アバターの使用動向

第二回VR&VRC調査「アバターの使用について」の結果と考察

こんにちは!VLEAP.の新保です。

今回もVR&VRC調査の第二弾の結果発表と考察について行っていきたいと思います!

第二回VR&VRC調査は、Twitterで少し問題になっていたVRChatにおける版権アバターの取り扱いの話題から、
現在のVRSNSのアバターの使用動向を探る事が目標でした。
また、ここから将来的なVRSNSにおけるアバターの取り扱いに関しても考察していければと思います。

この度も本当に多くの方にご回答いただき、最終的には日英合わせて2006名もの方にご協力いただきました。本当にありがとうございました。

さて、では早速結果の確認から入りたいと思います!


アンケート調査結果

今回からコメント頂いた方の提案から、英訳版も追加でアンケートを取ることとなりました。(ありがとうございました!)

票数に差があるために正確な比較は難しい可能性がございますが、なるべく日本と海外の比較も考察していきたいと思います。

まずは日本語版です!

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配布・販売されていたオリジナルアバターが一位
完全な自作オリジナルアバターが二位でした。

ついで海外版も見てみましょう。

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(英語Twitterの文字数制限によりOA、CAの形を取っています。日本語って便利ですよねぇ...)

大体の傾向は日本と変わらずですが、比較するとわずかですが版権アバターを使う傾向にある事がわかります。

では得られた結果から考察を始めたいと思います!

考察

自作アバター率の高さ

まず最も驚きだったのがこの自作アバター率の高さでした。
日英共に39%もの方が自作アバターをVRC内にアップして用いているという事実はTwitter上でも驚きの反応が多く見られました。

あまり大袈裟に言いたくはなのですが、自作アバターはそれなりに知識が無いと難しいです。

現状私が知る限りvroid→Unity→VRChatが最短経路ですが、それでもデザイン力と入門レベルのUnityの知識が求められます。(あと諦めない心)

これに加えてblender等を使い始めたり、UnityでSDKを用いたカスタマイズを始めるとなるとそれこそ沼の如しです。

ちなみに僕も
「blenderでポリゴン削減してQuest持っていこ〜!」
とポンコツエンジニアなりにやってみた所

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このような名状し難き何かを生み出してしまった前科持ちです。

この自作アバター率の多さは、VRChatのプレイヤーにプログラマーやモデラーが多いことを示唆していると考えられます。

(まあVR持ってる時点でだいぶ絞られますが)

もしvroidからVRCへアップしたい場合は、こちらのしんりん様の解説記事をリンク含めてしっかりと行えれば出来ます。
私めもお世話になりました。


配布・販売されていたアバターの利用率と経済圏

やはり一番多かったのは配布・販売されていたオリジナルアバターでした。

実際にVRChatに入ると、数えきれない数のアバターが確認できます。

そのほとんどが無料で利用できるものですが、Booth等を通じてオリジナルアバターやアクセサリーを販売・購買される方もいらっしゃいます。(これに関してもアンケートを取りたいです)

このユーザーが作成したアバターやアクセサリーを販売・購買できる点は明確にVRChatやセカンドライフといったメタバースを志向するサービスが従来のMMORGPと違う点であると言えるでしょう。

これまではプラットフォーム側の用意したコンテンツをゲーム内で売買するというのが一般的であり、ユーザーが作成したものもあくまでmodとして無料で配布されており、mod作成者は寄附などで若干の収入を得る程度でした。

一方でVRChatはBooth等を通じてコンテンツ作成者が利益を得ることが出来る文化が醸成されつつあり、バーチャルマーケットの様に試着、鑑賞、購入までを行えるイベントが開催されていることなど、ユーザーが作成したコンテンツが主体的にプラットフォームそのものに潤いを与え続けています。

こういった経済圏が文化として定着つつあることはVRChatの大きな魅力であり、失ってはならない強みであるといえます。

ただ、一方でセカンドライフがリンデンドルというドルに変換可能なゲーム内通貨を流通させていたのに対し、VRChatは計画はしているもののまだゲーム内通貨が実装されていません。

少なくとも日本ではBooth等を通じた売買の仕組・文化が確立しつつあるため、収益化の為にもゲーム内通貨の実装は急ぐべきであるように感じます。

閑話休題:海外の状況と日本の特異性

次の話にもつながるのですが、海外でもアバターやアクセサリの売買はされています。ただどうやら状況が異なるようです。

海外でVRC用にモデルを探すとsketchfabなどでモデルが売られていますが、平気で版権アバターが売られています。(もちろん違法)


Steam等のスレッドを見てみても、アバター購入を控えるようにと警告しているスレッドが検索上位に来て居るなど、モラルハザードが発生している可能性が否めません。

更なる調査が必要ですが、日本と比べて経済圏と文化が確立しきれてない可能性があり、日本のVRC環境が少し特殊な要因となっているかもしれません。

VRCの版権アバター

このアンケートを行ったきっかけはTwitterでも騒がれていた版権アバター問題でした。

今回のアンケートではVRCにおける版権アバターに対する順法意識がある程度高いことがわかりました。また、票数に差があるものの日本は自作や配布・販売された版権アバターの使用率が6%と、海外の14%と比較して低いことが分かります。

今回の考察では、アバター種類の分類のみにとどめますが、実地調査やTwitterへのリプを参考にさせていただいた結果、単に版権かオリジナルであるかという分別では足らないことが判明しました。

(VRCにおける著作権に関しては、VRChat 日本wiki様が以下のリンクにて解説されていますので参照ください。)


版権である場合は、

・他ゲームのデータから引っこ抜いてきた版権アバター
・MMDモデルから流用してきた版権アバター
・圧倒的造形力で二次創作された版権アバター
・版権キャラの服や髪を改変したした版権アバター
・版権アバターの服や髪を着ているオリジナルアバター
・明らかに版権キャラをモデルとしたオリジナルアバター

といったように著作権的にアウトなアバターから解釈な法規制によってはギリ大丈夫なアバターまで多様なアバターがいることが分かりました。

また版権アバターといっても人型だけではなく、キャラの帽子やコンテンツのシンボルとなりえるようなモノ(エヴァンゲリヲンの会議シーンに出てくるモノリスのような物体など)までかなり幅広く、他のゲームと違い不定形なアバターも一定の地位を形成しているように見えます。

PSO2など幅広いカスタムが可能なMMORPGと比較しても、人型・不定形なキャラのほぼすべてがVRChatの文化としてユーザーに受け入れられているコンテンツは他に類を見ないものであると言えるでしょう。

ただ、実際に入ってみると著作権的にかなりブラックなアバターが何の断りもなくパブリックワールドにて配布されています。

ユーザー側の順法意識は重要ですが、このアバターが版権かどうかをユーザーが判別するのは難しいと言わざるを得ません。

(マイナーな作品の版権キャラになれば尚更ですし、自覚もないまま利用している方も多いかと思われます。)

VRChat側も何かしらの規制を行わなければ2chのようなアングラなイメージから抜け出せなくなる可能性が高いでしょう。

VRChatにおける経済圏の確立にはこのアングラなイメージの払拭とモラルハザードの解決は必要不可欠であり、早急な対策が望まれます。

最後に

前回と異なり、今回はアンケート結果だけでなく考察がかなりの部分入りました。浅学な身であるため、考察が不十分であったり誤っている可能性がございます。

もし考察に違和感を感じられたり、追加の考察などございましたらTwitterのリプや新しいnoteなどで積極的な考察を交わしていければ嬉しく思います。

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