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令和4年第4回大田区議会定例会 一般質問の動画と全文 ① 性別・性差に関する人権の尊重について ② 郷土博物館と区民活動の連携・協働について

11月29日(火)から12月8日(木)まで、#令和4年第4回大田区議会定例会 を開催中です。

11月30日(水)に私が行った一般質問の動画が、YouTubeの大田区議会チャンネルで公開されています。下記リンクより、ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=Id2iQFMCZa4

下記の2テーマ(4問)を取り上げました。
1 #性別性差に関する人権の尊重について
2 #郷土博物館と区民活動の連携協働について

以下、私の発言の全文を掲載します。

* * * * *
 立憲民主党大田区議団 庄嶋孝広です。

 現在、4年に1度のサッカーワールドカップ大会がカタールで開催されており、連日、日本代表をはじめ熱戦が続いています。その一方で、ヨーロッパ議会が外国人労働者や性的マイノリティをめぐる開催国の人権状況を遺憾とする決議を行ったり、多様性の尊重や差別撤廃の意志を示す行動に出るチームがあったりと、「人権」に注目が集まる大会となっています。
 本日はまず、人権のテーマ、とりわけ、性別・性差に関する人権の尊重について取り上げます。
 先ほどもありましたが、今月、令和4年11月1日、東京都パートナーシップ宣誓制度がスタートしました。双方または一方が性的マイノリティである二人からのパートナーシップの宣誓・届出に対して、東京都が受理証明書を交付する制度です。東京都で制度ができたことで、大田区民の性的マイノリティの皆さんも、パートナーとして認められる制度を得たことになります。
 自分のありたい姿で社会的に認められること、とりわけ性のあり方は、存在の基本です。LGBTQやLGBTQ+と呼ばれる、性的マイノリティ、性的少数者は、これまで、性別は男性と女性のみ、恋愛感情は異性に向かうのが普通、と考えられてきた社会にあって、自分の存在がそこに当てはまらないことでの「生きづらさ」を抱えてきました。そのことが、不登校、ひきこもり、自殺などにつながっているケースもあります。その意味で、東京都パートナーシップ宣誓制度は着実な前進といえます。
 ただし、東京都と大田区は別の行政サービスの主体であり、例えば、都営住宅の入居申込の際にパートナーシップが認められても、区営住宅の入居申込において認められるものではないなど、区の行政サービスまで保障するものではありません。東京23区で10区が、都内全体では16区市が整備しているパートナーシップ制度を大田区ももつべきと考えます。
 パートナーシップ制度については、これまでの答弁で区の見解が示されているところであり、今回はあえて問いませんが、令和5年度に大田区で行う予定となっている次回の『人権に関する意識調査』での性的マイノリティに関する調査結果も踏まえて、多様な性を認め、行政サービス等でも保障するしくみ、取組みを大田区でも求めます。
 ここでは、性的マイノリティの区政への当事者参加について問います。当事者でないと気づきづらい、性的マイノリティの観点を、区政の各分野に取り入れていくことが重要です。
 区内でジェンダー平等に取り組む、NPO法人男女共同参画おおたが、LGBTQをテーマとした映画会を行うほか、LGBTQのコミュニティとしてのオンラインサロンを行っています。オンラインサロンでは、参加者から「アルバイト先を決めるにあたり、コンビニを選んだ。なぜなら、トイレに男女の区別がないことがわかっていたから」との性的マイノリティゆえの困り事なども話され、多くの気づきがあるといいます。
 大田区男女共同参画推進区民会議などの委員にも、性的マイノリティの当事者が参画できるようにすることが望ましいと考えます。
❶ そこで伺います。多様な性のあり方で生きられる大田区とするためにも、区政の様々な分野において、LGBTQ、性的マイノリティの当事者参加を進めるべきと考えますが、区の見解を伺います。
 
