天之痕のストーリー その11

11.寧珂郡主

大梁は対岸にあるので川を渡りたいのだが、桟橋に行ってみると、以前はなかったのに今は船が泊まっていた。3人はこの船を不審に感じ、15日の期限ももうすぐなので、とりあえず船に突入することにした。

船の中で隋軍隊長と遭遇し、戦闘へ。なんと隋軍隊長は魚の魔物に姿を変えた。しかも無敵な分身を作り出し、陳靖仇たちを苦しませた。しかし手口が分かればこっちのもの、魚の魔物を限界まで追い詰めた。
そこに雷の法術が現れ、魚の魔物に直撃する。郡主様、どうして……そう言葉を残し魚の魔物が消滅した。法術を発動したのは寧珂郡主だった。陳靖仇たちは初めて会うのだが、龍舟にもいた皇帝の姪である。

寧珂郡主は、独孤寧珂と名乗り、自分の身分を明かした。隋の人間だと知った玉児は彼女を殺そうとするが、陳靖仇と小雪に止められ、とりあえず話を聞いてみることにした。
寧珂郡主が言うに、先程の魔物は宇文太師の部下で、自分は監視されていたとのこと。そもそも皇帝を殺そうとした刺客を探すため宇文太師について行ったのだが、そこで初めて百姓の苦しい生活を目の当たりにした。宇文太師は皇帝に媚び売るため鎮圧を行うので、意見が合わず衝突してしまった。その結果宇文太師に監禁され、都に帰らされる途中だったが、幸い陳靖仇一行と出会えたという。扱っていた法術は以前宮廷法術師に軽く習っていたもので、威力はかなり低いそう。

寧珂郡主の説明を聞き、玉児はひとまず信じることにした。陳靖仇は寧珂郡主に神農鼎のことを聞いてみたら、なんとこの船にあるのだという。宇文太師は奪った神農鼎をこの船に隠し、寧珂郡主と共に都に送り、自分の屋敷に隠す予定らしい。

神農鼎は元々拓跋部族のものなら返すよ、下にあるから一緒に来て、そう寧珂郡主は話す。玉児は再び彼女を疑い、これは自分たちを一網打尽にする罠かもしれないと考える。
最低限の警戒心が必要だと言う玉児に、寧珂郡主は自ら人質になることを提案する。玉児はそれを承諾し、刀を寧珂郡主の首に構えた状態で向かうことになった。陳靖仇と小雪は寧珂郡主に謝罪したが、寧珂郡主は全く気にしていなかった。

4人は神農鼎が置かれた部屋に到着。玉児が確認したところ、まごう事なきそれは本物の神農鼎だった。本当に返して貰えることを知り、玉児は寧珂郡主に無礼を謝罪した。
しかしこんな大きいものをどうやって持ち帰るのかと寧珂郡主は尋ねると、陳靖仇は煉妖壺を取り出し、神農鼎を中に収めてみせた。寧珂郡主は煉妖壺を宇文太師に奪われないようにと忠言した。

船の外に出ると、現れたのは寧珂郡主の2人の侍女、単小小と尉遅嫣紅だ。寧珂郡主は陳靖仇一行にこの船をくれることを決め、代わりに別の船を用意するよう2人に命じた。その後寧珂郡主は小雪の雪のように綺麗な白髪を見て、彼女に鈴のかんざしをプレゼントした。

陳靖仇は寧珂郡主に六芒星が書かれた地図について何か知らないかと聞いてみるが、彼女も何も分からないようだ。代わりに宇文太師は洛陽で通天塔なるものを建てるよう皇帝を唆していて、更には琴、鼎、印、鏡、石、5つの神器を探していることを知る。
陳靖仇の師匠陳輔が言っていたことは厳密的には、5つの神器を集めれば九五の陣なるものを発動できて天下を得るのだが、どうやら宇文太師の目的はそれのようだ。宇文太師の目的を知った陳靖仇一行と寧珂郡主はその野心を止めるために一致団結した。そして3人は去っていく寧珂郡主を見送った。

独孤寧珂(どっこ ねいか)
18歳、女。隋煬帝の姪、多くの人に寧珂郡主と呼ばれる。神器の入手、打倒宇文太師を協力してくれる。2人の侍女、単小小(ぜん しょうしょう)と尉遅嫣紅(うっち えんこう)がいる。

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