子供たちが置き去りにされない社会を!

以前、拙宅に遊びに来た友人が、何かの弾みで「やっぱりね。子供が学校から帰ってきたら母親が待っていて、笑顔を見せてオヤツを食べさせてくれるのが一番だよ」と言いました。それを聞いた小学校低学年だった娘が「どうして今はそうじゃないの…」と不満げにつぶやきました。

一昔前は、母親が家にいる家庭(つまり専業主婦家庭)が多数派で、先の友人の言葉は多くのの家庭では極めて普通のことでした。今、どうして母親は家庭から職場に移ってしまったのでしょう?

もちろん、自らのキャリアを磨くために仕事に励む女性が増えているのは確かです。しかし、家計が苦しいため、止むなく働きに出ている母親もたくさんいます(もしかしたらこちらのほうが多数派かもしれません)。

父親一人の稼ぎだけで家計が維持できなくなった理由は多々あるでしょう。教育費等の高騰、実質賃金の低下、生活水準の向上による支出の増加、核家族化…等々。子供一人大学卒まで育てるのに、すべて国公立で通しても約1,000万円必要であることなどは、その典型例です。

一億総活躍社会の影で一番割を食っているのは、もしかしたら子どもたちかもしれません。もちろん政府も様々な施策を講じてはいますが、まだまだ現実に追いついているとは思えません。

幼稚園は延長保育をしてくれるので仕事を終えてから迎えに行くことができます。しかし、小学校に入学すると途端に困ってしまいます。学童保育は数が少ないし費用もかかります。

また、保育園に預けている子供が急に発熱したり健康を害した場合、どうすればいいかご存知ですか?両親ともに遠方に仕事に行っていてすぐには帰れない。現象を続けている小児科医も身近にいない。保育園も困ってしまいますよね。

そういう時のために「病育保育」という制度があります。ご存じない方が多いと思いますので、ネットで検索してみて下さい。

ただ、東京都の病育保育施設は、今年3月末時点で134ヶ所しかありません。1200万人以上の人口を擁する東京都。受け皿としては極めて心もとないのが実情です。

著名な経済学者である塚崎公儀教授は、「少子化は国難」と指摘しています。確かに、活躍するはずの一億が半分になってしまったら元も子もありませんよね。

子どもたちには選挙権はなく、外に向かって声を出すすべもありません。私たち大人には「声なき声」を真摯に受け止める努力が必要だと、痛感している今日このごろです。



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