとすると
35mm判:F4.5以上
APS-C:F2.8以上
m4/3:F2.2以上
になることがわかります。
フルサイズ (35mm判) とAPS-Cでは絞り1段と1/3の差。
フルサイズ (35mm判) とm4/3では絞り2段の差があります。
センサーサイズが小さくなるにつれ同じ被写界深度でも「明るく」できるということなんですね。

フルサイズセンサーのボケを大きく(被写界深度を浅く)できることはメリットなんですが、逆に小さいセンサーの「同じ被写界深度でもフルサイズより明るくできる」こともまたメリットなのです。

バイクをシャープに撮ることはもちろんですが、明るさはストロボの光量にも大きく影響してくるので私にとって非常に重要な問題だったり。

そして、絞りは画質にも影響します。

・絞りによるレンズ性能の変化

みなさんは所有しているレンズの性能を調べたことはあるでしょうか?
ePHOTOzineやDxOMark、LensTipなど海外のサイトになることが多いんですが、様々なレンズやカメラの性能、レビューを見ることができます。

次のグラフは私が愛用しているレンズの一つ「FUJIFILM XF35mmF1.4 R」のePHOTOzineでの解像力テストです。

青が中央、赤が周辺、緑が隅の解像力。
グラフが高いほど解像力が高いということになります。

このレンズはF4〜F8が特にシャープに写るということがわかりますね。
逆にF2以下とF11以上は若干甘くなります。
描写の差はありますが、このレンズに限らずF1.2〜F2.8の単焦点レンズの多くはだいたいこんな結果になることが多いです。

こちらはシャープなことで有名なフルサイズ用レンズ「SIGMA 50mm f/1.4 DG HSM Art」の解像力テスト。
さすが、開放から中央はシャープですね。
絞ることで周辺〜隅の画質も改善され、さっきのレンズと同じくF4〜F8がベストになっています。

F2.8やF4のズームレンズでは焦点距離によっても性能が変わってくるので、一度自分が所有しているレンズのことを調べてみるといいと思います。

・・・

センサーサイズによる被写界深度と、絞りによるレンズ性能の変化。
この二つを簡単にまとめるとこうなります。

バイクを最もシャープに撮りたいなら、単焦点レンズの場合F4〜F8で全体にピントが合うように撮るべし。

他の要素(背景や点光源の表現など)を無視した話ではあるんですけどね。

さて、ここで冒頭の話に戻ります。

・なぜ私はAPS-Cを選んだか

さっきの結論で言えば、35mm判換算50mmのレンズならフルサイズでも問題ないはず。
そのうえダイナミックレンジや高感度耐性など基本的な性能はセンサーサイズが大きい方が有利なのに、それでもAPS-Cを選んだ理由。
それは

小さくて軽かったから。

あと安い(小声)

やめなさい、石を投げるのはやめなさい。
そしてすぐこのページを閉じるのはやめてください。
今までの話は一体なんだったんだというご意見はごもっともですが、これにも深そうで浅い理由があるのです。

持っていける機材が限られている我々バイク乗りにとって、機材の大きさ重さは死活問題。
持っていけるレンズが2本になるか3本になるかで、できることも変わってきます。
ただでさえ私はストロボ関連の機材も必要なので困りました。

それに私が撮りたいものは広いダイナミックレンジも高感度耐性もあまり必要としないですし、プリントすることもないので46MPも画素数がいらないどころか、処理が重いのでお断りです。

性能は必要なぶんだけ。

持っていくものはできるだけ数多く。

それがAPS-Cを選んだ最大の理由です。
フルサイズの頃はレンズ4本で限界でしたが、APS-Cの今はいつも単焦点レンズ6本がパニアに入っています。
なんならあと2本くらいなんとかなります。

そして先述の「F4〜F8で撮る」というのもAPS-Cがぴったりなんですね。
35mm判換算50mmまででなく135mmでもF8でバイク全体にピントが合うって素敵です。

自分が撮りたいバイクを自分が使いたい焦点距離のレンズで最も綺麗に撮れる、最も扱いやすいカメラ。
それが私にとってAPS-Cサイズ26MP X-Trans CMOS 4 センサーを搭載するFUJIFILM X-T3だったんです。

・・・

これはあくまで現時点での私の考えです。
そのうち変わることもあるかもしれません。
フルサイズを使っている人を否定するつもりもありませんし、もちろんm4/3や1型センサーもいいと思います。

ただ、特に理由のないフルサイズ信仰やAPS-Cだから、m4/3だから劣っているという考え方は間違っていると思います。

自分に合った機材を選びたいですね。

ま、いちばんは使っていて楽しいかどうかですけど!

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