天之痕のストーリー その16

16.海中建木

古月仙人は陳靖仇の師匠を救うことを決めたが、それはすなわち饕餮と対峙するということ。そのためには神器である盤古斧が必要。
仙山島の西の海に、海中建木という空まで聳え立つ大樹がある。その一番高い場所に盤古神が眠っている。その盤古神が天地開闢に使ったのが盤古斧である。古月仙人曰く自分の名を出せば意地悪されずに借りられるだろうとのこと。

向かうには海を渡る必要がある。古月仙人は昔乗っていた鯨と、その鯨を呼ぶための笛をくれた。早速鯨を呼び、その背中に乗って海へ出た。

仙界の海の見渡す限りの絶景に、3人は見惚れていた。玉児は琵琶を弾きながら、今までのことを思い返していた。自分がどん底に落ちてしまっても陳靖仇と小雪はずっとそばにいてくれて、もうどんなに恩返しをしても足りないほど。
陳靖仇は仲間だから当たり前、例えば立場が逆で、命の危機に遭ったのは自分だとしてもきっと玉児は助けてくれたはず、と話す。そして小雪は、玉児の役に立てたことがとても幸せ。賀おじさんと小朔はもういない、小雪にとって既に陳靖仇と玉児は家族同然だった。
これからも3人でずっと一緒にいられますように、それを願って、玉児は琵琶を、陳靖仇は笛を奏でた。小雪は楽器ができないので、風に乱された白い髪を手櫛でとくことで、共に願った。

『一生忘れることはないだろう。青い海の上で琵琶を奏でる玉児お姉さん。夕焼けの下で白髪をとく小雪。それは自分の人生の中で、最も美しい情景だった……』

海中建木に辿り着くや否や、小雪が頭が痛いと言って、倒れ込んでしまった。小雪が回復するまで待つことに。玉児は自分を看病してくれたせいで疲れが溜まってたんだと自分を責めた。小雪は違うと話す。初めて陳靖仇と出会った時も、その後魔王砦と黒龍王の龍宮に着いた時も、今回ほどの痛みではなかったが実は頭痛していたそう。

休んだ後、3人は登っていく。最頂部に着くと、海中建木と同化していた巨人である盤古神の顔が見えた。寝ていたので、大きな声で呼んで起こした。古月仙人の指示で盤古斧を借りに来たことを伝えると、盤古神はまたかよとイライラしていた。せっかく寝てたのに起こされたから貸したくない、こうしよう、数百年ずっと寝てて体が凝っている、分身を出すから、それと戦って体を楽にしてくれたら貸す、と理不尽なことを言い出した。仕方なくバトルへ。

戦いによって体の凝りがなくなった盤古神は満足して、盤古斧を出した。これでまた数百年寝れる、返す時は下の樹洞に入れて、寝るのを起こさないで、そう言って再び眠りについた。小雪と玉児は盤古神のことを可愛い性格だと感じた。
何はともあれ、無事盤古斧を入手。

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