天之痕のストーリー その3

3.雷夏澤

陳靖仇は小雪を連れて雷夏澤に着く。ここは緑の豊かさに癒される綺麗な湿地で、そのほとりに公山師伯一家、公山師伯に公山夫人、二人の幼い孫娘、の3人で暮らしている。

陳靖仇は公山師伯に事情を話す。公山師伯が言うに、饕餮は例の鏡によって封印されていたはずなので、再び封印できれば師匠を助けられるが、その際術の発動者は大量の力が消費される。数年前の師伯であれば問題はないが、2年前にとある人の攻撃を食らってからはほぼ寝たきりの生活なので、助けたいのは山々だが今の自分にはできそうにない、とのことだった。ずっと咳が止まらない公山師伯は見るからに辛そうだ。

公山夫人があの方法を試させてみたらと言うと、公山師伯は弟弟子が孫を犠牲にしてまで助けた陳国王子にそんな危険なことをさせられないと言う。公山夫人は夫を救いたい一心で2年前の真実などを話してくれる。

2年前、公山師伯は悪政に虐げられる百姓に同情し共に立ち上がる。しかし、現世最強な鬼谷道術の使い手である公山師伯がなんと隋に負けてしまう。公山師伯を倒したのは、朝廷の重臣、宇文太師だった。宇文太師は黄金剣を振るい、その撃ち出された剣気を食らった公山師伯は命からがらで逃げ帰り、それからずっと病床に伏している。
その黄金剣は上古十大神器らしい。神器に対抗できるのは神器のみ。もし神農鼎によって作られた薬があればきっと公山師伯の体が元通りだと言う。しかし噂によれば神農鼎は今は宇文太師の手元にあるらしく、それこそが公山師伯が危険だと言っていた理由である。

師匠のためにも、民のためにと立ち上がった師伯のためにも、陳靖仇は神農鼎を見つけることを決意。公山夫人によれば、元々神農鼎は北方の鮮卑=遊牧民族、その中の拓跋部族が所持していたので、まずそこに訪れ、ほんとに奪われたかどうかを確かめるのが良さそうだと言う。
もし宇文太師と出くわしたら絶対無理しないでという忠告と共に、公山夫人から拓跋部族地図と師伯を治す薬の作り方を渡される。陳靖仇は雷夏澤を離れ、神農鼎を探す旅へ。

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