天之痕のストーリー その1

天之痕とは空の傷の意味。私が小さい時に遊んだゲームのタイトルですが、ストーリーがすごく印象深かったので書き出してみる。

1.旅の始まり

中国古代。陳国が隋国に滅ぼされ、南北朝時代が終わりを迎え、隋によって中華統一へ。数年後、陳国の生き残りが祖国復興のため反乱を起こす。隋の太師、楊素が隋文帝の命を受け討伐に向かう。
反乱軍が数万人なのに対し、なんと楊素が率いたのはたったの20人。その先頭に立つのは、左が藍色で右が褐色という違う色の瞳を持つ齢10歳の少年だった。少年が携えた神秘な黄金剣を一度振るっただけで、数万人の兵士が瞬く間に敗北した。

16年後。既に陳国が滅びて20数年経つ。陳国の旧臣、陳輔は、弟子の陳靖仇を連れて伏魔山へやってきた。
実は陳靖仇は陳国皇族の嫡子で、言わば亡国の王子。彼の親、陳の国王夫妻は16年前の戦いで犠牲になった。

陳靖仇(ちん せいきゅう)
16歳、男。滅びた陳国の王子、師匠で育ての親でもある陳輔を尊敬しているが、陳国復興にあまり興味はない。詩や歌を作るのが好き。
陳輔(ちん ほ)
60歳、男。滅びた陳国の旧臣、唯一の願いは陳国の復興。師匠として、だらしない時の陳靖仇を厳しく叱ったりもする。

そんな時、いきなり空の色が変わり、空に妖しく光る赤い星が現れる。驚く陳靖仇に対し師匠は、これはきっと隋朝滅亡、陳国再起の予兆なのだと言った。
陳靖仇はある洞窟を見つけ、その奥に不思議な鏡を見つける。師匠によると、上古十大神器と呼ばれる神々の神器が中国本土に存在し、それらは鐘、剣、斧、壺、塔、琴、鼎、印、鏡、石の10個。そのうちの琴、鼎、印、鏡、石の5個さえ集めれば天下を得る、そう言い伝えられているという。その不思議な鏡こそが上古十大神器の一つ、崑崙鏡。陳国復興のため、まず手掛かりがあった崑崙鏡を入手するために二人は伏魔山へ来たのだった。

上古十大神器
東皇鐘(とうこうしょう)、軒轅剣(けんえんけん)、盤古斧(ばんこふ)、煉妖壺(れんようこ)、昊天塔(こうてんとう)、伏羲琴(ふっききん)、神農鼎(しんのうてい)、崆峒印(こうどういん)、崑崙鏡(こんろんきょう)、女媧石(じょかせき)。それぞれ人知を超えた力を持つ。
ちなみに陳靖仇は既に煉妖壺を持っている、なぜならそれは陳国の国宝だったから。壺の中に別世界が広がっていて、どんなモノも、一部の敵ですら中に収められてしまう。それを利用し、道具や敵を錬成して全く異なる別のモノに変化させることが可能。

陳靖仇は16年前の両親の死について師匠に詳しく聞く。師匠は少し考え、口を開く。
16年前の、左右違う瞳を持つ少年は楊素の弟子で、名は楊拓と言う。当時の戦いは隋にとって、楊拓による黄金剣の試し斬りにすぎなかった。陳国王夫妻はなんとか逃げたものの、隋兵に追いつかれ殺された。陳の血筋、陳靖仇を守るため、陳輔は当時生まれたばかりの唯一の孫を身代わりにするしかなかった。楊素は既に死んだが、陳国復興のためにはその弟子楊拓と戦うこともあるだろう。こうして師匠は陳靖仇を育て、鬼谷道術を教えてきた。
16年前の真実を初めて知った陳靖仇は、師匠に対する申し訳なさがいっぱいで、これからは真面目に鬼谷道術を学ぼう、と心に誓うのだった。

師匠は崑崙鏡に仕掛けられた術を解き、陳靖仇はそれを手に取ろうとした、その瞬間、上古魔獣・饕餮(とうてつ)が現れる。陳靖仇は饕餮の恐ろしさを分かっておらず、師匠と共に攻撃しようとするが、師匠は自分の力では饕餮を倒せないこと、世のためにも饕餮を外に出してはいけないことを分かっていた。幸い饕餮は今はまだ完全に動けないため、師匠は陳靖仇を洞窟の外に追い出し、その後氷の術を発動し、自身と饕餮を洞窟の中に閉じ込めた。

陳靖仇は氷の中で僅かに意識があった師匠に話しかける。師匠が言うにこの氷の術は師匠の魂によって支えられていて、あと1年足らずで師匠は亡くなってしまう。そうすれば氷の術は解け、饕餮は再び災害と為す。雷夏澤に向かい、そこに住む師匠の兄弟子である公山師伯に助けを求めて欲しい。もし自分を助けられなかったら、一人で鬼谷道術に励み、残りの琴、鼎、印、石を集め、なんとしても陳国復興をしなくてはならない、と。
こうして、伏魔山より陳靖仇の旅が始まった。

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