 本日で終わる11月は、オレンジリボンをシンボルとする児童虐待防止推進月間でした。また、11月12日から25日は、パープルリボンをシンボルとする「女性に対する暴力をなくす運動」の期間でもありました。
 大田区立男女平等推進センター「エセナおおた」1階でも、「DVは、大人だけじゃなく、子どもの心も壊すもの」を合言葉に、この両者を合わせた展示を年内12月28日まで行っています。直感的に問題の本質を理解できるわかりやすい展示となっており、多くの区民の皆さんにご覧いただきたい内容です。
 DV、ドメスティック・バイオレンス、つまり、配偶者暴力が子どもの前で行われる、いわゆる面前DVが子どもにとって心理的虐待になるなど、DVと児童虐待には強い関連性があり、いずれも家庭内の支配的な関係に起因しているものです。
 私は保護司として、保護観察の対象者の子ども・若者と話しますが、非行や犯罪の背景に、幼少期のDVや児童虐待の経験が影響していることが見てとれるケースがあります。また、それらの経験が、不登校やひきこもりの形で表れている子ども・若者もいます。
 この10月末に、大田区若者サポートセンター「フラットおおた」が開設されましたが、すでに起こっている子ども・若者の「生きづらさ」に対処することが必要な一方で、未然に「生きづらさ」を抱えることを防いでいく取組みも必要です。
 アンコンシャス・バイアスといわれる、無意識の偏見、特に、性別・性差に起因する無意識の偏見である「ジェンダー・バイアス」を意識化し、家庭内での人権が尊重されるよう、性教育も含めた学校教育をはじめ、無意識のうちにDVや児童虐待を正当化しているということに気づくための不断の取組みが必要です。
 子どもから高齢者までの様々な「生きづらさ」や生活困難に対処する取組みとして、区では今年度から、福祉部を中心に「重層的支援体制整備事業」に取り組み始めたところです。
 『大田区男女共同参画推進プラン』においても、生活上の困難を抱えた女性等への支援、配偶者等からの暴力への早期発見体制や相談体制なども盛り込まれていますが、様々な「生きづらさ」の背景には、性別・性差に起因する問題があり、ジェンダー平等の視点が重要です。
❷ そこで伺います、様々な生きづらさや生活困難に対処する「重層的支援体制整備事業」では、性別・性差に起因する偏見、差別、暴力などの人権問題へのアプローチが重要であると考えますが、区の見解を伺います。

 次に、文化のテーマを取り上げます。
 今年令和4年、2022年が、鉄道150年であることは広く知られるようになりましたが、実は、博物館150年でもあります。明治5年、1872年に、旧湯島聖堂で開催された博覧会が、東京国立博物館の始まりとされており、現在、トーハクでは、創立150年記念事業の展示を開催中です。
 文部科学省の令和3年度社会教育調査中間報告によると、令和3年10月1日現在、全国には、博物館が1,306、博物館類似施設が4,465、計5,771あります。大田区には、博物館類似施設として大田区立郷土博物館がありますが、今回はそのキョウハクを取り上げます。
 今年3月の予算特別委員会でもエピソードを披露しましたが、私は、郷土博物館初代館長でもいらした西岡秀雄先生が創設された文化地理研究会に、慶應義塾大学在学時に所属し、先生はすでに名誉教授でいらっしゃいましたが、毎年、郷土博物館に先生を訪ねる「西岡詣で」を行い、薫陶を受けたことも、文化への関心につながっています。
 さて、博物館について注目される動きとして、今年4月に博物館法が改正されており、来年令和5年4月から施行されます。第3条「博物館の事業」が見直され、「地域の多様な主体との連携・協力による文化観光の振興その他の活動を図り、地域の活力の向上に取り組むこと」が努力義務となりました。
 大田区立郷土博物館は、現在は、博物館法に基づかない「博物館類似施設」であるため、法の対象ではありませんが、趣旨を踏まえていくことは大事と考えます。
 もっとも、令和5年度までを計画期間として策定され、さらに2年間の計画期間延長をしている『大田区文化振興プラン』では、「文化を活かした観光」についても盛り込まれており、法改正を先取りした対応であると評価できます。
 今年夏から秋にかけて開催され、大ヒットした特別展『大勾玉展』を見ても、全国各地から来館され、学芸員による展示解説、古墳めぐりツアー、勾玉づくりワークショップなども行われました。また、大田文化の森運営協議会との地域連携として、学芸員による講演会も行われました。観光や区民の学習に応える活動が行われています。
 一方で、学芸員の皆さんの忙しさも見えており、観光や学習といったニーズに応えていくうえでは、区民活動との連携を図ることがより一層求められると考えます。『文化振興プラン』にもある郷土博物館友の会の活動はもちろんのこと、大田区では、一般社団法人大田観光協会がネットワークする形で活動を展開してきた、まち歩き団体があります。
 平成27年に行われた特別展『まちがやって来た』では、区内各地を歩く企画も行われており、大田・品川まちめぐりガイドの会、馬込文士村ガイドの会、NPO法人海苔のふるさと会、六郷用水の会などがガイドを務めています。
❸ そこで伺います。令和5年4月施行の改正博物館法の趣旨も踏まえ、郷土博物館が文化観光や区民の学習などに応えていくうえで、まち歩きなどに取り組む区民活動団体との連携・協働を一層進めるべきと考えますが、区の見解を伺います。
 
