天之痕のストーリー その15

15.西母峰

陳靖仇は古月仙人に感謝の意を表すと、感謝するなら白髪の女の子にと言われた。然翁老仙人が昨晩の事を語ると、陳靖仇は小雪に、ありがとう、辛い思いをさせてごめんね、と話した。

さて、玉児の傷を完全に治す方法について。教えてくれる前に、古月仙人と然翁老仙人は、本当に2人に取らせていいと思う?2人とも良い子だから、大丈夫だ。そんな意味深長なことを話していた。

2つの特別なものが必要だが、まず1つ目は仙山島の西に位置する西母峰の頂上に実る果実・血露蟠桃。血露蟠桃は数千年前に西王母が御自ら植えたもので、百年でたった1つのみ実る。時期を考えるとちょうど1つ実っているはず。それを神農鼎で薬にすれば玉児は再び光明と美貌を手に入れられる。すなわち、2つ目は神農鼎ということ。
神農鼎なら持っている。あとは血露蟠桃さえ入手できれば良い。

出発の前に、西母峰は常に雲や霧に覆われているとのことで、晴らすための火雲珠を古月仙人から貰い、一方で然翁老仙人からは、入手するには試練があるかもしれない、無事に突破できるようにと、2人の額に護身用の印を描いてくれた。
最後に古月仙人は話す。血露蟠桃は今完全に熟しているわけじゃない、その霊気を保つためには必ず、白髪の女の子取らなければいけないと。

2人は出発した。西母峰の麓で雲や霧を晴らし、頂上を目指す。そしてあまり時間もかからず、血露蟠桃が実っている大樹に辿り着いた。

いざ小雪が血露蟠桃を取ろうとすると、声が響き渡る。西王母様の蟠桃を盗むな!盗んだらその腕を切るぞ!陳靖仇は仲間を救うため、古月仙人に言われて来たことを話す。するとその声の主は何も言わなくなった。陳靖仇は相手が黙認したと思い、小雪に血露蟠桃を取らせた。
すると、首無しで胸と腹が顔のようになっている化け物が現れる、それは蟠桃の守護者・刑天と名乗った。いつ取っていいと言った!と怒る刑天。陳靖仇は取ってから止めるのはおかしいと納得できず、バトルへ。

最初は互角に戦えていたが、突如刑天が強くなって、攻撃を防ぎ切れず負ける2人。
蟠桃を取ったのは誰だ!腕を切るぞ!陳靖仇は小雪を守るために取ったのは自分だと嘘を吐く。小雪は怖がりながらも素直に認める。2人とも腕を切るなら自分のをと話す。痺れが切れた刑天は、なら平等に2人で片腕ずつ、これ以上言わせるなら2人とも両腕を切るぞ!と脅迫する。
陳靖仇は、泣きながら震える小雪に謝った、そして切るなら自分からと腕を差し出す。

するとその瞬間、刑天は消え、代わりに然翁老仙人が目の前に立った。然翁老仙人によると、刑天は実は護身用の印が作り出した幻影だと言う。西王母は仙人たちに血露蟠桃を守るよう求めたが、必要な時は困った人にあげてもいいと仰せ。ただし条件としては幻影の試練を達成すること。もし他人に罪を擦りつけるような人なら本当に腕を切られた。
古月仙人は2人に危険を冒して欲しくなかったが、然翁老仙人は2人とも良い子なので試練を突破できるはずと信じてくれていた。こうして無事に血露蟠桃を入手。

然翁の家に戻る。玉児は陳靖仇と小雪がまた自分のために出かけたことを知り、何が何でもと、2人が帰るまで入り口で待ってくれていた。
部屋に入る。玉児は何が起こるか分からず困惑していた。陳靖仇は血露蟠桃を神農鼎に入れ、そうして出来上がったものを玉児に食べさせた。仕上げに古月仙人が術を施し、神農鼎と血露蟠桃の霊力を玉児の体に浸透させる。

顔の包帯は取っていいよと言われても、玉児は信じられず躊躇っていた。代わりに陳靖仇と小雪は取ってあげた。皆からの贈り物だよ、絶対受け取って!然翁老仙人は鏡を玉児の前に差し出す。恐る恐る目を開ける玉児。自分の顔も、目も、全て元通りになったと分かった。嬉し涙が止まらなかった。陳靖仇と小雪にも仙人たちにも、礼を言った。

まだしばらく体を休めた方がいいと古月仙人は言う。3日後、玉児の様子を見に行くと、もう完全に体を動かせるまでに回復した。然翁老仙人は玉児のことを泣き虫ちゃんと呼んでいた。
そして然翁老仙人によると、古月仙人は陳靖仇の師匠を救うことも決めたと言う。やはり古月仙人は助けるなら最後までの親切な人だ。3人は古月仙人の居場所に向かった。

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