天之痕のストーリー その18

18.江都

陳靖仇たちは人間界に戻り、その近くの川に隣接する大きな町、江都に向かう。
その途中、以前魔王砦で出会った盗賊・丁格と再会。彼は妖怪2匹に囲まれていた。陳靖仇たちは助けを求められたが、無視しその場を去った。

江都に入ると、宿屋の入り口で噂話をしている人がいた。なんと会稽という町は滅ぼされて、住民は皆殺しにされたと言う。会稽は最近強盗に悩まされていて、退治するよう朝廷に依頼。宇文太師の部隊が向かったのだが、結局会稽を守ることが出来なかった。部隊曰くその強盗団にやられたのだと言うが、多くの人は納得できずにいた。

師匠は歩き疲れたので、宿屋で休ませる。神器の調査に出掛けようとすると、玉児は以前東莱と泰山での出来事を思い出す。先程耳に入った会稽のことはまた宇文太師の仕業に違いない。斎二郎家族のような悲劇を止めなくてはと、3人は会稽の事件について調べようと考えるが、もちろん師匠はそれを許さない。人命に関わることだからと言っても、師匠にとっては何よりも陳国の復興が一番大事なことなのだ。
玉児はもう自分は陳靖仇と小雪から離れ、故郷に戻るべきではないかと話すが、その場合神農鼎を持って帰らない訳にはいかない。しかしそれだと師匠は間違いなく怒りが収まらないので、玉児は今や、師匠が自分を受け入れてくれるまで陳靖仇たちと共に行動し続けるほかなかった。

ひとまず、師匠の怒りが落ち着くまでは神器の情報を集めつつ江都を観光して気分転換することに。
橋を渡っていると、近くの男性が突如悲鳴を上げ、殺さないでと懇願してきた。状況を掴めない陳靖仇は尋ねてみると、その男性は人間の姿をしているが実は400年生きた白鹿の妖怪だと話す。妖怪と言っても、何かの命を奪ったことは一度もないと。
今江都には天竺僧侶が招かれていて、善悪を問わず妖怪退治を行い妖怪に恐れられている。天竺僧侶が持つ神鏡に照らされた妖怪は本来の姿に戻らされるため、男性は陳靖仇が持つ崑崙鏡を見て天竺僧侶の手下ではないかと勘違いしてしまったのだ。最近天竺僧侶は山奥に向かったので、あえて街中で占い師として行動し難を逃れていたと言う。
誤解が解けると、男性は陸仲愷と名乗った。小雪は占いができるならばと、まだ入手していない神器、伏羲琴、崆峒印、女媧石の行方を調べるよう依頼してみた。陸仲愷はタダで調べてくれた。

占い結果が出た。伏羲琴は敦煌石窟にあり、強力な仏の力に守られている。崆峒印は宇文太師が有しているが、長沙に行けば誰かの助けを得られる。女媧石は陳靖仇一行の近くにあるような気もするが、具体的な場所が分からない。
陳靖仇は現時点では崆峒印のために長沙に行くのが一番良いと判断した。陸仲愷は長沙に行くのなら、大禹水路という秘密通路があり、長沙付近まで繋がっていると言う。ただ今はその入り口は藤蔓に覆われていて、江都の西にある杏山に住む陸仲愷の友人、喬岱娘であれば藤蔓をどかすことができるとのこと。陳靖仇たちは陸仲愷に感謝を述べた。

陳靖仇は宿屋に戻り、得た情報、そしてこれから長沙に向かうことを師匠に告げる。しかし師匠はまだ怒りが収まらず、無視してきた。一刻も早く長沙に向かわなくてはと、陳靖仇一行はとりあえず出発した。

まず杏山に向かい、喬岱娘に事情を説明した。喬岱娘は800年生きた杏の木の妖怪だった。藤蔓の妖怪とは友人なのでと、大禹水路の入り口を開けてくれた。感謝を述べると、喬岱娘からも頼み事があった。喬岱娘は人間の老人を父と呼び共に暮らしているが、父は普段から花を育てるのが趣味で、まもなく米寿なのでお祝いとしてとある珍しい花を送りたい。ちょうど長沙でその種が売られているので買ってきて欲しい、とのことだった。陳靖仇一行は快く受け入れ、長沙に向かった。

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