天之痕のストーリー その7

7.龍舟

大梁の港に泊まっている龍舟に忍び入った3人。見張りの兵士に見つかれば一貫の終わり。慎重に移動し、ついに大きな鼎が置かれている部屋を見つける。

張烈も神農鼎の実物を見たことはないが、陳靖仇と張烈は神器なのに新しく見えると感じていた。小雪が思わず鼎に軽く触れると、なんと鼎の取っ手が壊れてしまう。驚き慌てる小雪。張烈も触れてみると今度は鼎の足も壊れてしまう。
壊れる時の音に気付いた宦官が中に入ってくる。話を聞くと、実は神農鼎を運んでくる途中で山賊に奪われてしまっていた。その山賊の頭は巨体で巨大な斧を二つ操っていた。皇帝の怒りを恐れた宦官たちは、青銅をかき集め、この偽物の鼎を作ったのだった。

情報を得た張烈は以前と同じように宦官を殺そうとしたが、陳靖仇に止められる。その優しさがどんな結果をもたらすかしっかり確かめろ、と言い、張烈は宦官を逃した。案の定逃げた宦官は強盗がいる、強盗が鼎を壊した!と騒ぎ立てる。謝る陳靖仇。このまま外に出られなくなったため、3人は別の出口から奥に進む。

さらに柱を登り、龍舟の天井の巨大な梁を進んでいくと、小雪は下に玉児らしい侍女が歩いているのを見つける。下りると危険なので、このまま梁の上でその侍女を追うことにした。しばらくすると下が騒がしくなっていることに気付き、見てみると、そこは皇帝のいる場所、龍舟大殿だった。
隋煬帝は皇后や大臣たちと共にまさに酒池肉林というべき宴をしていた。張烈はそんな光景を見て、絶対良い世の中にしたいと改めて心に誓った。

そんな時例の侍女は龍舟大殿に入ってきた。新しいお酒を持ってきたと言って皇帝に近付く。すぐさま偽装を解き、刀を取り出した彼女は玉児本人だった。兵士たちを次々と薙ぎ倒し、命乞いする皇帝に刀を向ける。
しかし皇帝の前の何もない空間にいきなりある男が現れ、皇帝を守った。彼は宇文太師と名乗った。玉児は宇文太師に勝てず、殺されそうになった時、霧が現れる。それは鬼谷道術によって作り出された霧だった。更に火事も起きていた。

玉児を救うため、陳靖仇は霧を作り出し隙を作って小雪と共に玉児を助け、一方で張烈は龍舟のあちこちに火をつけ兵士を混乱させたのだ。完全に逃げるためにはもはや川に飛び込むしか手段はなかった。しかし玉児は泳げないので、絶対に飛び込まないのだと言う。先に小雪を逃すと、追い付いた兵士の弓矢に陳靖仇は刺されてしまう。その光景を見た玉児は仕方なく川に飛び込み、陳靖仇もギリギリ兵士から逃げられた。

その頃龍舟大殿では、皇帝は宇文太師に刺客を探すことを命じていた。そこに皇帝の姪が登場する。彼女は寧珂郡主と呼ばれていた。彼女も宇文太師と共に刺客を探したいと言う。最初は反対していた皇帝も寧珂郡主の泣き顔に勝てず、それを認めた。宇文太師はその命令に逆らえなかった。どうやら宇文太師が神農鼎を隠し持っていたことが皇帝にバレたのは寧珂郡主が皇帝に教えたかららしい。

陳靖仇たち4人は対岸の小屋に身を隠していた。陳靖仇の怪我も小雪に治療された。玉児もようやく目を覚ました。陳靖仇と小雪の目標は単純明快、神農鼎を奪った山賊を探すこと。師伯を治せたらすぐに神農鼎を返すと約束した。
張烈は玉児を連れて拓跋部族に戻ろうとしたが、玉児は拓跋部族じゃない人が神農鼎を探すのが許せず、自分もついていく、この2人を監視すると言った。張烈は拓跋部族を離れてかなり経つのでもう戻らなくてはいけない。議論の末張烈は玉児が陳靖仇と小雪と共に行動するを許した、お互い良い刺激になり、陳靖仇も玉児も成長してくれると願って。

玉児はへそを曲げていたが、それでもありがとうは言ってくれた。こうして陳靖仇、小雪、玉児の3人は神農鼎を探す旅に出る。

拓跋玉児(たくばつ ぎょくじ)
17歳、女。潰された拓跋部族の第二姫。わがままだが、正義感が強く飾り気のない性格。陳靖仇からは玉児お姉さん、小雪からは拓跋お姉さんと呼ばれる。

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