天之痕のストーリー その20

20.大興

陳靖仇一行は江都から長い距離を経て、首都である大興に辿り着く。さすが都だけあって広い面積を誇り、市場なども賑わいを見せていた。
寧珂郡主の邸宅=独孤郡王府に着いた4人は、寧珂郡主からおもてなしを受ける。伏羲琴の手掛かりは手下に調べさせているからうちでゆっくりしていてと、部屋を用意してくれた。長旅で疲れた師匠を一刻も早く休ませたかったというのもあり、独孤郡王府でお世話になることに。

翌日、師匠を独孤郡王府に残し、陳靖仇、小雪、玉児の3人は神器の情報を集めるために出かけた。
宇文太師府の前を通りかかった時、怒り狂っている1人の男が目に入った。男は、宇文太師め出てこい殺してやる!と叫び続けたが、当の宇文太師は今ここにはいない。
陳靖仇たちは男から話を聞く。男は商売人で、数日前商売を終え実家の涪陵に戻ると、なんと涪陵は彼の家族もろとも滅びてしまっていたのだ。悲しむ男は情報を集めると、町が滅びた当日韓騰という人が率いる部隊が近くの山に駐屯し、怪しげな魔法陣を作っていたこと、そしてそのせいで涪陵が血の赤に染められていたことを知る。男は兵士を賄賂して手に入れた地図と手紙を陳靖仇にくれた。

手紙は韓騰に宛てたもので、こう書かれていた。
妖星赤貫の刻限が迫っている、必ず六つの万霊血珠を入手せねばならない。二回目と四回目の万霊血珠の陣はいずれも正体不明の敵に妨げられ、四回目に至っては斛率将軍は入手時期を逃す事態となった。万霊血珠は我々の存続に関わるため、韓老将軍は涪陵に向かい必ず五つ目の万霊血珠を入手せよ。涪陵の人口を調べよ、もし六万人を満たしていなければ付近の悪名高い部隊で補うように。四つめの万霊血珠は、我自ら長沙に赴く、心配されるな。
手紙の最後には、隋太師宇文、と書かれていた。

一方地図は以前泰山での戦いで入手したものと全く同じで、六芒星、そして6つの角にはそれぞれ6つの場所、雁門、東莱、会稽、長沙、涪陵、霊武、が書かれていた。宇文太師は大地に六芒星を作ろうとしていることが予想できた。
既に4つの場所が滅ぼされたので、残るは一度阻止した長沙と霊武の2つだけ。3人は伏羲琴のことより、長沙に向かい宇文太師を阻止することを決めた。

独孤郡王府に戻り、寧珂郡主にも伝えようとしたところ、彼女は狩りに誘われたので今はいなかった。
師匠に伝えると、案の定許してくれなかった。しかし人の命が関わることなので、
陳靖仇は師匠に逆らい長沙に向かおうとする。するとなんと師匠は一緒に来ると言う。陳国の人間として隋の人間から長い間施しは受けられないからと。
こうして陳靖仇たち4人は長沙に向かった。

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