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最果てのアートを訪ねて

週末、突然余裕ができたので、急遽、前々から知人に聞いて気になっていた奥能登国際芸術祭に行くことに。

電車と新幹線とバスを乗り継ぐこと8時間(=新幹線丸3時間+特急バス丸3時間+東京駅までの移動と乗り継ぎ)。漸く能登半島の先端、珠洲市へ。いや遠かった…今度行く時はせめて飛行機にしようと真面目に思う。

でも本当にアートが好きなら、これは行く価値あり。現地で丸2日間、完全に日常を離れて、46種類の個性豊かな作品たちをただひたすら追いかける時間。夜は疲れすぎて、持ってきたPCも全く開いていないが、まぁたまにはこれで良しとしよう。笑

田舎の夜は本当に早くて、18時を過ぎると周囲は嘘のように真っ暗で外には人気もほとんどない。早く夕飯を済ませて帰ろうと思い、もらった地元のパンフレットを参考に、近所のお店に端から電話をかけるも、営業時間外やら満席やらでなかなか店が見つからない。たまたま他のお客さんがあるから開けるよと入れてくれた1軒で、飲み始めたら何故か一瞬留守番を任されるという突っ込みどころ満載な体験もまた最果てならでは、かもしれない。宿の前では星が降るような夜空を久しぶりに見られたのもまた嬉しい(あまりの暗さに怖くてすぐに部屋に戻ったけれど)。

一方の昼は天候に恵まれ、真っ青な空と美しい模様を描く白い雲、くっきりと水平線を描く真っ青な海と打ち寄せる白い波のコントラストが美しい。

この場所を一言で言うなら、時が止まったような土地、だと思う。残念ではあるが人口減少を続けて来た過疎の町。何故か道中、私の頭の中で「いい日旅立ち」が流れ始めて無限ループを続けているのだが、とにかく、地理的にも時間的にも、東京の日々の生活と断絶した空間なのだ。故に、作品も、かつての家屋や校舎、保育園、工場、倉庫、そして廃線跡を生かしたものが大半である。この環境にあえて現代アートを持ってくる、という組み合わせがこの芸術祭の醍醐味だと思う。

ちなみに、夕食でお世話になった居酒屋さんでは、目の前に懐かしのカセットテープが山のように積まれ、マスターが古いオーディオを操作していたのだが、やって来た常連さんがそれを制止し持参したタブレットでYouTubeから音楽を流し始めたのが何とも面白かった(そして流した曲は最近のお気に入りというテレサ・テンの台湾語の曲)。ここでは時間も空間も妙な組み合わせが不思議な安定感を保って異世界を見せてくれる。

折角なので作品の一部を写真で紹介したい(※これから行くという方には若干ネタバレになるかもしれないので注意)。無加工なのでインスタグラマーの皆様にはまるで敵わないが、少しでも「面白そう」が伝われば良いなと思う。なお、これでも全体のほんの一部である。

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あと、能登半島の先端に位置するこちら禄剛埼灯台↓。早起きが苦手な筆者はだいぶ日が上ってから行ってしまったが、水平線からの日の出と水平線への日の入りがどちらも見られる貴重なスポットらしい。

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今回の会期は11/5まで。また、次回の開催は今のところ、2023年を予定しているらしい。東京からも大阪エリアからも決して近くはないが、時には日常を離れて時の流れを忘れてみるのも良いのではないだろうか。

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