量子論が示すものは


量子論で面白いのは、その基礎となるシュレーディンガー方程式の解(波動関数)が虚数を含んでいるということだと思います。虚数とは二乗するとマイナスになる「想像上」の数(imaginary number)で、頭文字をとってiと表す。縦軸に虚数をとった「複素平面」ではじめて視覚化されますが、本来は人にとって「あり得ない」数(と解釈しています)。波動関数は量子の「状態」を表すそうで、それが想像上の「あり得ない数」を使ってようやく表現されるということは、人間の認識能力を超えたところに物質の存在がある(実はえらく制限された範囲での認識能力しか、人は持っていないのかもしれない)ということのように思います。波動関数の解釈として有名な「コペンハーゲン解釈」によると電子の動きは一点に定まらず、人が電子を見ようとすると、なぜか一点に「定まる」そうです。放っておくとあちこちに存在する「可能性」があり、人が観測すると一点に収束してしまうのが電子だと。こう聞くと、モノの存在を一点に固定してしまうのも人間の認識能力の制約がなせるわざであって、本来の世界では物質があちこちに存在する「可能性」がそのまま残っているのでは(パラレルワールド、というのも3次元的な発想で、あらゆる可能性をそのまま包含する混濁したスープのような世界が広がっているのではないか)。もしそんな世界があれば、直感的には時間さえ一方向に向かって進む必要はなくて、過去も現在も未来もいっしょくたに存在しているんではないか、そんなところまで、空想が広がっていきます。

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