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映画『宮本から君へ』を見て。

いま、映画『宮本から君へ』を見てきました。
その直後にこの感想を書いています。

まず最初に言いたいのは
この映画の原作者である新井英樹さんは
僕にとって"神様"なのです。

↑当作品にも出演した新井英樹さま。

新井英樹さんの名前を知ったのは
18年前くらいに
この原作である漫画を
たまたま友達に借りた時でした。 

読んだ感想は色々あって
無限に語れるのですが
簡潔に言うと
まさに『僕の人生を変える作品』でした。

僕は自分でも思うけど偏屈な人間です。
そのせいで悩み、長い時間、苦しみました。

そんな僕が『宮本から君へ』を読んで感じたのは
『自分を貫くことの正しさ』です。

他人なんて関係ない。
自分が満足できるかどうか。
思いっきり精一杯、自分を生きる。
人生は、そのためにある。

っていうようなことを学んだ気がします。

そして『宮本から君へ』だけではなく
『ワールドイズマイン』『愛しのアイリーン』
『シュガー』『キーチ』などなど
新井英樹さんの全ての作品は
僕にとてつもない感動と衝撃を与えています。

僕の人生は新井英樹さんがいたから
ここまで来れたと言って間違いないです。

で、そろそろ映画の話を…

原作の漫画はドラマ化された部分でもある
主人公・宮本浩の甲田美沙子との恋、
そして宮本が営業職として成長していく様を
前半として描くものでした。

僕もドラマを見ていたんですが
原作の後半部分が描かれずに終わり
『おいおい、ここから面白いのによ!』と
思っていました。

ところがどっこい!
映画で後半部分をやるっていう!

で、映画を見終わって分かったのですが
原作の激しさをそのまま表現してるので
いくらなんでもテレビでは放送できません。
逆に言えば、映画だから
やりたいことやれたんじゃないでしょうか?
もちろんR15(15歳未満の鑑賞禁止)がつきましたが。

さて、ここから
映画のガチ感想を語りたいと思います。
結論から言うと僕の評価は
100点満点中80点です。

まず良いところから言うと
役者の演技が半端ないです!

これは鑑賞した誰もが思うことではないでしょうか?
『体当たりの演技』
そんな生優しい評価では物足りません。

出ている役者さん全員が役に憑依しているんですが
特に池松壮亮さん、蒼井優さん、井浦新さん、
一ノ瀬ワタルさん、佐藤二朗さん、ピエール瀧さんの
演技が凄すぎる。
(井浦新さん、難しい役でしたが見事に演じており、
素晴らしく効いてました!)

役者としてのプライド
魂と魂のぶつかり合いみたいな演技をしています。
ここまで凄い演技は
なかなか見れないと思います。

で、原作を知ってる僕からすると
池松壮亮さんと蒼井優さんは、
時々、原作の登場人物である
宮本浩・中野靖子そのものな表情をしてて
まさに憑依していると感じました。
恐ろしい演技力です。

また、ピエール瀧さんと佐藤次朗さんも
完全に役にハマってました!

ピエール瀧さんは"鬼の真淵"と恐れられる
おじさん役でしたが
むしろ原作より怖く
作品の良いスパイスになってました。

驚くべきは佐藤次朗さんのキャスティングで
原作でニコニコしてたおじさん役に
ピッタリとハマってました。
こんなにピッタリとハマるもんなんだなと
とても感心しました。

とにかく役者全員がハマってるし
ものすごい演技をしているのです。

で、もう一つ良かったところは
原作を忠実に再現したシーンが多いということ。

僕にとって『宮本から君へ』は
特別なものですから厳しい視点になります。
しかも漫画の原作は再現するのが
難しいとも思います。

しかし当作品は
厳しい目線で見ていた僕でさえ
納得するしかないほど
原作の名シーンを見事に表現しています。

感動的なシーンでは感動で涙を誘い
面白いシーンでは笑いを堪えるで必死でした。

原作の漫画をそのままスクリーンに
出したかのような演出は
見事としか言いようがないです。

僕は多くのシーンで原作を思い出しながら
ニヤニヤしていました。
それはあまりにも再現力が高いからです。

ちなみに池松さんが白米を食べながら
激しく喋るシーンがあり
それは正に宮本浩だなと感じて
僕は映画館の中で笑いを堪えて見てました。

この映画は
エキストラが多いわけでもなさそうだし
そこまで製作費がかかってないように
思えるのですが
ここまで重厚で激しい作品になったのは
役者さんの極太な演技力と
原作の再現力の高さだと思いますね。

で、最後に残念だなと思ったことを言います。
それは2つ。

まず1個目はストーリーの構成です。
映画は原作とは違う構成でした。
現在と過去を交差する構成でした。

正直、これだとストーリーの流れが分かりづらいし
色々あった末で大きな意味が出るシーンの
価値が薄れてしまいます。

その1つが宮本浩の母親が出てくるシーンです。
僕はこの原作のシーンが大好きなのですが
ここは宮本と靖子の経緯を知った上で
感動が倍増するシーンです。

なので、最初の方で見せちゃうのは
原作を知らない人からすると唐突だし
すごく良いシーンなのに、もったいなさすぎる。

おそらく、この構成にしたのは
"あのシーン"をラスト付近に
持ってきたかったからでしょうが
原作通りの構成にした方が良かった気がします。

で、もう一個、残念だったのはラストです。
あのラストは消化不良絶大です。
もうちょっと盛大に上手くやっても
良かったのではと思います。

なので僕としては
構成を原作通りにして
"あのシーン"を中盤に持ってきて
その後、宮本の母が出てくるシーン
そしてラストをもっと盛り上げる
で、良かったのでは?と思います。

とはいえ、全体的には十分満足でした。
役者の演技もすごいし
名シーンは絶妙に再現されてるし。

そしてもう一つ思ったことがあります。

『宮本から君へ』という作品は
昭和的で、熱血的で、無骨な作品です。

サバサバとした人間関係が進む日本社会で
こんな熱苦しい作品が注目を浴びて
しかも実写化されるなんて思ってもみませんでした。

それが実現できたのは
多くの"宮本"信者
多くの"新井英樹"信者がいたからでしょう。

そんな人たちの手で作られた
この作品を見れて本当によかったです。

おわりっす。

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