天之痕のストーリー その17

17.師匠の救出

盤古斧を入手し然翁の家に帰った3人。翌日、仙人たちと共に伏魔山に向かう。その方法はもちろん然翁老仙人による御剣術。

大きくなった剣の上で、玉児は陳靖仇以上に興奮してはしゃいだが、小雪は怖くて泣きそうになっていた。
しばらくして仙界と人間界の境界に着く。本来は通り抜けることはできないが、ここで盤古斧の出番。切り開く力を持つそれを使って、空間の壁を通過。そうしてついに伏魔山に到達。

洞窟の中の師匠はまだ息があって、一安心。安全のため、然翁老仙人は小雪と玉児を連れて後ろに下がった。古月仙人は師匠と饕餮を封じた氷の術を解除、陳靖仇は意識を失った師匠をおんぶして、急いでその場を去った。
自由を得てしまう饕餮、待ち受けるのは盤古斧を持つ古月仙人。いるべき所に行きなさい、古月仙人は盤古斧で空間の壁を開き、饕餮をどこかへ転送した。

その後、古月仙人の治療を受け、師匠はまだ体が弱っていながらも目を覚ます。陳靖仇は公山師伯が亡くなった事や仙人たちが協力してくれた事を簡潔に話す。師匠は仙人たちに礼を述べると、崑崙鏡を取って来なさい、必ず陳国の復興を、そう話してまた意識を失った。陳靖仇は師匠の言う通りにし、崑崙鏡を入手。
全てを終え、然翁老仙人の御剣術で仙界に戻った。師匠をしばらく休ませることに。

ここで古月仙人は小雪に、自分の素質を知っているか、実はあなたは特別な人だ、と話す。小雪はその力を救世に使えば世の中に大いなる貢献ができるという。古月仙人は小雪の許可を得て、彼女の素質を引き出し、その力が覚醒するようにした。
古月仙人は饕餮との戦いで力を消耗してしまったため、10日間は休養すると言って、その場を去った。

陳靖仇たち3人は然翁老仙人のところに向かった。少し話すと然翁老仙人は今まで疑問に思っていたこと、すなわちなぜ玉児は自分の顔を切ったのかと尋ねる。事の顛末を知った然翁老仙人は笑った。然翁老仙人こそが700年前に氐人族をほぼ不老不死にした雲遊剣侠その人だったのだ。
崆峒印さえあればもう一度術を施し、氐人族を元通りにできると言う。師匠が休んでいる間、陳靖仇たちはこの朗報を伝えようと氐人族の元に向かう。

女王は陳靖仇たちが目的を達成した事、そして玉児の顔が元通りになった事を知り、安堵した。朗報を伝えると、女王はもう遅いと話す。なんと崆峒印は奪われたのだ。
女王によると、奪ったのは宇文太師だ。黒龍王亡き後、龍宮と崆峒印の管理はその子孫に託されたが、数日前、宇文太師は黄金剣を振るってなんと海を開き、そのまま龍宮へやってきた。黒龍王の子孫は宇文太師の実力に敵わず、そのまま崆峒印を奪われてしまったそうだ。

3人は急いで戻り、然翁老仙人に崆峒印が奪われた事を話す。崆峒印がなければ然翁老仙人にはどうすることもできない。
するとそこで3人は宇文太師の目的、九五の陣を発動して天下を得ることを思い出す。しかし然翁老仙人は九五の陣なんて聞いたことはなく、偽情報に違いないと言う。
然翁老仙人曰く、5つの神器を集めると発動できるのは失却の陣というもので、天下を得るとはなんら関係ない。発動者の一番気掛かりな事にまつわる記憶が全て消えてしまうため、この名称となったそう。実際大昔に野心を抱き陣を発動させた者はいるが、終わった後なんで発動させたかも綺麗さっぱり忘れてしまっていた。だから宇文太師が本当に天下を得たいなら集めさせれば良い、世界から野心家が一人減るだけ。

然翁老仙人の言葉を本当に信じていいのか陳靖仇は困惑した。玉児はある提案をする。神農鼎と崑崙鏡を自分たちが持っているので、宇文太師はきっと狙ってくる。2つの神器を仙人たちに預けよう、いくら宇文太師でも仙界には手を出せないだろう、と。本当は神農鼎を拓跋部族に持ち帰りたいが、それで奪われてしまったら本末転倒、もう誰にも迷惑をかけたくない、と玉児は考えていた。

いざ2つの神器を預けようとすると、奥の部屋で休んでいた師匠が、預けてはいけない!と止めてきた。玉児が訳を説明しようとすると、そもそもどうして陳靖仇は胡人=中国北方の少数民族の蔑称、と一緒にいるのかと怒り始める。

師匠は考え方が古い人で、古代の聖人や賢者の言うことを全て信じ切っている。神器は中国本土のもの、誰にも触れさせてはいけないと話す師匠に対し、玉児は、神農鼎は私たち拓跋部族が数百年間守ってきたもの、いつ中国本土のものになったのかと反論。
然翁老仙人は仲裁する、中国本土のものだったとしてもずっとそうだとは限らない、実際拓跋部族が神農鼎を所持していたのは事実、聖人賢者だって人間だし、千年前の言葉にしがみ付く必要はない、と話す。しかし師匠はその至極真っ当な意見を全く聞き入れようとしない。然翁老仙人は喧嘩が苦手なのでその場を立ち去った。

師匠はなおも止まらず、玉児のことを仲間だと話す陳靖仇に対し、玉児と絶交するようせがむ。その言葉に玉児は激昂する。同じ人間なのにどうして血筋が違うだけでこんなことを言われないといけないのか、あなたが不幸にも中国本土以外の場所で生まれ育ったら一生卑しい存在として生きていくのか!
この礼儀知らずが!今度は小雪が仲裁するが、怒りの頂点となった師匠はそのまま外に飛び出した。玉児はどうしてこんなことになったのかと自分を責めるが、陳靖仇は何があっても仲間だと話す。師匠の体がまだ安静しないといけないこともあり、3人で師匠の後を追った。

頑固な師匠の怒りを鎮めるため、師匠の要望、玉児が神農鼎に触れないこと、一刻も早く5つの神器を集めること、を受け入れた。
然翁老仙人、古月仙人に別れを告げる一行。師匠は今は戦う力は一切合切残っていないことを知る。それも全て当初陳靖仇を守るためなので、仙人たちは師匠に逆らわずに譲歩しようと話す。

更に仙人たちから盤古斧を貰う、これがあれば人間界と仙界を行き来することが可能に。一行は久しぶりに人間界に戻る。

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