 博物館法における第3条「博物館の事業」の改正では、「他の博物館等と連携すること」も努力義務となりました。文化財は、必ずしも現代の自治体境に収まるものでなく、自治体境を超えて広がるものも珍しくありません。
 例えば、今年9月、大森貝塚発見発掘145周年記念行事として、東京都大森貝塚保存会の主催で、大森のNTTデータ前で式典が行われました。大田区の大森貝墟碑、品川区の大森貝塚碑、JR大森駅ホームの「日本考古学発祥の地」の縄文土器レプリカへの献花式も行われ、午後には講演会も行われました。大田区、品川区、さらには、モース博士の江ノ島臨海実験所の関係で藤沢市からも参加がありました。
 品川区は、今年7月から品川歴史館のリニューアルに入っており、令和9年、2027年の大森貝塚150周年に向けて、大田区としても連携を深めていく必要があると考えます。また、大田区の友好都市である宮城県東松島市にも、国史跡の里浜貝塚があり、日本考古学発祥150年の機会に文化交流を深めてはどうでしょうか。
 世田谷区とも、大田区田園調布から世田谷区野毛にかけて広がる荏原台古墳群でつながっており、西岡秀雄先生が世田谷区の野毛大塚古墳、別名・西岡8号墳も含めて発掘された縁もあり、連携を深めてはどうでしょうか。
 これまでも観光施策としては、旧東海道を通じた大田区と品川区の自治体間連携などの実績もあり、ヒントにしてはどうかと考えます。
❹ 最後に伺います。大森貝塚を通じた品川区との連携、荏原台古墳群を通じた世田谷区との連携など、すでにある区民活動などを活用しながら近隣自治体との博物館連携を図るべきと考えますが、区の見解を伺います。
 
 結びになりますが、先ほど触れた、大森貝塚145周年の講演会で講師をされた、東京都立大学大学院の山田康弘教授が、こんなことをおっしゃっていました。弥生土器の最初の発見地である、現在の文京区弥生にちなんで「弥生時代」と呼ばれるように、縄文時代も、本来は、「大森時代」と呼ばれてもよいということです。
 みどりと文化は生活を豊かにするものです。日本考古学発祥の地の「大森」というブランドを活かし、区民や来街者が大田区の歴史や文化に親しむ機会が増えることを願って、私の質問を終わります。
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#チクメン  #一所懸命 #とことん現場主義
#大田区議会議員  #庄嶋たかひろ #庄嶋孝広

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